不動産賃貸事情 2019年の賃貸相場を振り返り、2020年を占う|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第22回 】

 あけましておめでとうございます!本年も皆さまにとって健康で幸多き一年となりますよう祈念申し上げます。皆さまによりご満足いただけるサービスをお届けできるよう弊社スタッフ一同尽力いたしますので何卒よろしくお願い申し上げます。

 今回は2019年の賃貸相場を振り返り、2020年の予想についてお話したいと思います。

 【図1】は2018年第4四半期(2018Q4)から2019年第3四半期(2019Q3)までのGTAにおける各部屋タイプ別の平均賃料の実績です。

予想1: 賃料は引き続き上昇傾向

 2018年に引き続き、2019年も移民ならびに地方からの人口増加、変わらぬ低い空室率、住宅ローン審査の厳格化による賃貸人口の増加、レントコントロールの実施による入居者入替時の賃料引き上げなどにより、ほとんどののタイプの部屋において四半期毎に賃料上昇が見られました。

 一方、2017年半ばより一旦落ち込んだ住宅売買マーケットも2019年後半から回復を見せています。

 2020年は住宅ローンの利率引き下げが予想されること等により、借主だった人たちが買主に転向することに期待したいですが、トロントの不動産不足の事情は急に変わらないことから、トロントダウンタウンを中心にした賃料相場は2020年も引き続き上昇傾向になると思われます。特にファミリー向け住宅である3BRのコンドミニアムやタウンハウスに対する賃貸需要が強くなり賃料もさらにアップするのではないかと思われます。

予想2: 歴史的な低空室率は維持傾向

 2017年のオンタリオ州の新不動産政策「Ontario Fair Housing Plan」の実施を受け、売買マーケットが一気に沈静化した半面、この2、3年では空室率が低下し続けて歴史的にも類をみない低空室率となっています。(図2参照:折れ線グラフ)変わらぬ毎年の人口増加と共に、ベビーブーマー世代による住宅のダウンサイジングの傾向や、低失業率による好景気も手伝い、ダウンタウンでの賃貸住宅需要は2020年も引き続き強くなると予想されます。空室率の低下は引き続き貸し手市場をけん引し、賃貸におけるオファーの入札戦争(Bidding War)やオーナー審査の厳格化を招くこととなります。

予想3: 賃貸可能率(RentalAffordability)の格差拡大

 賃料の高騰化により、低所得者層や中所得者層を中心に「Rent Crisis(賃貸危機)」と呼ばれるほどの状況になっています。借りられる人と借りられない人の格差が拡大することを防ぐため、政府主導の低賃料賃貸コンドミニアムの建設計画は進められているものの、実際に今の2倍以上の新築物件を増やしても需要には追い付かないのが現状です。【図3】は世帯収入に応じた購入可能物件金額を表しています。

 例えば約5万ドルの世帯収入だった場合の購入可能物件価格は17万ドル、ダウンタウンの1BRは買えないのはもちろんのこと、賃貸でも2200ドルの物件を借りるためには、世帯収入の約53%をつぎ込むことになります。

 このように、世帯収入の半分以上を賃料に充てている世帯が多いエリアは、ノースヨーク、リッチモンドヒル、ヴォーン、オーロラ、ドンバレー・ノース、ソーンヒル、マーカム、ミシサガ中心部、トロント中心部、ウォータールーなどが挙げられます。

 このRent Crisisの状況と格差は2020年はさらに深まるのではないかと思われます。

予想4: 物件種別を問わない賃料アップとルームシェアの拡大

 【図4】は2019年10月時点の物件種別による、前年同月比の賃料アップ率を表しています。タウンハウスや戸建ての賃料アップしているのと共に、地下室の部屋(Basement Apartment)が大きく賃料アップしているのが特徴といえます。

 MLSに掲載されている1BR~3BRの通常物件にとどまらず、オーナーが自分で入居者を募集している地下室の部屋やルームシェアの賃料にも影響しています。
 数年前なら1000~1300ドル程度が平均賃料だった地下室の1~2BRの部屋が、現在では1500~2000ドルになっています。

 また、エリアや条件により大きく異なるものの、ルームシェアの平均賃料も450~550ドル前後から650~750ドル前後へとアップしています。2020年もこの賃料アップの傾向は続くと思われます。

 また、高い賃料を一人では払えないと、2BRを2人または2組でシェアするケースも増えていますが、今後はこうした傾向も強くなるのではないかと思われます。

 2020年も賃貸物件を探す側にとっては厳しい年となりそうですが、皆様と良物件との出会いが沢山ありますように!

データ出典:Toronto Real Estate Board、Rentals.ca、CMHC

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増田利加

Starts Realty Canada, Inc