楓の森の歩き方 第40歩 春のムース

春のムース、ところどころ毛が抜け落ちている。

春のムース、ところどころ毛が抜け落ちている。


昨年に続き、とてもマイルドで暖かな冬が去って行きましたね。このような気候は過ごしやすく感じますが、森の動物たちにとっては生命の危機にもつながる大問題なのです。

先日、トロントスター(2017年2月20日)の記事で、オンタリオ州のムース(ヘラジカ)の数が約9万2千3百頭、過去10年間で20%減と掲載されました。

ムースの研究者の考えでは、近年の気候変動はムースの生息地の変化に影響を及ぼしているかもしれないという事です 。

ムースは寒い気候を好みますが、ここ3年間のオンタリオの冬は気象観測史上最も暖かい3年となっています。寒い場所に耐えられるよう進化し続けてきたムースは、暖かい気候では代謝を妨げられるのです。

それに加え、暖冬の年はダニの発生率が高くなります。ダニは、ムースに吸い付くと落ちるまで血液を吸い続け、退治するといってもひとつひとつ取れるわけでもないので、とても厄介なのです。これらのダニは、ムースに様々な病気や害を及ぼし、かゆみもとても酷いのです。そのためムースは岩や木々に体を擦りつけ、ダニを取り除こうとします。その際に、越冬に必要となる暖かな体毛が抜け落ちてしまい、冬を越すための十分な体毛が無くなってしまうのです。

早春のアルゴンキン州立公園は、春のムースを観察するのに最適な場所です。葉を落とした落葉樹の森は見渡しが良く、足元には野の花や野草が芽吹いています。

冬の間に除雪機で雪を除けた後に撒いた塩が、ハイウェイ沿いの雪解けの水たまりに溜まります。その水たまりへムースが冬の間に消耗した体力の回復、塩分補給のために、塩を舐めに来るので、ハイウェイ沿いからムースを観察できる絶好の時期でもあるのです!

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春のムースは、毛が抜け落ちて乱れて見えるかもしれませんが、なぜこの時期にそうなっているのか? 厳しい冬の寒さの中、生き抜いてきたこととダニの影響があったことを容易に想像することができると思います。

ムースは、春から夏にかけて暖かい日には、湖や池に入り体温調節をします。春には、スイレンなどの栄養ある水生植物を求めて水辺に出てきます。ムースは水中の餌を探すこともでき、泳ぐのにも慣れた優れた水泳選手とも言えるでしょう。

アルゴンキン州立公園などで経験できるカヌーを漕いで森の中へと入って行くインテリアカヌーキャンプは、ムースの生態を観察し学べる最善の方法です。 わたしたちは、昨年インテリアで2頭の子供といるメスのムースや、川岸で眠っているオスのムースなど、様々な場所でムースたちと出会うことができました。

ムースは、とても大きいのに気性が穏やかで美しく、素晴らしい生き物です。 彼らの健康を維持し、より多く自然に生息できるようにするためには、わたしたち人間の理解と配慮、協力が重要となります。

この春、カナダの大自然を象徴しているような大きなムースに、会いに行きましょう!

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hollyblefgenHolly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。



Special Thanks, Cameron T Powell 写真 / アートワーク / レイアウト:尾西知樹 翻訳:瀧川貴子

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