I’m a SUBIE / スバルカナダ 太田 士郎社長 インタビュー
2015年のカナディアン・インターナショナル・オートショーで、同社の「Legacy」がカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことはまだ私達の記憶に新しい。今年のカナディアン・インターナショナル・オートショーではスバルのモデルの中でも最も売れているコンパクトSUV「2017 Forester」がユーティリティ ビークル・オブ・ザ・イヤーを受賞した。TORJAでは太田士郎スバルカナダ社長に、受賞の喜びや要因などのお話を伺うとともに、昨年末に投入され全世界で好調の「新型Impreza」や今年フルモデルチェンジされる「新型Crosstreck」、先日発表されたスバルモデル最大となる3列シートの新型SUVのコンセプトカー「Viziv-7」などを中心に、スバルがこだわり続けている〝優れた安全性能・運転の愉しさ・乗り心地の追求〟について語ってもらった。
■ユーティリティ ビークル・オブ・ザ・イヤーの受賞おめでとうございます。ご感想をお聞かせください。
素直に嬉しいです。2015年のカー・オブ・ザ・イヤーで受賞した「Legacy」もそうでしたが、今までの傾向でいうと、受賞するのはフルモデルチェンジを遂げた新型車が多かったと思います。対して今回の「2017 Forester」はフルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジにはなるものの、改良を重ねて生みだしたものなので、その点を評価していただけたのだと思うと、さらに嬉しさがこみ上げてきますし、何と言っても「Forester」はスバル車の中で一番売れている人気車種でもありますので、このような賞を頂けて非常に光栄です。
■「2017Forester」の受賞要因は何であったとお考えですか。
元来「Forester」は燃費性能・動力性能ともに非常にレベルの高い車として定評があります。マイナーチェンジといえどもそれぞれの性能が格段にアップしていますし、特にスバルが誇る安全性能として新たに搭載されたアイサイト第三世代やこだわりの水平対向エンジンやシンメトリカルAWDなどの技術による高い走行性能が備わっております。今回、ジャーナリストの皆様に改めてカナダ市場でも幅広いニーズに応えることができる一台として評価していただけたのだと考えています。また、正直なところ運が良かったという点もあるかと思います。例年に比べて今年は主力競合社のフルモデルチェンジが少なかったので、いい意味でライバルに恵まれたとも言えます。
■今回のオートショーでも存在感を漂わせていた「新型Impreza」は日本ではカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、大変好評だと伺っていますが、カナダではいかがでしょうか?
有難いことにカナダでもご好評いただいています。売上率でいうと、前モデルと比較して新モデルの売上は、およそ40%程度伸びました。その要因は全てにおいて抜群にグレードアップされたところにあるのではないかと思います。新開発された「スバルグローバルプラットフォーム」を筆頭に、向上した燃費性能、大胆さと精緻さを兼ね備え機能美に富んだデザインなどが特徴です。特にスバルが培ってきた知見や技術力を注ぎ込み完成した次世代プラットフォームは、安定性や衝突安全性能を進化させただけでなく、静かで揺れの少ない快適なドライブを実現してくれます。
■オートショーではさらに3列シートの7人もしくは8人乗り新型SUV「Viziv-7」のコンセプトカーがお披露目されました。カナダでもニーズが非常に高い一台になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
今までは5人乗りモデルのラインナップがほとんどだったこともあり、7人もしくは8人乗りのモデルを求めるお客様の声は北米市場で多く寄せられていました。新モデル開発には通常4年ほどの月日を要しますが、計画通り来年4月に生産を開始し、6月からカナダとアメリカで販売を予定しています。
■スバルの展示場所には多くの人が訪れていた印象ですが、太田社長がご覧になっていかがでしたでしょうか。
スバルは「スバルグローバルプラットフォーム」や「アイサイト」「水平対向エンジン」「シンメトリカルAWD」などに代表されるように技術に個性のある自動車メーカーだと自負しております。スバルの展示場所では自動車だけでなく、これらのテクノロジーも熱心に見てくださっている方々が非常に多かったという印象を受けました。
■モントリオールのオートショーでも公開されましたが、今年は「Crosstrek」のフルモデルチェンジも導入予定となっています。こちらも楽しみな一台となりそうですね。
「新型Impreza」にも搭載された 「スバルグローバルプラットフォーム」をベースに開発されたモデルの第二弾となります。フルモデルチェンジということで、外装・内装からエンジン、燃費性能や走行性能に至るまで全てを一新したモデルなので、やはりデザイン・機能性ともに非常に優れています。先日、2017年のベストリテインバリューコンパクトカー(Canadian BlackBook)として一位を受賞しました。これは残存価値の高い車として数字的に評価をされていることから、お客様の利益にも結びつきますので、今後の販売台数も間違いなく伸びていくのではと予想しています。
