トロント不動産情報 VOL. 37
本文:照岡 敏介 -Toshi Teruoka オンタリオ州政府公認・リアルエステートライセンス保持者
ついにカナダ政府が住宅ローンにストレス・テストを導入
需要と供給のバランスが取れずにカナダ政府も苦戦しているトロント不動産事情。今年9月を去年9月と比較するとリスティングされた物件数(売り物件)は減少しましたが、売買が成立した件数は増えるという結果になっています。平均売買価格(MLS統計上)も20.5%の価格成長と著しい伸び。20年続いている価格上昇と昨今の2ケタ台での上昇を懸念し始めているカナダ政府は、10月17日からストレス・テストを住宅ローン(Mortgage)に取り入れました。
このストレス・テスト(Stress Test)は頭金(Down Payment)が住宅購入価格の20%未満で住宅ローン保険(Mortgage Insurance)の加入が必要なローンを組む方が対象です。カナダの住宅ローンは政府が後ろ盾になっている保険ですので、納税者が最終的には保険の補償をする事になります。
CMHC(Canada Mortgage and Housing Corporation)の保険保証額は約5300億ドル。低金利の為に、借入額の許容が増え続け、それと並行するように住宅価格も上昇し、住宅購入時の借り入れ額は膨れ上がるばかり。それを懸念した政府は今後金利上昇しても返済が可能である様に現在の金利に基づいて借入額を決めるのでは無く、将来の金利上昇を見据えたゆとりのある返済を視野に入れた物です。
現在、銀行などの金融機関の住宅ローンの金利2.5%(5year Fix)ですが、ストレス・テストでは金利4.64%(5year Fix)での月々の返済可能額を基に借り入れ最高額が設定されます。
このストレス・テスト以外にも以前から適応されていたルール、住宅を保持する為のコスト(住宅ローンの返済、光熱費、Property Taxなど)が収入の39%を超え無い、そして総合返済額(Total Debt Service Ratio)が収入の44%を超えてはいけない事などは継続して適応されています。
この新しく適応されたルールはどの様にトロント不動産事情を変えて行くのでしょうか?
下の表は今年と去年9月のMLS上での平均不動産売買価格と新規売却希望登録数です。