熟練スタッフも顔負け!? AIロボット店員 | トロントの居酒屋風雲児【第31回】
すっかり夏らしい日が続き、週末には色々な屋外イベントなどが開催され、トロントもとてもいい時期になってきました。今月はGuu Torontoの2周年になります。あっという間の2年でしたが、これからももっといいお店になるようにチーム一丸となり頑張りたいと思います。これからも何卒よろしくお願いします。
ここ最近、様々なジャンルでAI、人工知能を利用したサービスや商品を目にします。ハンドルを握らないでも自動運転する車など、昭和産まれの私からするとまるで漫画の世界のようですが、今はもう21世紀、そんな事が可能になっている時代です。まだまだ未知の部分も多いですが、人工知能の活用によりこれからの飲食店は変わっていくと言われています。
日本では2年前に100億円の予算を確保して、飲食店などのサービス業を営む中小企業が業務の効率化のためにIT=情報技術を活用する場合、最大100万円を補助する事業を開始していて、昨年度は予算額を5倍にまで増額したとのことです。飲食店などのサービス産業の生産性を上げて、日本経済全体の成長につなげていきたい考えのようですが、まだ正直、居酒屋で人工知能が活用されるイメージは少ないです。具体的にはお客様からの注文を入力するだけで、売り上げや客数などを管理し、天気や過去の売り上げなどの情報を人工知能で解析、売り上げの予測もでき、シフトも作れるなど私たちの仕事の効率が良くなるようです。
また、私も行ったことのある東京のラーメン屋さんではAIロボットが接客しているとのことです。そのロボットは券売機の横に設置され、お客様が来たら「いらっしゃいませ」と声をかけ、登録していれば顔を認証して名前まで呼ぶというのでびっくりです。お客様の顔は覚えていてもなかなか名前が出てこない事など私達もよくあるので、そういう点では人間よりも優秀かもしれません。またロボットは性別や年代などを分析して、いつ、どんな人が、何を頼んだのかをデータとして保存するので、新メニュー開発などに十分に活用する事ができます。そのほかにも3回来店したらトッピングを1つサービスしたり、新しい商品提案を行ったり、世代や性別ごとに人気のあるメニューを提案したりと、熟練スタッフ顔負けの仕事をするとのことです。もちろんロボットならではの問題で故障したり、顔認証に少し時間がかかったりと悩みもあるようですが、なかなかの働きっぷりにびっくりです。ロボットに全てを任せての営業はまだまだ先だと思いますが、私たちが時間をかけて行っていた作業が今よりも効率よく行えれば、私たちの作業効率が上がるので、もっと生産性の高い仕事ができるようになっていくかと思うので、人工知能の活用にはとても興味があります。
飲食店は他の業種と比べて労働時間が長い割には賃金が低かったり、仕事の内容がきつかったりと少し倦厭されがちな業種と言われ、人材の確保が大変だと言われていますが、近い将来は人工知能が居酒屋の店長の仕事を助ける日がくると思います。人工知能は人の仕事を奪うのではなく、人を手助けしてくれる可能性を感じます。店長が本来やるべき新たなメニュー開発やクリエイティブな仕事に集中できるようになれば素晴らしいことです。人工知能の活用はまだ始まったばかりですが、近い将来には飲食店の仕事のイメージが大きく変わっているかもしれないと思うと楽しみですね。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。