トロント国際映画祭 9/6〜16 日本から駆けつける大ファンに今年の見どころを直撃取材|特集「残りわずかな夏に押さえておきたいトロント8トピック」

 ジョージ・クルーニーが大好きの大阪在住のみえさん。映画好きの度が過ぎてたびたび日本からTIFFに参加しているとの情報を聞きつけ、早速今年の見どころについてお話を伺ってみました。

 例年にも増して豪華な上映ラインナップ。カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』をはじめ、デイミアン・チャゼル監督、ジェイソン・ライトマン監督、バリー・ジェンキンス監督、スティーヴ・マックィーン監督といった面々の最新作もあり、以前からTIFFが注目してきた監督が凱旋している印象。」

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『First Man』

Gala Presentations

 アポロ11号で人類初の月面着陸を果たしたNASAの宇宙飛行士ニール・アームストロングを描いた作品。『ラ・ラ・ランド』がTIFFで観客賞を受賞したデイミアン・チャゼル監督が、再びライアン・ゴズリングと組んだ新作です。
監督:デイミアン・チャゼル
主演:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ

『Destroyer』

Platform

 ニコール・キッドマン演じるロサンゼルス警察の刑事が、事件の捜査に携わるうちに過去の潜入捜査のトラウマが蘇り、自分自身や過去と向き合わざるを得なくなる話。『ガールファイト』での鮮烈なデビューが印象的だったカリン・クサマ監督の新作です。
監督:カリン・クサマ
主演:ニコール・キッドマン、セバスチャン・スタン、タチアナ・マスラニー、ブラッドリー・ウィットフォード

『The Front Runner』

Special Presentations

ゲイリー・ハート米上院議員の1988年の大統領選とスキャンダルを描いた作品。社会情勢への風刺と、その社会の中で懸命に生きる人の姿をコミカルに描く作風のジェイソン・ライトマン監督の新作で、私の一番の期待作です。
監督:ジェイソン・ライトマン
主演:ヒュー・ジャックマン、ヴェラ・ファーミガ、J・K・シモンズ

『The Old Man & The Gun』

Special Presentations

 『ピートと秘密の友達』のデヴィッド・ロウリー監督とロバート・レッドフォードが再び組んだ、銀行強盗の話。ロバート・レッドフォードが、強盗と脱獄を繰り返した実在の男を演じ、本作を最後に俳優引退を表明しています。
監督:デヴィッド・ロウリー
主演:ロバート・レッドフォード、シシー・スペイセク、
ケイシー・アフレック、ダニー・グローバー

『The Kindergarten Teacher』

Gala Presentations

 今年のサンダンス映画祭で監督賞を受賞した作品で、イスラエルのNadav Lapid監督の2014年作品を、サラ・コランジェロ監督がリメイクしています。詩の才能を見せる男児に取りつかれていく幼稚園教諭をマギー・ギレンホールが演じます。
監督:サラ・コランジェロ
主演:マギー・ギレンホール、ガエル・ガルシア・ベルナル

『Beautiful Boy』

Gala Presentations

 TIFFで昨年上映された『君の名前で僕を呼んで』 (Call Me by Your Name /2017)で一躍注目を浴びた俳優ティモシー・シャラメが主演の新作です。薬物中毒をめぐり、スティーヴ・カレル演じる父とティモシー・シャラメ演じる息子との葛藤が描かれます。
監督:フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン
主演:ティモシー・シャラメ、スティーヴ・カレル、
モーラ・ティアニー、エイミー・ライアン

『Fahrenheit 11/9』

TIFF Docs

 ドナルド・トランプ氏が米大統領選に当確となったのが2016年11月9日。本作は、「華氏911」でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞したマイケル・ムーア監督が、トランプ大統領時代のアメリカを描くドキュメンタリー。ドキュメンタリー部門のオープニング作品です。
監督:マイケル・ムーア
主演:ドナルド・トランプ、マイケル・ムーア

『The Public』

Gala Presentations

 大勢のホームレスが図書館をシェルターとして立てこもり、警察やマスコミを巻き込んだ騒動になる話で、出演者が豪華です。1980年代の青春映画への出演で知られるエミリオ・エステヴェスは、昔から監督もしており、本作は監督・主演の最新作です。
監督:エミリオ・エステヴェス
主演:アレック・ボールドウィン、エミリオ・エステヴェス

