TORJA東北復興通信

アファンの森財団は、森をつくる上で、いちばん大切なこと―その地域の自然を知ることとして、東松島市が取得した90ヘクタールの土地の自然環境調査を2012年9月実施した。植生調査/鳥類調査/水生生物調査などを行い、「地域の自然カルテ」を作るためだ。震災直後の土地の状態と、現在整備活動中の「復興の森」の自然環境が、どのように変化してきているかを、大澤氏に伺う。

「復興の森」と「森の学校」の歩み

―「アファンの森財団」大澤 渉氏より

HP: www.afan.or.jp FB: www.facebook.com/cwnicol.afan.revival


第1歩 90ヘクタールの土地の自然環境調査
子ども達も一緒に、絡まったフジヅルも力を合わせて

子ども達も一緒に、絡まったフジヅルも力を合わせて

東松島で活動を始めた当初、東松島の森は昔の整備を始める前のアファンの森のように放置され荒れている森が大半でした。ただ、周辺の環境調査してみると森に加え海も近くにあり、川や田といった里山環境もあり、それぞれが合わさることで多様な自然環境が成り立っていることに気がつきました。貴重な動植物が見つかりましたし、それらは地域にとって魅力ある宝物になるだろうと感じました。東松島が持つ自然のポテンシャルは素晴らしく、しっかりと森の整備を続けていけば、アファンの森に負けない多様性豊かな森になることが調査からわかってきたのです。

現在も整備を続けている「復興の森」も放置され笹や低木が茂り、藪状態で森の中には光が十分届いていない場所でした。そこで、まずは笹藪を払い、枯れた木を処理しました。それだけでも森は見違えるように明るくなりました。地面まで光が入るようになると、埋土種子と呼ばれる土の中で眠っていた種や、風や動物たちによって運ばれてきた種が育つようになります。森の中で花をつける植物が増え、そこには蜜を求める虫たちがやってきます。その虫を餌とする鳥たちも戻ってきます。明るい森は人にとっては気持ち良いですが、明るくなり過ぎると動物にしてみれば逃げ場も隠れ場もない棲みにくい森になってしまいます。森の整備は声で人に訴えることができない動植物の気持ちをくみ取って進めていくことが大事です。

春、カタクリの花が咲く。

春、カタクリの花が咲く。

復興の森は、生物多様性豊かな森にしていくと同時に、学校の授業を森の中で行う森の教室としての機能や地域の皆さんにも愛される憩いの場になるようにと考えています。そのため、地域の方々や地元の子供達、ボランティアの方々と一緒に森づくりをすすめています。整備の甲斐あって、今では森の中に散策路がつき、人が集まれる広場が完成しつつあります。整備によって今まで顔をしかめて見ていた森が、笑顔あふれる森に変わったのです。

次回●第2歩「復興の森と森の学校の構想」をお伝えします。


「つながろう女性のための復興カフェ」

—「みんなの家・かだって」より

HP: cadatte-kamaishi.com/?cat=192 FB: www.facebook.com/minnanoie.cadatte

2014年10月16日「みんなの家・かだって」にて 第2回 つながろう女性のための復興カフェ開催

2014年10月16日「みんなの家・かだって」にて
第2回 つながろう女性のための復興カフェ開催

グッドデザイン賞を受賞した「みんなの家・かだって」の前で。 建築家伊東豊雄氏の設計(前列中央右)

グッドデザイン賞を受賞した「みんなの家・かだって」の前。建築家伊東豊雄氏の設計(前列中央右)

4月号でご紹介した@リアスNPOサポートセンター(以下、@リアス)が運営する街づくり活動の拠点「みんなの家・かだって」の取組みから、もうひとつ、復興に携わる女性をサポートする活動をご紹介します。2014年7月と10月の2回、三陸沿岸地域(陸前高田市から大槌町まで)のNPOや市民活動団体で働く女性スタッフの方々と、仕事場での困りごとや仕事に対する気持ちについてデスカッションが行われました。

”もやもや”を解消して、復興に必要な女性の元気を支える

震災以前から、@リアスは、地域の女性が自分の想いを外に向けて表現できる事や市民活動に積極的に関わりを持てる人材を育成する目的で「女性のためのパワーアップセミナー」を開催していた。震災後は「赤い羽災害ボランティア・NPO活動サポート基金」の助成を受け、「復興カフェ」を2013年から立ち上げた。企画を練り、様々なテーマを設定して開催し、商業者や行政・仮設連絡員などの支援する立場の方々、中・高校生など様々なメンバーが参加している。

一方で、女性の参加者は少ないのが課題だった。被災地域にはNPOや市民活動団体が多く立ち上がり、雇用の場として地域の女性スタッフが働いているが、自身が被災者でありながら、復興に取組む過程で、NPOの活動の主旨や自分が活動している団体の成り立ちなどを知らずに就労の場として選択し、現場で苦労をするといった現状の課題がある。「NPO活動には想いが必要」でも、震災以降、雇用の受け皿として緊急雇用創出事業を行っていた被災地のNPO特有の課題かもしれない、と@リアスは考えている。そういった課題や悩みを共有し、「私だけじゃなかった」という気づきや対応の方法を見いだすことで、もやもやを解消し、今後の活動に活かしてほしいと「つながろう女性のための復興カフェ」を企画した。

復興を成し遂げるためには、地域の有力者の男性や行政だけではなく、子どもはもちろん、女性の目線はとても重要となる。そこで、中間支援のネットワークを活かし、まずは沿岸南部地域で活動しているNPOや市民活動団体の女性スタッフ間のネットワークを形成する事を目標にしている。また、女性達は、活動を通してそれぞれの想いが芽生え、意欲的に活動に取組もうとしている。そんな女性達を応援し、震災前からの課題であった女性が積極的に発言すること、また発言する場を増やしていくことに、「復興カフェ」はこれからも注力する。復興に携わる多くの女性達が元気に活動できるようになることが願いだ。


5月の定点カメラ

@リアスNPOサポートセンター事務局長 川原 康信

HP : kickoff-rias.com/fukkocamera
 FB : www.facebook.com/fukkocamera

みんなの家・かだって

震災前から商店街の空き店舗を活用してコミュニティースペースを独自で運営していました。津波で被災した施設を解体し、同じ場所で建築家を初め沢山の皆様のお力をいただいて2013年6月から再開しました。当初は、周りに何もありませんでしたが、少しずつですが街並みが戻り始めています。私たちは、これからも同じ場所で生き続けます。

「情報交流館かだって」瓦礫となった施設、希望を失った日

「情報交流館かだって」瓦礫となった施設、希望を失った日

「みんなの家・かだって」同じ場所で再開した施設、希望を取り戻した日

「みんなの家・かだって」同じ場所で再開した施設、希望を取り戻した日