行方不明者の存在 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第65回】

東日本大震災では多くの命が失われました。しかし、それ以上に今遺族を悩ませている、そして悲しませているのは「行方不明者」の存在です。

亡くなった、ということは、いわゆる「遺体」や「その一部」が見つかり、DNA鑑定などで本人確認が出来た場合、遺族はそれを「死」として受け入れます。

しかし、津波は無情にも、たくさんの人々を巻き込み海へ戻っていきました。その波に飲み込まれ、今でも遺体が見つからない、つまり「行方不明」の方々がたくさんいます。

遺体の捜索は主に陸上を中心に行われました。さらに、岸や海岸沿いなどの捜索も行われています。しかし、波がさらって行った遺体が「海の底」にある可能性も多くあります。現在も200名近い行方不明者のいる陸前高田市の遺族連絡会が、広田湾海底の捜索を要望するべく、署名活動をしています。捜索方法として願っているのは、海底に沈んだままの車の車体の引き上げと、その周辺調査です。

今でも月命日には県警による一斉捜索は続きますが、海中での捜索活動の動きは残念ながらありません。

しかし、平成27年の夏に、米崎町の漁港海底にあった車両から男性の遺体が発見されました。この遺体は東日本大震災の行方不明者と判明し、遺族の元に帰ることが出来ました。これらの出来事を受けて、同連絡会は今でもまだ行方不明者は見つかる可能性があると強く希望を持っています。

この海の底に眠っているのかもしれない


海の底を捜索するのは、おそらくお金もかかるし、時間もそれなりの設備なども必要になるのかもしれません。しかし、陸上や海岸はほぼ全て捜索しつくしたと言っても過言ではありません。政府も東日本大震災関連の予算を縮小し始めています。まだまだやれる捜索があるのなら、国はお金をかけてでも全力で対応してほしいと願っています。

遺体という「証拠」がない行方不明者の家族は、「もう亡くなっている」と思う一方で、証拠が無いので記憶喪失とかになって生きているのかもしれない、という思いとの間で揺れ動いたまま今でも生活しています。

手を尽くして探しさえすれば、たとえ見つからなくても納得できるのではないでしょうか。納得して、次に向かって歩みを進めることが残された遺族にとって大事な事であるならば、国は責任を持って、やれることを最後までやってほしいと切望します。

私たちに出来ることは少ないかもしれませんが、行方不明者を家族に持つ方々が、全員納得できるような捜索をこれからもやってほしいと思います。


オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc

現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。

南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp



本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介