カナダ・トロントでコミックの祭典TCAF開催!映画化された漫画『ソラニン』原作者 浅野いにお氏もスペシャルゲストとして参加

挨拶を行う浅野氏


5月10日、トロント・コミックアート・フェスティバル(TCAF)の開催に先駆け、ゲストレセプションがジャパン・ファウンデーション・トロント(JFT)にて開催された。TCAFは年に1度、トロントで開かれているコミックアートの祭典で、今年で15年目を迎える。そんな節目の本年は、日本からのゲストとして漫画家の浅野いにお氏を招き、同週末の5月12日、13日に開催された。ゲストレセプション当日は、浅野氏に加え、同じく漫画家のアビー・デンソン氏が加わり、TCAFの開催を祝福した。

日本でも人気のアビー氏の本はJFTで読める

TCAFの開催によりカナダに漫画が浸透することを期待

 ゲストレセプション当日は多くの人々が会場を訪れ、賑わいを見せていた。来場者は用意されていた軽食や飲み物を嗜みつつ、コミックアートの話題を中心として、会話に花を咲かせていた。イベントが始まると、JFT所長の清水優子氏より、TCAFの開催を祝福するコメントが贈られた。JFTはTCAFのスポンサーとしてイベントの開催に携わっている。日本の漫画は、モダンやコンテンポラリーといった新しい分野に分類されるアートであり、一部のカナダ人にとってはまだまだ馴染みの薄いものでもある。TCAFの開催により、コミックアートという日本文化を広めていくための想いについて触れられる場面もあった。また本年の日本からのゲストとして、浅野氏をトロントに招くことが出来たことに改めて感謝の意が述べられた。

 会場にはTCAFの共同創設者であるクリストファー・ブッチャー氏も駆けつけ、今年のTCAF開催に対する意気込みを語った。TCAFでは10年前より日本の漫画家をゲストとして招待する取り組みを行っており、これまでに多くの漫画家をトロントに招き入れてきた。氏は、TCAFの開催により、トロントと日本のコミックアートを繋ぐことを誇りに思うとコメントし、この活動に携わる想いを語った。

■日本でも大人気漫画家浅野いにお氏もファンとの交流を楽しむ

会場の様子

 ゲストレセプションには2名のコミックアーティストがゲストとして参加した。日本からのゲストである浅野いにお氏は、『ソラニン』や『おやすみプンプン』といった著書で知られる漫画家だ。『ソラニン』は日本において、2010年に映画化もされた人気タイトル。今回TCAFに向けて初めての英語版が出版された。浅野氏が海外でのコミック・フェスティバルへ参加するのはこれが2度目で、トロントへ訪問するのは今回が初めてとなる。

 もう1名のゲストであるアビー氏は、ニューヨークを拠点として活動するコミックアーティストで、外国人に日本を紹介する書籍、『Cool Japan Guide』等を執筆している。

サインを書く浅野氏


 浅野氏はTCAFへの招待が光栄であるとともに日本からの漫画家が1名なので緊張していると述べた。また初めての滞在となるトロントについては色々な人がいて、みんな穏やかな感じがするとした。そして「英語が出来るなら明日から住みたいくらい」と話し、会場は温かい笑いに包まれた。

 更に自身の漫画について「日本でも好きな人と嫌いな人がきれいに分かれる作品で、そういった漫画を描いている自覚もあります」と語った。だからこそ「違う国の人にも読んでもらえるという実感がなく、驚いています」と率直なコメントを綴った。そして最後に、作品についての質問があればなんでも答えます、と会場に駆け付けたファンを機に掛ける場面も見られた。

 続いてアビー氏からは、TCAFでは漫画やプログラムの多様性と、そのすばらしさに感銘を受けているとコメントがあった。また話題は彼女の最新書籍である『Cool Tokyo Guide』に及んだ。アビー氏は1997年に初めて日本を訪れて以来、日本文化や食への魅力を見出した。その後日本に関する漫画を描き続けたことが今回のシリーズ発行に繋がっているという。この『Cool Tokyo Guide』はノンフィクションの旅行記でもあり、売り上げるのが難しいと言われるジャンルだ。加えて全編英語で書かれた書籍であるが、面白いことに日本でもよく売れているそうだ。

 最後にクリストファー氏から、JFTとパートナーを組み、TCAFを催すことが出来ることに改めて感謝のコメントが述べられ、ゲストレセプションは終了した。その後は来場者に向け、浅野氏と直接対話をする機会や、サインの時間が設けられた。限られた時間の中ではあったものの、多くの人々が浅野氏の漫画を手に抱え、浅野氏は一人一人丁寧に対応し、サインをしている様子がうかがえた。

浅野氏の英語版漫画がずらりと並ぶ


 日本の大衆文化である漫画はここ、トロントでも確実に浸透している。異なる国同士の文化や創作物を共有するためにも、TCAFの様なイベントは、国を超えた文化の相互理解に大きな役割を果たしていると言え、JFTでのイベントは、日本とトロントの文化的交流の明るい側面を大いに感じられる催しとなった。

日本の文化や漫画家が集結する場に出席できて光栄

アビー・デンソン氏

アビー・デンソン氏
 私は過去10回に渡り日本を訪れ、日本についての漫画を多く描いてきました。今回は、TCAF共同創設者のクリストファー氏と昔からの知り合いということもあり、この場にゲストとして招待を受けました。日本の文化や漫画家が一堂に会するこの場所に、ゲストとして呼ばれることをとても光栄に思っています。