震災前よりもいい街に | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第67回】

東日本大震災からもうすぐ7年になります。

あらためて、震災後の生活の様子を数字で表したいと思います。岩手県内の死者数は5134人、行方不明者は1122人。災害公営住宅は計画戸数の81%が完成する見込み。

しかし今なお1万3000人を超える被災者が仮設住宅で不自由な暮らしを続けています。これを考えると住まいの再建は緊急の課題です。

被災者生活再建支援金の支給状況から見る個人住宅の再建率は48%。高台移転や区画整理など宅地造成は計画する7811区画のうち47%が完了。まだまだ復興の道半ばだとわかる数字です。

政府は2020年までに復興を完遂したいとしていて、2020年は東京オリンピック、パラリンピックの開催年でもあり、この祭典は、復興の姿を世界に見せる、という大義もあり、オリンピックと復興を同時に進行させようとしています。しかし、オリンピックの施設建築に大工さんや資材などが流れているという話もあり、復興のスピードがあがらないのも現実です。

あと2年で本当に復興が完遂するのか。

被災地の人々はみんな不安を抱えています。こういった被災した弱者を地域や家族が支えていましたが、今の時代そんな関係も薄れてきています。仮設住宅で仲良くなった人たちも、結局はバラバラになって、再度コミュニティを構築する労力を使わなければいけません。

震災はそういった人と人とのつながりをバラバラにしてしまいました。遅れてくる人たちをどう救うか。これが大きな課題となっています。

日本国憲法13条には生命、自由、幸福追求に対する国民の権利が書かれています。

「すべて国民は、個人として尊重される」という条文があります。震災時で解釈すると、すべてを失った被災者が自立出来るまで支援していく、という事なのではないでしょうか。


幸福を追求する最低限の基盤となる衣食住や生業を整えるのがとても大事なのだと思います。

どんな状況下であれ、日本国憲法は日本国民にとって大事なものです。だからこそ、被災者が最後の一人まで穏やかに、そして震災前の普通の生活に戻れなければいけません。さらには、多くの被災者が「震災前よりもいい街にしなければ亡くなった人に申し訳ない」と言います。

戻るだけではなく、以前よりも良い街にする事こそ真の復興なのではないでしょうか。


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本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介