住宅賃貸マーケットの現状|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第4回 】


 皆さん、こんにちは!今回は、トロントでの住宅賃貸マーケットの現状についてお話したいと思います。トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)の報告によればの2018年第一四半期の賃貸マーケットは、前年同期比で賃貸物件数の低下、空室率の低下、ならびに平均賃料の大幅上昇が見られました。TREB発表による賃貸案件成約数は全体で6,171件(図1)、これは前年同期より7.5%下がっていますが、賃貸募集に出される物件数の低下が背景にあります。

 また、実際の成約結果によるコンドミニアムを中心としたアパートメント物件の平均賃料は次の結果(図2)となっています。


 ではなぜ、このように平均賃料がぐっと上がり、空室が減ってしまっているのでしょうか?

人口増加による住宅不足=低い空室率

 カナダでは政府の移民政策により毎年20数万人の移民を受け入れている中、半数の11万人程度がGTA(Greater Toronto Area=トロント都市圏)に定住するといわれています。このため、GTAにおける住宅のニーズは年々増加し、最近のトロント市内の空室率は0.7%(図3)、特にダウンタウンにおける空室率はさらに厳しく、中心部の人気エリアでの空室率は0.2~0.3%ともいわれています。これは1,000件に2~3件しか空室が無い状況で、賃貸募集物件が常に不足している状態と言っても過言ではありません。そのため、私たちがご案内をさせていただいていて実感していることは、良物件は賃貸募集がされてから早くて2~3日以内、平均では1~2週間内には成約されたり他からのオファーが入ってしまうなど、本当に物件の動きは速いです。例えば月曜や火曜にご紹介した物件をその週末に見に行きましょう、と話していたらすぐに無くなってしまった、というケースも少なくありません。


 ちなみに東京23区の空室率は約13%、募集平均期間は2.7ヶ月(株式会社タス2018年2月発表データによる)といわれていますので、数日考えているうちにあっという間に無くなってしまった、というケースはあまり起こりません。トロントのダウンタウンには沢山新しいコンドミニアムが建設中であるものの、4~5年先に完成予定の新築コンドは人気物件だと既に完売というものも少なくなく、また住宅不足解消のため、政府主導による賃貸アパートの新建設なども検討されていますが早期実現は難しいため、今後も変わらず人口増加が進む中で住宅不足が劇的に解消される見込みはあまり期待できません。余談ですが、ここ数年トロントでもダウンタウンを中心にAirB&Bによる民泊物件が増えており、投資家は高い利回りを期待して長期賃貸ではなくホテルのように部屋を貸し出しするケースも多いことから、通常用の長期賃貸物件数が減ってしまい、空室率をさらに低くしている要因の一つとも言われています。

昨年のオンタリオ州不動産新政策による影響

 昨年4月、オンタリオ州では新しい不動産政策「Ontario’s Fair Housing Plan」が発表されました。外国人不動産取得税15%や空室への課税などと共に、賃貸マーケットとオーナー(大家)に影響を与えたのは、「レントコントロール(賃料制限)」です。これは、従来1991年以前に建てられた住宅建物のみ対象となっていましたが、新規定によりすべての築年の住宅建物に適用されることとなりました。これまでは、オーナーがマーケット相場を見ながら契約更新時に「去年は賃料2,000ドルだったけど、今年からは2,200ドルに賃料アップね。イヤなら出てっていいよ。」と借主に強気な態度を見せることも可能だった訳ですが、昨年4月からは契約更新時における賃料上昇率は消費者物価指数に応じて政府が定めることとなりました(2018年は1.8%)。光熱費や管理費が年々上昇する中、一年間に数十ドルしか賃料を上げることができないのはオーナーにとっては厳しい状況です。そのため、入居者が入替えとなる時期にはできる限り高く賃料を設定し貸し出したい、というのがオーナーの本音であり、現在の貸し手市場を背景に、平均賃料を押し上げている要因の一つとなっています。

一年で一番賃料が高くなる時期

 日本では賃貸物件の賃料相場において、年間を通じて変化することはあまりありません。例えば日本の賃貸マーケットの繁忙期はお引越しシーズンとなる1~3月ですが、この時期は賃料が大幅にアップされるというより、ローシーズンにおいて礼金1ヶ月を無くしたりと賃料以外の初期費用において調整されることの方が多いかと思われます。しかし、トロントでは9月の新学期を控えお引越しシーズンである6月下旬~8月中旬にかけては、オーナーが繁忙期のニーズを踏まえ、賃料を最も高く設定して貸し出ししようとする時期ですし、実際に需要過多のエリアや人気物件においては、2,000ドルの賃料に対して、2,050ドルや2,100ドルなど賃料を上乗せしてでも契約したいといわゆる「Bidding War(入札戦争)」が起こり、借主候補同士が奪い合うケースも多くみられます。

 これからサマーシーズンを控え、賃貸マーケットが最も活発になる時期です。物件流通量が多くなると同時に取引スピードも速くなる時期ですので、お部屋探しはお早目に!



本文: 増田利加
Starts Realty
Canada, Inc