匠あつめました。

編集部が出逢ったトロントの様々な匠たちをご紹介します。

極みを体験、

トロントを拠点に制作を行う職人たちの工房を編集部が訪問しました。


最高のバイオリンと、最高の音を作る

inokuchi violin

inokuchi_violin

01猪口美樹さん02相棒の様々な工具たち03完成を待つバイオリンとチェロが並ぶ。04ひとつひとつ時間をかけて作られていく。05中には3年以上乾燥させているものも06父親の正さんと一緒に07正さんの長年の夢、自分たちで作った木飛行機で空を飛ぶことに向けて、親子で作成中08木の香りが漂う工房内

バイオリンメーカーinokuchi violinの猪口美樹さん。日本でバイオリンメーカーを経営していた父親、正さんが1968年に良質な木材が手に入るカナダに移民、拠点をカナダに移す。美樹さんの名前の由来は「美しい樹」。樹とともに暮らすご両親が名付け、小さい頃から美樹さんはまさに”樹”と一緒に育った。

何名もの有名なバイオリン奏者が購入する美樹さんたちのバイオリン。木の良い香りが漂う工房と、ご自宅で全ての作業を行っている。工房には何台もの作成途中のバイオリンやチェロが並んでいた。

ふたりは木材選びから完成まで全ての工程を行う。バイオリン作りは、何年もの時間を要する手のかかる作業。丸太の状態で木材を購入し、カットや乾燥を繰り返して質の高いバイオリンが出来上がる。乾燥を何年もさせることでぶれない音が作れるのだという。

美樹さんは「バイオリンは、形を作るだけは簡単。しかし、どれだけいい音を奏でられるものにするかが職人それぞれの技」と語る。木は湿気や気温などで変形してしまう素材。それも全て考慮して何十年と顧客が使用できるものを作ることを心がける。

作ること、弾くこと、そしてそれを仕事として成り立たせること。生きている木を扱うからこそバイオリンはその難しさを教えてくれた。しかし、それが美樹さんが更にいい音を奏でるバイオリンを作り出す理由のひとつとなっているのだろう。

inokuchi violin

31 Railside Rd, Unit6
416-463-8588
www.inokuchiviolin.com


北米初の日本酒醸造所

izumi-takumi

01朝一で蒸されるお米02寝かし終えた麹03丁寧に均等に麹菌を米にふりかけ、日本酒の命、麹を作る。04職人たちの想いがこもったIZUMIの酒がもうすぐ完成を迎えるとき。05蒸された米は一気に冷ます。06店内からも酒を作る様子が見学できる。07工房内にならぶ巨大タンクたち。08ここから新鮮な生酒がカナダ各地へ届けられる。店内でも試飲ができる。

the Distillery Historic Districtに位置する酒醸造所「泉~IZUMI~Ontario Spring Water Sake Company」。カナダ人オーナーのKenさんは、日本に仕事で滞在したことがきっかけで日本酒の虜になった。”ホンモノ”の日本酒をカナダに伝えたい思いから脱サラをしたのち、泉をオープンさせた。日本人にはもちろん、トロントニアンにも人気の泉が提供するオンタリオ唯一の地酒は、全てこの醸造所で造られている。
泉の日本酒はカリフォルニア産の米、京都の種麹、そして京都の伏見地方の水と似ているというムスコカの天然水など、こだわり抜いた原材料を使用し、一本一本丁寧に造られているのだ。

日本酒造りの工程は多く、各工程時間を要する。米洗い、米蒸し、麹造り、もと(出来上がった麹と蒸米と水、酵母菌を入れて出来たのが酒母(しゅぼ)で、酒の元になるのでこう呼ばれる)造りなど、瓶にそそがれるまでには数多くの工程があるのだ。
最も繊細な作業麹造りは、室温28度ぐらいの室(むろ)の中で行われる。蒸し終えた米を素早く冷まし、種麹を混ぜ、麹菌を増殖させる。そのまま一晩寝かせ、翌日に更に麹と米を混ぜる。素早い無駄のない動きはまさに職人ワザだ。

トロント市内のレストランはもちろん、ケベック州など多くの地域に出荷している泉の日本酒。店内では蔵の見学もでき、また試飲もできるので、自分のお気に入りを見つけてみてはいかがだろうか? これからの季節、泉の酒をキリッと冷やして飲むのが旨い。

IZUMI
Ontario Spring Water Sake Company
51 Gristmill Lane (in the Distillery)
416-365-7253
www.ontariosake.com