『Ben Is Back』

Special Presentations

 放蕩息子の帰省から始まった家族の危機に、ジュリア・ロバーツ演じる母が奮闘する話。『アバウト・ア・ボーイ』や『ギルバート・グレイプ』の脚本を書いていたピーター・ヘッジズ監督の監督第2作です。
監督:ピーター・ヘッジズ
主演:ルーカス・ヘッジズ、ジュリア・ロバーツ、
キャスリン・ニュートン

『Giant Little Ones』

Special Presentations

 カイル・マクラクランとマリア・ベロが演じる離婚した両親のもと、10代の息子を取り巻く出来事を描いた作品。キース・バーマン監督の作品は、おそらく日本では未公開ですが、TIFFではデビュー作から評価されているようで、楽しみです。
監督:キース・バーマン
主演:カイル・マクラクラン、マリア・ベロ

『Assassination Nation』

Midnight Madness

 セーラムという町を舞台にしたSNSをめぐるスリラー。予告編の雰囲気が、私好みの学園ホラーものっぽくて楽しみな1本です。サム・レヴィンソン監督は、『レインマン』などで有名なバリー・レヴィンソン監督の息子さんです。
監督:サム・レヴィンソン
主演:オデッサ・ヤング、ハリ・ネフ、
スキ・ウォーターハウス、アブラ

『万引き家族(Shoplifters)』 

Special Presentations

 今年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した作品。万引きと、母親の年金収入で生計を立てている一家をめぐる物語です。日本では6月から公開中で、私はすでに見ましたが、TIFFでの観客の反応が気になります。
監督:是枝裕和
主演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、
樹木希林

『ROMA』

Special Presentations

 1970年代のメキシコシティにおける中流家庭の1年間の生活を描いた白黒映画で、『ゼロ・グラビティ』で有名なアルフォンソ・キュアロン監督の自伝的な作品です。スペイン語、ミシュテコ語音声に英語字幕での上映です。
監督:アルフォンソ・キュアロン
主演:Marina de Tavira, Daniela Demesa, Marco Graf, Yalitza Aparicio

『Halloween』

Midnight Madness

 ジョン・カーペンター監督による第1作『ハロウィン』の40年後を描いた作品。40年前の第1作に出演したジェイミー・リー・カーティスを主演に迎え、正統な続編としたところが楽しみです。TIFFでは一夜限りの上映のようです。
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
主演:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、
ニック・キャッスル

『A Star Is Born』

Gala Presentations

 『世界にひとつのプレイブック』の俳優ブラッドリー・クーパー初監督作です。レディ・ガガ演じる新進のアーティストを見出し、彼女と恋に落ちるベテランミュージシャンを、ブラッドリー・クーパー自ら演じています。
監督:ブラッドリー・クーパー
主演:ブラッドリー・クーパー、レディ・ガガ

こちらも見逃せない!注目の日本映画

『寝ても覚めても( Asako I & II )』


監督:濱口竜介 主演:東出昌大

『斬、( Killing )』


監督:塚本晋也 主演:池松壮亮、蒼井優

『Vision』


監督:河瀬直美 主演:ジュリエット・ビノシュ

「昨年からの#MeTooや#TimesUpの流れを受け、女性の映画製作者による作品ラインナップを重点的に増やしているように感じます。」

今年の映画祭で注目の俳優、女優、監督を教えてください。

■俳優…今年の映画祭で一番注目している俳優は、ロバート・レッドフォード。先日、『The Old Man & the Gun』を最後に俳優業から引退すると表明したこともあり、今作で見納めとなってしまいます。『The Old Man & the Gun』の予告編を見ていると、今回の銀行強盗の役柄は、『明日に向かって撃て!』(Butch Cassidy and the Sundance Kid /1969)のサンダンスキッドが歳をとったらこんな感じになっていたのかな?と思うような風貌。なんだかもうそれだけで見たくなります。


■女優…女優はジェイミー・リー・カーティスです。私にとっては、『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(A Fish Called Wanda /1988)や『トゥルーライズ』(True Lies /1994)で昔から見ているハリウッド映画のスター女優という感覚です。Midnight Madness部門で上映される『Halloween』の主演女優なので、一夜限りの上映ですがきっと舞台挨拶にくると思います。


■監督…監督で一番注目しているのは、ジェイソン・ライトマン監督です。私にとっては、デビュー作の『サンキュー・スモーキング』(Thank You for Smoking /2005)以来、新作が出るたびに楽しみにしている監督なので、TIFFで上映終了後に行われるQ&Aのセッションを、ぜひ聞いてみたいです。

これまでのTIFFの思い出をいくつか教えてください。

あの監督に会えた!

