生活再建 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第73回】

 東日本大震災から7年を経過した今年、地元岩手の新聞社「岩手日報」が津波被害を受けた岩手県沿岸部の12市町村長へアンケート調査をした結果が先日発表されました。

 岩手県の沿岸部はまさに今回の東日本大震災で莫大な被害を受けました。7年が経過して、被害の大きかった沿岸部の首長さん達は何を思うのか。このアンケートで色々と見えてきました。

 総じて、沿岸部12市町村長が出した問題は「人口減少」「なりわい」「生活再建」というキーワードの言葉でした。課題は多様化していて、苦慮の沿岸部の現状がすごく良くわかりました。

 「人口減少」に関しては、沿岸部だけでは無く、岩手県は内陸部でも大きな問題です。南部美人のある二戸市もこの問題を抱えていますが、人口減少率をみると、沿岸部は突出して減少のスピードが震災以降早まっているのがわかります。まさに「歯止めがかからない」という状況です。

 特に大きな被害を受けた大槌町では2018年2月1日現在の人口が1万1389人。震災前の2011年3月1日と比べ3833人も減少しています。

 減少率は岩手県内全ての市町村で最大の25.2%となりました。これはかなり深刻です。市町村が成り立つためにはその人口がいなければ成り立たず、避難して戻ってこない人なども含め、人口流出が予想以上に起きています。

 このままでは沿岸部の市町村は近い将来存続が危うくなります。何とかして行かなければいけませんが、妙案はありません。

 「なりわい」に関しては、町並みが整備されたとしても、なりわいの再生が遅れ、賑わいを取り戻すことが出来ない例が多くあります。

仮設住宅


 結局、ハード事業は進んでも、そこに住む「人」がいなければ意味がありません。国はハード事業の進捗状況は常に気にしていますが、そこに住む人のなりわいの醸成こそ大事なのだと思います。

 「生活再建」に関しては、生きるための生活を再建する時はすでに過ぎ、今は地域の活力を震災前と同じかそれ以上に維持したいのに、それが叶わない状態になっています。

 当然、これら3つは個別の問題では無く、全てがつながる問題です。そこにさらにもう1つ指摘された問題がありました。それは「風化」の問題です。
 東日本大震災を忘れてしまう、もう大丈夫でしょう、と言われるような「風化」を感じるのは12市町村長中、10市町村長がそれを感じると答えています。

 この風化の問題も大きく、被災地は取り残されている、という無力感に包まれる人たちが多くいるのも現状です。頑張ることが当たり前では無く、いつまでも寄り添う心がある事こそが頑張る原動力になるのです。忘れてほしくない。これが被災地の正直な心なのです。


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本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介