東大生に聞く!トロント大学 vs 東京大学|特集 トロント大学「U of T」

 日本の最高峰として知られる東京大学。しかしながら、THE世界大学ランキング2019では42位。一方、そのランキングで21位を獲得し優位に立つのは、トロント大学だ。昨年の9月から約8ヶ月間、東京大学からトロント大学に交換留学に来た金融を学ばれている湯谷さん、そして国際関係論を学ばれている菅さん二人に、果たしてトロント大学はどう映っているのだろうか?

Q トロント大学と東京大学を比較して大きく違うなと感じたところはどこですか?

湯谷さん

湯谷:自分を表現する機会ですね。大学側が提供するのももちろん、それに対して学生も答えようとしています。経済学はあまりプレゼンをしない分野ですが、トロント大学ではプレゼンをよくしますし、授業中の質問の量も多いですね。学生の質問に対して教授が答えて、会話みたいになる場面も多々あります。

 授業外だと、とんでも無いことを議論したがる生徒がいますね。

 「日本の人口減少についてどう思う?」「天皇制についてどう思う?」「南京大虐殺についてどう思う?」「アートの定義って?」とか、そういう質問を食事中にしてきたり、人と議論する機会が圧倒的にトロント大学の方が多いと感じました。おまけに、それはただ単に学生の興味本位で聞いてきているので、日本の大学生からしたらありえないことですね。

菅さん

菅:勉強、大学の成績に対するモチベーションとバイタリティが違うなと感じました。A+を取るためになんでもするというか、例えば、東大で先生が試験範囲を伝える際に、それに対して生徒は何も言わないけど、トロント大学の学生は違います。もし、試験範囲が広すぎたり、試験範囲に試験直前の授業内容が入っていたりすると、抗議をするんです。

 そういう光景をどの授業でも2、3回くらい聞いて、そこまでするトロント大生に驚きました。バイタリティに関しては、企業など学校外で何かしらにチャレンジしようという精神があると感じました。

Q 言語の障壁を抜きにすると、授業の難易度はどちらの方が難しいですか?

A 東大の方が難しいと思います。

 東大生はやっぱり東大受験を経験してきていますし、東大生に比べると、トロント大生は基礎知識が圧倒的に少ないと思います。例えば、トロント大生が質問する際に、「そんなことも知らないのか?」と思う場面が多々あって、東大生だったら絶対みんなわかるだろうということがトロント大生はわからないという意味では、基礎知識の量がトロント大学生の方が少ないですね。それは、トロント大学は入りやすくで、卒業しにくい。東京大学は入りにくくて卒業はできるという、そこの差なのかなと思います。

Q 課題の多さは、トロント大学の方が多いですか?

A そうですね。東大は試験だけで成績がつく場合が多いですけど、トロント大学は、日常の課題からプレゼン、期末試験まで常に勉強をし続ける感じですね。だから、トロント大学は強制される分身につくかなというイメージはあります。

Q 東大とトロント大学、どちらの勉強の方が将来のためになると思いますか?

A 東大は自分次第です。環境でいうと、東大はトロント大学と同じかそれ以上で、それを使えるかどうかにかかってきます。正直、そこまで勉強しなくても単位を取れたり、成績をそこまで気にする必要はないです。だから自分から進んで勉強すればその分学力はつくけど、その人次第です。

 トロント大学は強制的にインプット・アウトプットを多くさせられるので、皆卒業すれば学力はつくイメージです。それと、学費がとても高いのでその分真剣に勉強していますね。

 それと、東大は相対評価なのでみんながみんな出来が悪いとそこまで成績は悪くならないんですけど、トロント大学は絶対評価なので、「絶対何点取らないとA+が取れない」という風に決まっています。

Q 授業での発言量はトロント大学生の方が多いですか?

A 多いです。大教室の百人二百人の授業でも発言する人も多々いますね。でも、正直質問のクオリティはそこまで高くないです。

 授業とそんなに関係のないことでも、疑問に思ったことはなんでも聞いてしまう学生が多いです。その質問するアグレッシブさは東大生にないところだと思います。というのも、勉強に対するモチベーションが東大生とトロント大生で違いますね。

 トロントだと、大学院に行くとしても、就活するとしても、GPA(各科目の成績から算出された成績評価値)が大事になってくるので、そのために勉強するのはやむをえない感じです。せわしなく勉強しているイメージがありますね。

 一方で、東大生は、自分から進んで興味のあるものを勉強しようとしている学生が多い気がします。日本はGPAが直接就職活動に関わってくるわけではないので。

Q 正直お二人にとってはどちらの大学が良いですか?

湯谷:海外の大学に留学することも考えていたこともありますが、その時にトロント大学に行っておけば良かったかと言われると、東大に進学して良かったと思いますね。純日本人として、東大の方がメリットが多いのも事実です。

 例えば、入学する時に勉強してきた分、周りの人が優秀ですし、自分自身日本語が母語だから、もっと深く話せる部分が多いです。

菅:僕も日本の大学に入って良かったと思います。ただ正直一番の問題は学費ですね。東大なら1年間で50~60万円程度の学費で質の高い授業を受けられるのに対して、トロント大学は1年間でおよそ400万(学生ビザの場合)と考えると、そこまで払う価値は正直ないのではないかと思います。

 英語力に関しては、もちろんトロント大学に4年間いた方が絶対伸びると思います。でも、アジア系の大学生と話してもネイティブ並みに上手いわけではないということにもこちらに来て気づきました。

 トロント大学の日本人はトロントで就職するのではなく、結局日本に帰る人が多いと思います。その場合、日本に帰ったら「他の人よりも英語ができる人」になるだけになってしまう気がして。これはトロント大学に1年間交換留学に来ないと分からなかったことですね。

 来る前までは、4年間留学すればネイティブ並みに話せるようになると思っていたので。だから、英語でネイティブに近づきたいっていう目的だけで4年間留学するべきではないと思います。

Q 余談にはなりますが、世界大学ランキングで、東大よりもトロント大学の方が圧倒的に上位だったことが話題になりました。

A それは多様性の差がかなり影響しているのではないかと思います。

 学生もそうだけど、教授もいろんな国籍の人が入り混じっているのがトロント大学。日本人の先生が日本人に教えているのが東京大学。もし東大が国際化したら、そのランキングもかなり変動するのではないのでしょうか。