和楽器ユニット『WASABI』が日加修好90周年を記念してトロントで公演!

元オンタリオ州首相キャサリン・ウィン氏も来場するなど多くのカナダ人で会場は満席

 吉田兄弟として数年前にカナダを訪れた津軽三味線の吉田良一郎さんが率いて、尺八の元永拓さん、箏・十七絃の市川慎さん、太鼓・鳴り物の美鵬直三朗さんで構成された和楽器ユニット『WASABI』。

 衣装は、着物ではなく洋服。特に学校の生徒は着物を見ただけで身構えてしまうため親しみやすいように、と洋服で活動しているという。当日、会場はトロントに住む日本人をはじめ、各関係者や現地のカナダ人など多くの観客で埋め尽くされた。

左からTerence Kernaghan・州議会議員 伊藤恭子・在トロント日本国総領事 キャサリン・ウィン・元オンタリオ州首相 ゲーリー川口・JCCC理事長


 公演前に在トロント日本国領事館の伊藤恭子総領事が挨拶を行い、「今夜、トロントに素晴らしい邦楽アーティストである『WASABI』をお呼びでき、大変光栄に思います。『WASABI』という名前は、覚えられやすく、日本語で「わ」は「日本」を指し、「さび」は音楽用語で「最もキャッチーな部分」を意味します。日本の伝統楽器を演奏しており、彼らの音楽は他の典型的な伝統楽器の音楽とは異なり、ダイナミックです。日本の民族音楽や古典音楽と結びつく曲もありますが、それよりも、ポップやロックミュージックに近いと感じると思います。

 私は大学時代、箏のミュージッククラブに所属しておりました。元永さんも同じ大学の同じクラブに所属していたこともあり、私は昔から彼を知っておりました。彼は、その才能と練習の成果を発揮し、プロの音楽家になりました。
 『WASABI』だけでなく、個人の活動としても忙しいにもかかわらず、私達のために今夜お越しいただきました。本コンサートの開催をサポートしてくださったジャパンファウンデーションと日系文化会館に感謝いたします。本日はどうぞお楽しみください。」と述べた。

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 オープニング「東雲」と「烈光」を披露後、メンバーを代表して元永拓さんが挨拶を行い、メンバーを紹介するとともにトロントで公演できる喜びを語った。

 続く「イレブン」と「BRIGHT」を披露後は、「元々、吉田が2008年にグループを結成しようと計画したのが、『WASABI』の始まりでした。箏と尺八は古典派に属し、津軽三味線と太鼓は民謡に属します。属性が異なるため、特に箏と三味線が一緒に演奏するというのは、結成当時はほとんどありませんでした。

 まず、吉田は太鼓奏者である美鵬にグループを結成しないかと声をかけ、美鵬が私(元永)を知っていたことから私が加わり、さらに市川を誘い、グループが結成されました。」と結成のきっかけについて話し、こきりこ節という日本の民謡を『WASABI』でアレンジした「KOKIRIKO」を披露し、アップテンポの曲に合わせて会場は手拍子で一体となった。


 そして、これまで発表しているCDの案内やiTunesでの配信、SNS(#wasabimusic)での発信などを案内し、日本のスピリットを表現した曲「AOI-葵」や三味線にフォーカスした「しぐれ」を演奏。元永氏は『WASABI』の作曲方法についても披露し、「私たちの活動目的は、この日本の伝統文化を継承することです。私たちは、日本の小中学校や高校、時には大学でも、コンサートやレクチャーなどを行なっています。ですが、日本人であっても、若い世代はこのような日本の伝統楽器を聴く機会があまりないというのが現状です。古典音楽は、1曲が20分も続くなどとても長いです。そのため、『WASABI』では、その音の味わいなどは残したまま、より短くすることを意識して作曲しています。


 作曲については、全メンバーが行っているのですが、作曲方法はそれぞれで違います。市川は、ヘビーメタルバンドのギタープレイヤーから箏奏者になり、私(元永)もバイオリンから尺八奏者になったため、私たちは西洋楽器を使って作曲をします。吉田は5歳の頃から三味線を始めているのもあり、三味線を使って作曲するので、吉田が作曲した際は、ジャムセッションを行い、曲を仕上げていきます。美鵬が演奏する太鼓ではメロディーを作ることはできないため、彼がハミングしたものを楽譜にして作り上げます。これから演奏する「百夜月」は市川が、「グリザイユの空」は私(元永)が、「イエロージーナ」は吉田が作曲しました。」と述べ、作曲に対するこだわりを会場に語りかけた。


 最後の挨拶では、「これまで多くの国々で演奏してきましたが、今夜のトロントが過去最高でした。トロントでコンサートを開催することができ、とても楽しかったです。またトロントへ来られたらと思います。」と語り、それぞれの楽器にフォーカスした楽曲「光耀」では各楽器の見せ場が設けられ、披露後は会場全体がスタンディングオベーションとなり、アンコールの歓声があがるなど公演は大成功を収め幕を閉じた。