商工賃貸について|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第17回 】

 今回は、トロントでの商工賃貸についてお話したいと思います。商工物件の種類は、Office(オフィス)、Retail(店舗)、Industrial(工場、倉庫等)の大きく3種類に分かれます(本編における商工物件は主にオフィスと店舗について取り上げます)。

オフィスと店舗の平均賃料

 トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)の報告によれば、2019年第一四半期の商工賃貸マーケットは、賃貸案件数は増加(前年同期比約9%アップ)、オフィスと店舗の平均賃料は下降が見られ各$14.41/1sqft当たり、$19.16/1sqft当たりでした(図1)。


 しかしながら、2018年においてはオフィスと店舗の1sqft当たりの平均賃料は増加傾向を続け、次の通り、第4四半期の賃料は第1四半期に比べて各$19.64/1sqft当たり約20%アップ、$24.59/1sqft当たり約15%アップでした(図2)。北米25都市の中でもトロントダウンタウン中心部におけるオフィスの空室率は低いといわれていますので、今後、平均賃料は住宅同様に上昇をする可能性があると見込まれます。

商工物件の費用

 賃貸商工物件においてテナントが負担する費用は、住宅物件といくつか異なる点があります。

①賃料に税金がかかる

 住宅賃料にはHSTはかかりませんが、オフィスや店舗の賃料にはHSTがかかります。

②TMIはテナント負担

 T(Property Tax)、M(Maintenance Fee)、I(Insurance)の3つをすべてテナントが毎年の実費額を負担する必要があります。例えば、面積:1000sqft、賃料:$20/1sqft当たり、TM:$15/1sqft当たりのオフィスを借りる場合、$20X1.13=$22.6(税込賃料)+$15(TMI)=$37.6X1000(sqft)=$37,600(年間賃料)÷12=$3,133(月賃料) となります。

③光熱費はテナント負担

 電気、ガス、水道、インターネット代などテナント自身が支払います。

商工物件の探し方

①MLSで探す

 MLSではオフィスや店舗の賃貸情報、ならびに営業権の売買に関する情報が掲載されています。しかし住宅物件の賃貸情報はMLSにほぼ9割掲載されているといわれるのに比べて、商工物件はMLSにすべて記載されている訳ではありません。

②商工エージェントネットワークで探す

 MLSに掲載する前のステップとして、「EXCLUSIVE」と呼ばれるクローズの形で情報がやりとりされる場合も多く、こうした情報は商工エージェントのネットワーク内においてやりとりされます。

③現場に行き探す

 特に店舗などはMLSを通じた一般公開情報にはされにくいため、現場でのみ賃貸情報が掲載されることもしばしばあります。またAAAランクのオフィスビルなどはオーナー側のリーシングマネージャーに直接連絡して賃貸情報を確認する必要があります。

契約について

①基本的に5年間契約

 賃貸商工物件において、住宅のようにレントコントロールはありません。そのため、テナントにとっては安定した賃料を確保するため、オーナーにとっては賃料相場の予想がつくため、5年間の契約がもっとも多いケースといわれます。特に記載がない場合は、5年間の賃料金額は固定となりますが、オーナーによっては、5年間において毎年数%又は何ドルずつの賃料アップを行う、と記載することを要求することもしばしばあります。また5年間が終了したら、再度5年間の賃貸を行う権利を有する旨を当初に 記載することも多いです。

②TMIは実費払い

 特に固定資産税や管理費は年々上昇する可能性が大きいため、テナントはこれを全額実費するよう定めるケースが多いです。

③弁護士のリーガルチェックが必須

 商工賃貸においては、期間も長く賃貸契約も複雑な内容を伴うケースもあるため、弁護士によるリーガルチェックが必要となります。特に店舗において、営業権を買い取ってビジネスを行う場合、営業権譲渡に関する売買契約、ならびに店舗物件自体に関する賃貸契約の2種類の契約が存在しますので、必ず弁護士のチェックが必要です。

④途中解約時のサブリース

 例えば現在のオフィスの賃貸契約が5年間で、まだ2年しか経っていないけれどオフィスを移転したい場合、残存の3年間についてサブリース相手を探すことができます。

⑤フリーレント

 オフィスや店舗には契約締結後に内装期間が必要となります。そのため、フリーレントとして数か月間の賃料を無料にしてもらうか、内装においてオーナーに一部費用を負担してもらうなど交渉し、契約に明記する必要があります。

⑥契約違反による立ち退き

 例えばテナントが賃料を滞納した場合、住宅においてはテナントを追い出すことは実現するには時間を要しますが、商工物件においては弁護士の介入のもと、オーナーは鍵を取り換え、店舗やオフィス内に残っていた物品を差し押さえ、これを売却する権利を有します。

 人気のエリアの商工物件は住宅同様、非常に動きが速いです。十分な情報収集と適時判断でご希望に合う物件を探しましょう。

※弊社では、住宅物件はもちろん、商工物件もご紹介しています。お気軽にご相談ください!

本文:

増田利加

Starts Realty Canada, Inc