複数の霊が住む場所としてオンタリオ内でも有名な心霊スポット「The Keg Mansion」
カナダを代表するステーキレストランチェーンとして有名なThe Keg。1971年から続く歴史あるレストランで、通常のレストラン運営と合わせて、歴史的建造物の保全にも力を入れており、カナダ各地の有名スポットをレストランにリノベーションしていることでも有名だ。今回紹介するThe Keg Mansionはその歴史的観点だけでなく、多くの人が不可思議な心霊体験をしていることからオンタリオ内でも有名な心霊スポットとして多くの人が食事がてらマンション内を散策している。今回編集部ではそのThe Keg Mansionの歴史的背景や実際の心霊体験を聞いてきた。
The Keg Mansionの歴史
現在The Keg Mansionとして親しまれているこの屋敷の歴史は1800年代後半まで遡る。マクマスター大学創立者のウィリアム・マクマスターが土地を甥であるアーサー・マクマスターに受け渡し、1867年に住居として屋敷が建設された。細部にまでこだわって造られたその屋敷に一目惚れしたハート・マーシーは、1882年に屋敷を購入。さらに手を加え、リフォーム後には屋敷をEuclid Hallと名付け、家族で過ごし始めた。当時カナダを代表する実業家であり、また慈善家としても知られていたハート・マーシーは、夜な夜な豪華なパーティを主催し、時にはクイーン・メアリーやキング・ジョージⅠⅤ世などの皇族が訪れるほど、Euclid Hallは20世紀初頭のトロントを代表する文化・芸術ハブとして有名になった。
1915年にマーシー家はEuclid Hallを離れ、所有権は一時的にトロント大学へ移るも1925年にはトーマス・ライアンがアートギャラリーとして屋敷を買い取り、1962年にレストランに改装されるまで長くトロントのアートシーンを牽引してきた。
そしてThe KegがEuclid Hallを購入したのは1976年。職人の技によって屋敷は1900年初頭、皇族が屋敷を訪れた当時を忠実に再現し、歴史的建造物としての価値を守りつつ、ユニークな食事が経験できる場所として現在はトロントニアン、観光客両方に愛されるレストランとして知られている。
華やかな歴史の裏に潜むThe Keg Mansionの心霊現象
The Keg Mansionとして多くの人が訪れるようになる前からこの屋敷では様々な怪奇現象が起こると噂されてきた。その現象は一人の幽霊だけでは説明がつかず、今も複数の幽霊が住む場所として心霊マニア一押しのスポットとして知られている。
目撃霊1:お屋敷を任された娘リリアン・マーシーのこだわり
屋敷の主人であったハート・マーシーは1896年に亡くなり、彼の死後、屋敷の管理を任されたのは娘のリリアン・マーシー。兄弟と共に莫大な遺産を相続した彼女は女性に料理や裁縫などを教える活動を続けながら61歳でこの世を去るまで屋敷に残り続けた。リリアン・マーシーが息を引き取った彼女の寝室は現在では女性用トイレに位置しており、そこでは今も多くの従業員や食事客が彼女の気配を感じている。さらにリリアン・マーシーの屋敷に対するこだわりや思いが形となった心霊現象に出くわす人も多いという。
目撃霊2:噂の絶えないマーシー家のメイド
マーシー家に使えるメイドで、表向けは主人であるリリアン・マーシーの死を受け入れられず、自ら首を吊って自殺をしてしまった忠誠心を持ったメイドとして知られている。しかし、実際はマーシー家の男と不倫をし、妊娠してしまった事実を隠すために自殺をしたともいわれている。お屋敷内で幽霊として目撃されることが最も多いのが首吊り縄と一緒に佇む彼女の姿だ。
目撃霊3:永遠に遊び相手を求める無邪気な子供
