トロント大学学生・卒業生のネットワーク構築で広がる将来の可能性 University of Toronto Japan Network

左から杉浦さん、森川さん、佐藤さん

 トロント大学の多様な日本人人材を繋げるべく設立された University of Toronto Japan Network(UTJN)。The Torontoniansというウェブメディアをはじめ様々な活動をしている。UTJNを創立した目的や今後の展望を創設者兼前代表の森川馨太さん、創設者兼現代表の佐藤栞さん、そしてクリエイティブ・ディレクターの杉浦愛來さんに伺った。

UTJNが作ろうとしているのはサークルではなく「文化」

−トロント大学に通う約200人の日本人を繋げるUTJN、その設立の背景を教えてください。

森川:私はトロント大学に来た当初、大きな期待を持っていたんですね。特に私は日本育ちだったので、トロント大学に入学することは自分の中でも特に大きな意味を持っていました。しかし、いざ来てみると思っていた以上に「普通」。勉強して、たまにパーティーして、の繰り返し。「これがしたいからここに来たわけじゃない。何かを変えなきゃ。」と一年生の頃は悩んでいました。その傍ら、人と仲良くなるにつれパーティーで会っただけでは分からないような様々な背景や情熱を持った人間がいるということに気付いたのです。そこで自分に出来ることは何だろうと考えた時に「日本という共通点を活かして面白い学生を集めて繋げ、刺激しあえる環境を作りたい」と思ったのです。

佐藤:私も一年生の頃、大学で誰も知らないという悩みに直面しました。コミュニティーに入って人と繋がりたいと思ったものの、一年生の時に入った団体はどれも好きなことで繋がっているだけというような団体でした。もっと深い関係を築けるような環境があったらいいなと思ったのを機に森川さんに話を持ちかけ、二年前に二人でUTJNを設立しました。「ネットワーク」という名の通り、人と人とを繋げたいという思いで設立しました。

森川:私達が作ろうとしているのは単なる学生団体ではなく「文化」です。一般的なサークルのようにイベントがある度に人を集めるだけではありません。トロント大学の他の学生とも、日本の大学に通っている学生とも、他の海外の大学に通う日本人学生とも違う、「トロント大学の日本人って特殊だよね」というようなアイデンティティをより築いていきたいです。自分の周りを見てもトロント大学にはユニークな日本人学生が多くいる気がします。彼らが自分の好きなことや将来の夢についてお互い話していくうちに、ここに来た意味を感じられるようなネットワークを作りたいと思っています。学生達がUTJNを通じて繋がり、お互い切磋琢磨出来るような仲になればと考えています。

Torontoniasには学生のリアルな記事がたくさん

−文化を作っていきたいとのことですが、そのための活動としてどのようなことを行っているのでしょうか?

佐藤:UTJNには3つの柱があります。一つ目はキャリアイベントです。日本に拠点を置く日系や外資の企業だけでなく、人材会社など海外大生を採用したい企業から直接アプローチされることもあります。

杉浦:企業説明会以外にも、人事の方が大学で面接を行い、合否を出すというキャンパスリクルーティングも開催していますね。二つ目は鍋パーティーやハロウィンパーティーと言った交流会ですが、この部分については今後も新しい交流会を考えていきたいです。三つ目はThe Torontoniansというウェブメディアです。メンバーの背景だったり情熱を持っている分野や社会、思想に対する意見を記事にして発信するのはどうか、という理由でTorontoniansが誕生しました。人は普段から何かを感じていても言語化しないと考えないことがあると思うので、記事を書いてもらったり、投稿された記事を見てやる気を出してもらったり、頑張ろうって思ったりしてもらうことが狙いです。

佐藤:TorontoniansはUTJN独自の、他大学の日本人団体は行っていない活動だと思いますので、我々の象徴であるこのサイトは今後も力を入れていきたい分野です。

−幅広い活動をされている中で見えてきた課題はありますか?
佐藤:メンバーに合ったイベントやTorontonians用に定期的に記事作り、投稿することは大きな課題です。また、卒業生のネットワークもまだ未熟です。今夏に東京で同窓会を企画しているので、それが卒業後のネットワーク構築への一歩となればいいなと思っています。

森川:私も先輩の紹介でトロント大学の卒業生にお会いしに行った経験があり、ネットワークの大切さを感じました。「卒業生にこんな面白いことやっている人がいるんだ」と思える方との出会いを現役生にも体験してほしいですが、全員がそういった繋がりや行動力があるとは限りません。だからこそUTJNが卒業生と現役生を繋ぎ、卒業生はお互い刺激し合えるようになるためにも、世界中でのネットワーク強化が重要になると思います。

人材会社を交えての交流会も行われている

同じ活動のみし続けるのであればUTJNは潰れた方がいい

−最後に今後の展望を教えてください。

森川:ネットワークを構築すると言っても段階があると思います。今はまだその基礎段階ですが、私はUTJNのネットワークをより深く、強いレベルのものにしたいですね。私たちは現在3つの柱を中心に活動していますが、一年後にこれまでと同じ活動を続けているのであればUTJNは潰れた方がいいと思っています。来年のこの時期には新たな柱を見つけ、更なる成長を遂げていて欲しいです。

佐藤:来年は私が最上級生になるので、チームを牽引しなければなりません。昨年まで森川さんと活動してきましたが、UTJNが続くには下級生に想いを受け継いで行く必要を感じ、今年は杉浦さんを含め、新たに5人の運営メンバーを採用しました。ただ採用するのではなく、新メンバーたちらの提案を実行に移していく環境を整えることこそ、UTJNが成長し続けていくための鍵になると考えています。


The Torontonians: uoftjn.com