H.I.S.オススメ オトナの旅 〜プリンスエドワード島〜
カナダに来た理由は何ですか?」「What brings you here?」誰しもがカナダに来たら聞かれる質問なのではないだろうか。私の答えは簡単だ。「プリンスエドワード島がある場所だから。」
100年以上たった今も多くの人々を魅了する赤毛のアン。母親の影響で私も10歳の頃から大ファンになり、毎日擦り切れるほどDVDを観て、その舞台となったプリンスエドワード島に思いを馳せた。
ワクワクする気持ちを抑えながら、トロントから飛行機に乗り込み、約4時間半程でシャーロットタウンに到着する。到着したのは夜中であったが、空港の外には多くのタクシーや迎えの車が飛行機の到着時間に合わせて待っていた。
タクシーに乗り込み、シャーロットタウンの滞在先に向かう。ドライバーはとてもフレンドリーで、私が滞在する間の天気を調べてくれたり、街のオススメスポットについて細かく教えてくれた。なんだか、楽しい一人旅になる予感がした。
1日目はプリンスエドワード島の北海岸ツアーに参加した。バスに乗り込み、はるばる日本から訪れたという人たちと一緒に回る。話に夢中になっていたが、ふと外を見るとたちまち目が釘付けになった。
どこまでも続く広い空、あたり一面には緑が広がり、有名な赤土のじゃがいも畑が点在するその風景は、まさに私が長年頭の中で思い描いていた美しい風景そのものだった。ずっと先まで美しい風景を見渡すことができるのは、山がないこのプリンスエドワード島の地形ならではだそうだ。このツアーではニューロンドン灯台やコープヘッド灯台など、個性豊かな灯台と、どこまでも続く美しい海岸線を見て回った。
その日はシャーロットタウンに宿泊した。小さくて可愛らしい街にはギフトショップやカフェが並び、島発祥のアイスクリーム屋「COWS」では、島で搾取されたミルクを使った濃厚なアイスを楽しめる。このアイスクリーム屋はカナダで一番美味しいアイスクリームとして雑誌に紹介されているほどだ。色々な種類のアイスクリームがあり、選ぶのにも一苦労。味はとても濃厚で、ミルクの旨味が凝縮されていた。
2日目は待ちに待った赤毛のアンツアーに参加した。シャーロットタウンから車で約20分くらいのところに、キャベンディッシュという村がある。この村は赤毛のアンの作者、ルーシー・モード・モンゴメリのゆかりの地でもあり、このツアーでは作者が実際に生まれた家や、作者のお墓、物語に出てくる郵便局、物語のモデルとなった建物グリーン・ゲイブルズ・ハウスを訪れることができる。そして、お昼にはなんとロブスターもついてくる。プリンスエドワード島は水温が低いため、他の地域より身が締まった美味しいロブスターが捕れることで有名で、ずっと食べてみたいと思っていた。ぷりぷりの身に溶かしバターを付けて食べることで、ロブスターの旨味を大いに味わうことができた。
午後は写真家の間でも有名なフレンチリバーや、かつて島の唯一の公共交通機関として東西を結んでいたケンジントン駅舎も訪れた。行きたいと思っていた場所、すべてを1日で回るこのツアーは私にとっては本当に夢のようなツアーだった。
ずっと夢見てきたプリンスエドワード島。今までも雑誌やインターネットでプリンスエドワード島についての綺麗な写真をたくさん見てきた。しかし、実際に足を運び、自分の目で、耳で、肌で、〝五感〟を最大限に使って味わった今回の感動は、写真を見るだけでは到底得ることができないものであった。これが旅の醍醐味なのだろう。私を含め、多くの人々を魅了し続けるプリンスエドワード島。赤毛のアンを求めて訪れる人もいれば、世界一美しい島と言われる場所を求めて訪れる人も後を絶たない。それはなぜか?その理由は、是非実際に足を運び、五感を使って確かめてきてほしい。