ラグビーワールドカップと震災復興 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第87回】

 2019年9月20日から日本ではラグビーワールドカップが開催されています。「四年に一度じゃない、一生に一度だ」をスローガンに、世界中のラガーマンとその応援団が日本にやってきます。日本中の様々な会場で試合が行われますが、私の住む岩手県では東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部の釜石市で試合が行われます。

 釜石市は東日本大震災で死者・行方不明者が合計で1000人近く出ました。人口4万人弱のまちでは大きな被害です。その中でも、ラグビーワールドカップの釜石での試合が行われるのは、鵜住居(うのすまい)復興スタジアム。このスタジアムは、東日本大震災後に建設されました。ラグビーワールドカップの日本開催が決まり、試合会場が決まった際に、釜石市だけがその当時スタジアムを持っていませんでした。

 しかし、釜石市はラグビーのまち。記憶にもあると思いますが、新日鉄釜石ラグビー部は1979年から85年にかけて、ラグビー日本選手権を史上初めて7連覇し、北の鉄人と呼ばれ、東北でも有数のラグビーが盛んな地域です。

 東日本大震災津波で大きな被害を受け、釜石市はこのラグビーワールドカップを大きなチャンスにして、復興に向けて歩み続けてきました。鵜住居という地域は東日本大震災の時、「釜石の奇跡」と言われた場所。鵜住居小学校、東中学校の児童・生徒が、子供たちで率先して行動し、手に手をとって避難して助かり、その率先避難行動は世界中に広く紹介されました。その学校跡地に鵜住居復興スタジアムは建っているのです。

 釜石市民と岩手県全体では、このラグビーワールドカップを復興の象徴にするべく、ここまで頑張ってきました。「たくさんの世界中の支援から復興した姿をラグビーワールドカップで多くの方々に見せたい、そしてお礼をしたい」これが釜石市民、そして岩手県人の今の素直な気持ちです。

 この後2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックも東日本大震災の復興を世界にPRする大会です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに繋がるような、東日本大震災の復興を象徴する大会にラグビーワールドカップがなることを心から願っています。世界中から東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市に人が集まり、素敵な交流が生まれ、そして震災の傷跡を見ていただき、防災の心を世界の方々に育てていただく。そんなワールドカップになるように、私達も頑張っていきます。復興のその先の未来に向けて。

オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc

現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。

南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp

本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授

久慈 浩介

 岩手県の銘酒として知られる「南部美人」は、カナダ・トロントでも味わうことができる日本を代表する酒蔵で、2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。5代目である久慈さんは震災直後から日本酒を通じて地域復興の様々な取り組みを行ってきた。本連載では久慈さんが体験したことや復興の取り組みなどを寄稿してもらう。