TORJA読者旅行記#29

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1 宿泊したB&B 2 ホテル・タドゥサック。開業は1864年 3タドゥサック湾の夕景 4 道中にある、ホエール・ウォッチング観光地らしいフラッグ5 ツアーボートに乗船する様子 6 タドゥサックから戻ってきたフェリー 7 ホエール・ウォッチング時の川の様子…見えない…。

#029 ケベック・タドゥサックと その周辺

今月のレポーター Miwakoさん

一昨年の8月、ケベック旅行を楽しんでいた私達家族は、一日だけ少し足をのばしてケベック・シティから北東へ車で3時間ほど行ったところにある、タドゥサックという街まで行きました。

タドゥサックはセント・ローレンス川とサグネ川の交わるところに位置しています。昔はフランス本国と貿易が行われ、毛皮取引で栄えていたそうですが、現在は13種類ものクジラが集まる入り江ということで、ホエール・ウォッチングのできる観光スポットとなっています。また海洋生物研究も盛んに行われているということです。

ケベック・シティからタドゥサックまでの道中は自然が豊かで、私達が行った8月は緑がとても美しかったです。途中からアップダウンも頻繁になり、上りきったポイントから目の前に広がるセント・ローレンス川周辺の風景はこの先の旅への期待を膨らませます。

街の手前で道は途切れ、そこから車ごとフェリーに乗ります。この辺りはケベック州立公園の域内で、環境保護のため橋は架けられていないのです。しかしここは幹線道路の延長線上で物流トラックも多く、それら大型車両を大量に渡すフェリーは、船というよりも巨大な長方形の動く橋という感じでした。10分程度の短い乗船時間ですが、サグネ・フィヨルドと呼ばれる自然が作り上げた広大な一帯を臨むことができます。

タドゥサックは小さな港町で、メイン・ストリートもこぢんまりとしています。チェーン店も無く、ひとつひとつの店は小さくかわいらしかったです。私は「いかにも観光地」的な手入れがされていないこの街がすぐに気に入りました。

まずは宿へ。ホテル・タドゥサックという、赤い屋根と白い建物が印象的な、街のランドマークとなっているホテルがありますが、私達は街の中心から少し離れたところにあるB&B(ベッド&ブレックファスト)に泊まりました。この街は大きなホテルは少なく、B&Bやプチホテルが多いのです。
チェックインの手続きや部屋の案内はその宿のお嬢さんがしてくれました。夏休みのあいだ家の手伝いをしているのでしょうか。まだ中学生くらいの彼女は少し恥ずかしそうに、でもフレンドリーに接してくれました。部屋は友達の家にスリープ・オーバーするような、生活の匂いのする空間でした。寝具や水回りは清潔に整えられていました。私達にとっては初めてのB&Bでしたが、文字通りアットホームで、居心地がよかったです。

その後私達はメイン・ストリートへ再び行き、レストランで夕食を済ませました。メニューはやはりシーフードが豊富でした。レストランのパティオからはタドゥサック湾が一望できました。風がかすかに吹くたびに、潮の匂いを久しぶりに感じることができました。夕暮れ時の湾内は、空も水面も印象画のような淡い色彩で美しく、時折遠くでベルーガ(シロイルカ)がゆっくりと泳ぐ背中を見ることができました。いつまでも見ていたい風景でした。

翌日、私達は同じくホエール・ウォッチングスポットであるサン・シメオンという街まで移動し、ツアーボートでのウォッチングに向かいました。

しかしこの時はあいにくのもやと小雨、加えて強い風で波も立ち、かなりの視界不良…。それでも私達を含めた乗客たちは一生懸命に目を凝らしてクジラの姿を探し続けました。最大10kmの川幅があるというセント・ローレンス川。ほとんど海と変わらないスケールの中で探すのはかなり至難の業でしたが、船長はクジラがいると思われる場所へ粘り強く舵を切り続けます。

その甲斐あってか、約2時間の乗船で何とか数頭のベルーガの泳ぐ姿を見ることができました。運がよければもっと数多くの、そしてもっと様々な種類のクジラや、アザラシにも出会えるそうです。私達は残念ながらあまり見ることができませんでしたが、やっとのことで探し出した達成感を味わうことができました。

今回は1日だけの短い滞在でしたが、静かにゆったりと流れる時間と、自然が作り上げる壮大かつ繊細な風景に心癒される贅沢なひとときでした。

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