現在はほとんど使用されていない最上階は元々子供部屋として使用されており、マーシー家内では幼い子供がなくなった記録はないが周辺の子供の霊を引き寄せているようで頻繁に笑い声が聞こえるという噂が絶えない。また、実際に幽霊の姿が見えるのは年の近い子供達のみで、目撃した全員が共通して同じ子供部屋を垣間見ているようだ。
実際に不思議な体験談
不可思議な現象さえもユニークな特徴と捉えるThe Keg Mansionでは、実際に不思議な体験をした人が寄稿してくれた話をまとめたバインダーが管理されており、今回編集部では元スタッフから話を伺うと同時に、そのバインダーも見せてもらった。ゾクッとする不思議体験に興味がある人はぜひ一度、The Keg Mansionで食事をしてみてはいかがだろう。
体験談 1
子供が男の子と一緒に遊びたいというので挨拶に向かったが、階段の上には誰もいなかった。子供は男の子が座っている場所を指差し、その子が遊んでいるおもちゃの説明もしてくれたが、大人は誰一人としてその子の姿は見えなかった。
体験談 2
女子トイレのドアフックに昼間購入したワインが入った袋を掛け、用を足していると何かの拍子で袋がフックから外れてしまった。割れる、と思いつい目を瞑ってしまったが、いつまでたっても大きな音はせず、ワインは割れずに床の上に置いてあった。
体験談 3
食後に女子トイレで用を足していた際、隣の空いている個室に人が入ってくるのがわかった。ドアの下から1910年代ぐらいに履かれていたであろうアンティーク調の素敵なブーツが見え、どんな人が履いているのだろうと気になったので出てくるのを待ってみることにした。しかし、いくら待っても出てこないので心配にドアをノックしようとするとそこには誰もいなかった。
体験談 4
女子トイレに一人で入った際、停電などではなく電気が勝手に付いたり消えたりを繰り返した。
体験談 5
マネージャーがレストランを閉める前に女子トイレに飾ってる花瓶をテーブルの真ん中に動かしたのだが、次の日朝一で確認すると花瓶がテーブルの端に動かされていた。おかしいと思いながらもマネージャーは毎晩花瓶を動かすのだが、次の日の朝には花瓶は決まった場所に戻されている。動かすのを諦めた後にはその花瓶が勝手に動くことはなかった。
体験談 6
レストラン閉店後に女性マネージャーが一人で閉店作業を行っていると、誰かがレストランに入り込んできたような気配を感じた。不安を感じたマネージャーは警察に連絡し、指示通りレストランの外で警察が来るまで待機。合流後にレストランを観察すると窓から1910年代の古いメイド服を着た女性の姿が見え、警察が中に入りその女性を探し出そうとしたのだがレストランの中には誰もいなかった。
体験談 7
女子トイレのドアフックにかけてあったはずのカバンがまるで誰かの手に取られたように宙に浮き、ゆっくりと床に落ちていった。
体験談 8
スタッフがレストランをセットアップしようと朝一に出勤すると、テーブルや椅子が部屋の片隅に動かされていた。
体験談 9
レストラン開店直後にバーをセットアップしているとひんやりとした視線を感じた。バーカウンターには小さな男の子が一人で座っており、周りを見渡しても両親の姿が見えなかった。私が「何が飲みたい」と聞くと男の子は「りんご」と消え入るような声で答えた。ジュースを渡して両親を探そうと思ったが、男の子から一瞬目を離した隙に彼はいなくなってしまった。他のスタッフに確認したが、その日レストランで男の子を見かけた人はいなかった。
体験談 10
夏の金曜日の夜に自分の担当テーブルに座る女性客二人と話していた時、急に左肩を触れられたような叩かれたような痛みを感じた。すぐに振り返って確認したが、近くに誰もいなかったし、女性客に聞いても誰も通ったりしなかったと言われた。同僚にその話を伝えると、心配して左肩を確認してくれた。その時の左肩は外傷はないけれど異様なほどに冷え切っていた。