和牛の魅力を理論的に説明・実演とテイスティングを交えた「和牛セミナー」が開催

日本食普及の親善大使であり、カナダ日本食レストラン協会(JRAC)会長の木村氏が経営する銀杏レストランで開催

2月5日に全農アメリカが主催する和牛セミナーが銀杏にて開催された。このセミナーは参加者に対して和牛の部位やそれによって異なってくる調理法などを実演形式で披露し、トロントにおける和牛を始めとした日本食や日本産食材の更なる普及を目的としている。

会場となった銀杏は1984年の開店以来日本の食をトロントに広め続けてきたトロントを代表する日本食レストランだ。オーナーの木村氏は日本食普及の親善大使であり、カナダ日本食レストラン協会(JRAC)の会長でもある。自らの目で野菜や果物、お肉を見て、生産者ともしっかりと話をしたうえで納品をするという強いこだわりの持ち主であり、現在は日本産商材を銀杏でまずは活用し、物流は勿論味にも満足が行くようであれば他の日本食レストランに進める、トロントで日本食材を活用していくための第一関門のような役割を果たしている。そんな銀杏で行われた今セミナーにはレストラン関係者をはじめたくさんの方が駆け付けた。

セミナーは全国食肉学校で講師を務める佐俣宏紀氏から和牛に関するプレゼンが行われた。その中で佐俣氏は昨今の和牛ブームが起きているにも関わらずあまり知られていない和牛の特徴や他の肉用牛との違いや品種、肉の等級についての説明を行った。

豊かなバラエティが魅力の「肩ロース」

実演も佐俣氏によって執り行われ、参加者には切り分けられた部位についてのことがわかりやすいよう、あらかじめ冊子が手元に配られた。牛の部位は大きく13のパーツに分けられ、各部位の説明は佐俣氏によって丁寧に行われた。部位によってはお勧めの調理法や価格、そして食感までが違ってくるというからお肉は奥が深い。


今回実演で特に注目されたのは「肩ロース」。首から肩にかかっているこの部位は大きなもので30㎏にもなる。サーロインやヒレ肉と違い、とてもバラエティ豊かな部位だという。サーロイン等の部位は扱いやすく、どこをカットしても似たような肉質、断面をしているため味も安定している。しかし、肩ロースの場合は切る部分によって断面が様々であるため、その部分によって使い方や食感も変わってくる。


その背景には筋肉の使用頻度が関わってくる。牛は餌を食べるときは重い頭を下に向ける必要があるため、首の筋肉は必然的によく使うことになるのだ。そのため肉の色も濃くなり、筋肉の繊維一本一本が太くなっていき、肉質が硬いか柔らかいかは見ただけである程度判断が可能だという。肩ロースについてはよく動かしているネック部分は硬く、リブロースに近い部分は柔らかいのだ。この柔らかい部分はしゃぶしゃぶ用に使ったり、厚く切ってステーキにすることができる。しかし、和牛は油が濃厚で少量を食べただけでも満足感があるため、大量に食べるよりはコースのメイン料理のように60、70グラムを食べるのがお勧めだという。

肩ロースは大きく7つのパーツに分けられ、その中の一つに「座布団」と呼ばれる部分がある。この部分は表面や筋を削るため量が少なくなり、希少価値の高い部位だ。だがその見た目はとても華やかで食感も柔らかくジューシーだと日本では大人気だ。

管理方法と切り方が和牛の肝

和牛を管理する上でまず大切なのは温度調節だ。適切な温度にしておかないと肉がだれてしまうため、使う時に冷蔵庫から出し、使わない時は入れておく必要があるそうだ。

和牛を冷蔵庫から出したらまず確認するのはドリップが出すぎていないか。肉の70%は水分で構成されており、ドリップが出すぎてしまうと保水性が低くなってしまい、ジューシーさが損なわれてしまうため、ドリップが出すぎてしまうと必然的に商品価値が低くなってしまう。

和牛の取り扱いの上では切り方も重要になってくる。肉は基本的に筋肉の繊維であり、一本一本の繊維を見ることはできないがその「目」というものが存在する。カットの基本はこの目に対して直角に切ることだ。目に沿って切ってしまうと断面が流れてしまう。見た目でもわかるが、最大の違いは歯を入れた瞬間に筋肉繊維が当たるか当たらないかでわかり、食感を大きく左右するという。

実演の最後にはQ&Aセッションもあり、更に詳しい肉の取り扱い方や調理法等について積極的に質問が寄せられ、参加者の関心の高さが伺えた。

レクチャー後は切り分けられたそれぞれの部位を実際に試食することができ、とても和やかな雰囲気でセミナーは幕を閉じた。和牛を始めとする日本食や日本産食材を通し、カナダでも日本に興味を持つ方が増えていくことに期待したい。