契約更新時の留意点|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第19回 】

 今回は、お部屋の契約更新にかかる留意点についてお話したいと思います。

契約満了日が近付いたら気を付けたいポイント

1. 契約の形態を決める

 今後も今の住居に住みたいと契約更新を希望する場合、更新方法は2つあります。

①新たに1年間の賃貸契約を結び直す

 同じ住居について改めて1年間の賃貸契約を結び直したい場合には、できるかぎり60日前までにオーナー(大家)に連絡し、契約内容について交渉、確認したうえ、双方署名のある書面を取り交わすことが大事です。1年間の契約を結び直す場合には、初年度のように双方エージェントが間に入って契約を結ぶ方法とは異なるため、オーナー側に「Residential Tenancy Agreement(Standard Form of Lease)」を作成してもらい、内容を確認した上、双方でサインします。

 オーナーとしては、2年目以降も1年間の契約を結んでくれることは、その年の賃料が保証されるという点でうれしいことです。しかし、例えば2年目や3年目の契約更新に際して人事異動の可能性があるからと、60日前通知で途中解約できるなど特約事項(Diplomatic Clause)をつけたい場合には、オーナー自身にとっては不利なことになりますので、オーナーまたはオーナー側エージェントに早めに打診することをお勧めします。

②マンスリー契約に切り替える

 オンタリオ州の規定(Residential Tenancy Act)では、現在の賃貸契約期間が終わるまでにオーナーおよびテナント(入居者)双方ともに解約通知を行わない場合、当該契約は自動的にマンスリー契約に切り替わります。その場合、特に書面を取り交わす必要はありません。マンスリー契約において、テナントは60日前通知によっていつでも退去が可能です。一方オーナーは、オーナー又はその家族が当該物件に住む場合、もしくは売却後に新オーナー又はその家族が住む場合にのみ、テナントに対して60日前通知により退去するよう伝えることができます。現オーナーが退去を求める場合、オーナーはテナントへ正式な書面にて通知した後、1ヶ月分の賃料を支払うか、もしくはテナントが承諾する別の住居を用意する必要があります。また、オーナーの要請によりテナントが退去する場合、書面に定められた解約日以前であっても、オーナーへ書面により10日前通知を行えば早期解約することが可能です。

 「売るから出てってくれ」というオーナーからの要求は、テナントにとって退去しなければならない理由にはなりません。一般的に空室の方が物件は売却しやすいため、オーナーから退去を迫らせることもあるかもしれませんが、その時は「売るのはご自由に。新オーナーが住む場合には正式書面で知らせて下さい」と強い態度を見せることも時には必要です。なお、新しいオーナーが住みたい場合であっても、固定期間の契約の場合、当該期間中に追い出されることはありません。

2.賃料を確認する

 オーナーが賃料をアップしたい場合には、入居者側へ90日前までに新たな賃料について書面にて通知する必要があります。メールだけで伝えてくるオーナーもいるかもしれませんが、できるかぎり正式書面(N1 Form)をオーナーからもらうことをお勧めします。
 2019年の賃料アップの上限は前年に引き続き1.8%でした。先日のオンタリオ州の発表により、2020年における賃料アップの上限は2.2%に決定しました。来年中に契約更新を迎える皆様はご留意ください。

 なお、賃料アップの上限に規定はあるものの絶対ではありません。賃貸契約の主体はあくまでオーナーとテナントですので、双方が承諾すれば、たとえ10%の賃料アップでも可能です。契約更新に際し、テナントからオーナーにあえて「賃料はアップするの?」と聞く必要は無いかと思いますが、90日前通知のルールを知らないオーナーも少なくありません。そのため、通知を受け取ったら賃料アップの開始日が通知を受け取った日から90日以降であることを確認してください。

3.更新時の賃料の支払い方法

 更新時における賃料の支払いについてご留意いただきたいのは、初年度の契約時に支払ったデポジットはオーナーが常に最終月の賃料(Last Month Deposit)として1ヶ月分の賃料を保有する権利があります。そのため、更新の際には、初年度の最後の月から改めて1年分の日付指定の小切手にて支払うか、最後の月が始まる前に当該月分の賃料をお支払いください。(例:初年度契約が2018年10月1日~2019年9月30日の場合、2019年9月~2020年8月までの12ヶ月分の小切手を用意)マンスリー契約であっても、毎月の賃料支払の手間を省くために1年分の日付指定小切手をオーナーに渡すことができます。もし途中解約した場合、退去日以降の日付指定された小切手は退去時にオーナーより返却されます。

 契約更新時のルールを知って、早めにオーナー側と交渉、書面確認しましょう!

※弊社では、契約更新時の交渉、書面作成等も承っております。お部屋探しに関する疑問・質問、ご要望についてお気軽にご相談ください。

本文:

増田利加

Starts Realty Canada, Inc