カナダ最大のインディーズコミックの祭典Toronto Comic Arts Festival

「マークと皆」連載中のイラストレーターデイビッド並里さんが見る、

カナダ最大のインディーズコミックの祭典Toronto Comic Arts Festival「 TCAFと私」

tcaf-01

TCAF 中のToronto Reference Library の1階

tcaf-02

1.2013 年のTCAF で出展しているDavidさん 2.マンガ家にサインしてもらうファンの行列 3.TCAF のおかげで誕生した“The Long Kingdom”第1巻の表紙 4.2014 年のTCAF のポスター


TORJAで連載中の4コママンガ「マークと皆」を描いている並里デイビッドです。私がプロとして雑誌のイラストやマンガを描き始めてから8年半が経ちますが、多くのカナダ人マンガ家の仲間達や、トロントマンガ界との出会いはごく最近の2012年でした。出会いの大きなきっかけの一つは、Toronto Comic Arts Festival (TCAF)でした。
Toronto Comic Arts Festival (TCAF)とは、毎年5月上旬の週末にToronto Reference Library で開かれるカナダのマンガ文化を奨励する、カナダ最大のインディーズマンガ祭りです。カナダ全国、そして海外からの自費出版マンガ、小出版社マンガが出展され、そのマンガ家たちとも交流が出来るイベントです。また、特別ゲストで日本のマンガ家も参加します。去年は「鉄コン筋クリート」の松本大洋先生と、ゲイ・エロティックマンガの田亀源五郎先生が参加しました。今年は、日本から「ゴロンドリーナ」のest em先生と「さくらん」の安野モヨコ先生がいらっしゃいます。
TCAFには毎年一般のマンガファンとして行っていましたが、2011年の秋、私の日本で英語を教える外国人講師あるあるのウェブマンガ「Life After the B.O.E.」がグラフィックノベルとして出版されたのをきっかけに、2012年のTCAFでは自分の新作を出展したいと思い出展者申請しました。
北米のマンガはスーパーヒーローものというイメージがありますが、TCAFは日本の本屋のように、子供から大人まで楽しめる、あらゆるジャンルのマンガと出合える場所なので、家族全員で楽しめるマンガの祭典です。
大手スーパーヒーローもの出版社に圧倒されず、沢山の自費出版や小出版社出版の個性的なマンガが出展されている事が魅力的だったので、自分の作品もTCAFで出展したいという強い気持ちが生まれました。
以前マンガファンとしてTCAFに出席していた頃は、もちろん出展しているマンガ家達と会話をしてはいましたが、出展者となると、まる2日間イベント会場で過ごすので、他のマンガ家達とたくさんお話する時間がありました。特に、私と同じ「日本で英語を教えている外国人」をテーマにしたマンガを描いているBC州出身のマンガ家コンビとブースが隣合わせだったので、お互いのあるある話ですぐ仲良くなりました。
マンガ家との交流は展示会場に限られていません。TCAFは土・日ですが、その前の平日にもパネルディスカッションやイベントも行われます。去年は国際交流基金で松本大洋先生の講演がありました。今年はest em先生と安野モヨコ先生のイベントや日系マンガ家のジリアン・タマキ先生とマリコ・タマキ先生のイベントなどが計画されているそうで、内容はTCAFのホームページ、torontocomics.comで発表されます。
TCAFはカナダ国内にとどまらず、カナダのマンガ文化を外国へ推進しています。2012年の秋からTCAFは、毎年東京で開かれる海外マンガフェスタにブースを設け、日本のマンガファンにカナダのマンガを紹介し、マンガでの日加交流を行っています。私も、カナダ人マンガ家としてTCAFに誘われて、TCAFの海外マンガフェスタブースで2012と2013年も出展させていただき、「マークと皆」と私の最新マンガシリーズ「The Long Kingdom」も日本の読者に紹介することができました。
このTCAF日本進出で日本が大好きなカナダ人マンガ家と、彼らの作品に出会いました。達観的なマンガ、オペラのマンガ、かわいいマンガ、自伝マンガ、舞台がトロントやモントリオールであるマンガに出会いました。もちろんこのマンガ家達は今年のTCAFにも出展します。
新シリーズの「The Long Kingdom」の第1巻が2013年の春に発売されたのもTCAFのおかげだったのです。2012年の秋、東京で海外マンガフェスタが終わり、電車で池袋のホテルに皆で帰宅中TCAFの創立者Christopher Butcherさんがマンガ家の皆に「皆さんはTCAF 2013で新作を発売する予定ですか?」とおっしゃいました。その一言で、私は長年下描きのままだった、「The Long Kingdom」を本格的に描く事を決意し、TCAF 2013に間に合うように必死にマンガを描きました。そして「The Long Kingdom」第1巻がTCAF 2013でデビューしました。ちなみに、TCAF 2014では「The Long Kingdom」第3巻が発売となります。
5月10日と11日、是非TCAFにお越しください。沢山のマンガが皆様をお待ちしています。私も自身のブースで皆様をお待ちしています。


デイビッド並里(David Namisato)
トロント育ちのイラストレーター&マンガ家。子ども雑誌でキャリアを始め、現在は主にマンガを描いている。和と洋のかみ合いや、ぶつかり合いを絵で表現することが多い。
David Namisato HP: www.namisato.org