その❶
エドワード・バーンズ監督

 
 2012年のTIFFでは、私の大好きな監督・脚本家であるエドワード・バーンズが監督・脚本・製作・主演を務めた『The Fitzgerald Family Christmas』(2012)のワールドプレミアで、劇場のロビーで監督が普通に立っていたので緊張しながら声をかけると、握手やサインなど気さくに応じてくれました。また、私が日本から来たというと、とても喜んでくださり、当時、ネット配信が台頭しつつあった中での今後の作品の方向性など、映画製作にまつわる興味深いお話も聞くことができました。

その❷
西川美和監督

 西川美和監督は、2006年の『ゆれる』を見て以来、監督作を追い続けており、最近の日本映画界で一番好きな監督さんです。

 2012年のTIFFでは、西川美和監督の『夢売るふたり』のワールドプレミアがあり、舞台挨拶とQ&Aつきの上映後、劇場を出るとロビーに西川美和監督ご本人がいらっしゃり、 私もそこでサインをいただいたり映画のお話をさせていただいたりしました。小柄で非常に可愛らしい感じで、この方のどこから、あの後ろ暗い人間の醜さをあぶり出すような物語が出てくるのだろうと思いました。

その❸
ジェームズ・ガン監督

 いま振り返ればすごい人に会っていたな、と思うのが、2010年のMidnight Madness部門のコメディ映画『スーパー!』の上映後にお話ししてサインをいただいた、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で有名なジェームズ・ガン監督。映画祭のために日本から来たことを伝えると、ここでは言えないようなプライベートなお話も教えていただきました。今の人気ぶりを考えると、あり得ないひとときだったなと思います。

トロントに滞在している人に映画祭の楽しみ方を教えてください。

 トロントにいる機会を活かして、好きな監督の映画や俳優が出ているチケットを取って、観賞してみるのが良いと思います。それも、初回上映か2回目の上映が狙い目。「プレミア上映」となっていなくても、初回上映はまず間違いなく監督や俳優の舞台挨拶があり、上映後にはたいていQ&Aセッションがあります。また、初回上映の翌日に2回目の上映が組まれている場合、監督や脚本家、一部の俳優など、関係者が翌日もトロントに残っており、舞台挨拶やQ&Aのセッションが開催される確率が高いです。

 なお、上映チケットは、パックで事前購入しているtiff会員から優先的に取れるシステムになっているので、個々の上映回のチケットは、9月に入るとすでに売り切れていることもあります。その場合でも、諦めないでください。

 TIFFでは、一度取ったチケットでも別の上映回のチケットに変更できる仕組みがあり、このため、いったん売切れになったはずのチケットでも、再度販売されることがあります。このリセットがかかるのが、毎朝ボックスオフィスがオープンする時間。前日には売切れになっていたチケットが、翌朝一番には復活している場合があるのです。この復活チケットを狙って、早朝のボックスオフィスが開く前から並んでみるのも良いと思います。

 ボックスオフィスが開くまで待っているだけの時間なので、高確率でネイティブスピーカーとの会話が始まり、格好の英会話実践トレーニングになってそれも良い経験だと思います。

 日本映画は日本の観客とは反応するところが違って、観客の反応を見るのも面白いです。

 また、日本映画を見に来るトロントの観客は、日本に興味を持っている人が多いので、入場待ちの列に並んでいるときも、日本人だと言うと日本映画について質問されたりして盛り上がります。これまでの私の経験上、日本映画が好きな外国人は、やはり黒澤明監督の映画が好きな人が多いので、『七人の侍』『羅生門』『用心棒』くらいを見ておくと、会話が弾むかもしれません。