■昨年末、 キャサリン・ウィンオンタリオ州政府首相が経済ミッションで訪日された際、日本本社にも足を運ばれるなど、オンタリオ州への経済貢献なども注目されています。
弊社はオンタリオ州およびカナダには工場を持っていないので、他の日系自動車メーカーと比べて貢献度という側面では可もなく不可もなくといった印象がお有りかもしれませんが、北米で高い成長をしている日系自動車メーカーとして、常々政府や経済界の皆様から注目していただいているということは非常に光栄なことだと思っています。
■アメリカの政権交代を受けて、NAFTA(北米自由貿易協定)への影響が懸念される中、特に自動車メーカーの動向が話題となっておりますが、北米市場で成長を遂げる貴社にとって、カナダで最高執行責任を担っている太田社長のお考えを教えてください。
まだ政権交代したばかりということで色々なことが予測されているものの、実際に決まっていないことに対しては、何とも言えない部分が大きいと思われます。NAFTAに関しても一般的なお話をすれば、一番影響が考えられるのはアメリカとメキシコ間の貿易協定かと思いますし、その点においてメキシコに工場を持っていない、かつ計画もない我々にとっては、懸念事案は少ないかもしれません。弊社の考えとして、生産工場はマーケットに近い方がいいという観点からオバマ政権時には米インディアナの工場に積極投資をし、規模が大きくなったのは勿論のこと、雇用も増えるなど、アメリカには常々貢献し続けていると思います。
■好調な販売状況が続いていますが、今年は「新型Impreza」そして夏以降に導入される「新型Crosstrek」、また来年には待望の新型SUV「Viziv-7」など、 さらなる注目が集まることが予測されます。どのようなお考えで成長展開期と向き合っておりますでしょうか?
昨年までの販売台数の伸びに関しては、顧客満足度を常に追求し続けてきた我々の努力の結果が数字として表れたと受け止めています。我々の一番の使命は世界トップレベルの安全かつ安心して運転を愉しめる車を世に生み出すことです。今までもそうであったように目先の販売台数に一切捕らわれることなく、これからもお客様の満足度を高め続けることができるよう地道に努力を続けていくのみだと考えております。
スバルグローバルプラットフォーム
スバルがこれまでに培った技術力を注ぎ込み、走る歓びや愉しさ、安全性能、乗り心地を追求するために新開発された次世代プラットフォーム。「新型Impreza」を皮切りに、今年導入予定の「新型Crosstrek」など全車に順次採用されていく。高められた剛性と抜群のステアリングレスポンスで揺れの少ない快適な乗り心地を実現、思い通りのコーナリングでドライバーにはクルマを操る悦びを、乗る人すべてには深い安心感を提供してくれる。
新たに搭載されたアイサイト第三世代に加え、 TouringモデルとLimitedモデルに搭載されているリヤビークルディテクションなど、充実した先進安全性能で2007年から11年連続でInsurance Institute for Highway Safety(IIHS)が選ぶ、TOP SAFETY PICKにも輝く。確立された安全性能に加え、広々としたカーゴスペース、好みに合わせて選べる2種類の水平対向エンジン、シンメトリカルAWDと低重心が実現する高い走行性能や悪路走破性などを兼ね揃えている。
「スバルグローバルプラットフォーム」が初めて搭載され、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞や小型車で初めてIIHSの最高評価Top Safety Pick+を受賞するなど、世界が注目する一台。エアロダイナミクスを考慮してデザインされた外観はスポーティーかつスタイリッシュで、新開発された座席は乗る人すべてに快適に感じられるように設計されており、腰回りのサポートがより充実したフロントシートで快適なロングドライブが実現できる。
新プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム」が採用され、新世代へと進化を遂げる。3月頭に開催されたジュネーブ国際モーターショーで世界初お披露目となった「新型Crosstrek」はスバルのデザインフィロソフィー「DYNAMIC x SOLID」をコンパクト・クロスオーバーモデルとして表現した一台。フロントフェンダーからドアパネル・リアショルダーまで続くキャラクターラインが塊感のあるデザインに勢いを持たせている。
スバルの将来のビジョンを具現化したコンセプトカーVizivシリーズはVision for Innovationという思いが込められており、「Viziv-7」は昨年末にLAオートショーで発表され世界中で話題となった。2018年に導入を予定しており、3列シートの全座席においてゆとりある室内空間を提供するボディサイズとスバル共通のデザインフィロソフィー「DYNAMIC x SOLID」が採用されている。
SUBIE(スビー)
日本ではスバル車の愛好者をSUBARIST(スバリスト)と呼ぶように、カナダやアメリカなどの北米ではスバルを愛車としてドライブを楽しむ人々は、自らの愛車をSUBIE(スビー)と呼ぶ。SNSでも“#subie”として発信され、熱狂的なスバルファンの間ではファンクラブもあるほどだ。