愛媛県の特産である養殖魚や柑橘類がふんだんに使われた「和食まつり」がトロントで開催|メイド・イン・ジャパンでカナダを攻めろ!

 カナダ日本レストラン協会(JRAC)が主催する「」が、11月18日に日系文化会館にて開催された。

 昨年の同イベントに引き続き、カナダで日本の和食と食文化の素晴らしさを発信すべく、協賛である愛媛県の特産である養殖魚や柑橘類を中心とした日本料理やお寿司、デザートが愛媛県の地酒や日本全国の銘酒とともに多くの来場客に振る舞われた。

 またレセプションでは愛媛県の養殖マグロの解体ショーや様々な種類の柑橘類の紹介なども行われたほか、海外からの訪日観光客に昨今注目されている四国の「しまなみ海道」や徳島県の鳴門海峡など観光の魅力も紹介されるなど会場は昨年以上の大盛況を見せた。

和食や日本食材、日本酒の魅力発信・販売促進を目指すJRAC

 JRACは和食や日本食材、日本酒の魅力発信・販売促進を目指し、トロントの日本食レストランなどが中心となって2005年に設立された。同団体は和食の健康的・文化的側面の理解促進と、日本食の「今」をカナダに届けることを理念に、これまでも多くのイベントを開催してきた。

 昨年3月の愛媛県の地酒とのペアリング料理を振る舞うフードフェア、そして同じく昨年11月の「和食まつり」の好評を受け、今回で同イベントは9回目の開催となった。

養殖漁獲量と柑橘生産量において日本一を誇る愛媛県

 愛媛県は養殖漁獲量と柑橘生産量において日本一を誇っており、現在は食材のブランディングや海外市場のさらなる開拓に積極的な姿勢を見せている。さらに注目すべきはオリジナル種の開発や高級路線への転換である。特に近年は優良品種の開発に注力しており、今回のイベントでも多くの参加者から絶賛された「紅まどんな」や「愛育フィッシュ」などがその代表例である。

 「紅まどんな」は愛媛県オリジナル品種のミカンであり、南香と天草というミカンの交配品種として知られ、薄皮で果汁たっぷり、ゼリーのようなトロッとした食感が特徴の最高級品種として売り出されている。その上質さから日本でも入手困難な高級フルーツとして贈答用などで人気を博しているという。

 また「愛育フィッシュ」とは愛媛県産養殖魚の通称であり、「愛情込めて育てられた」と「愛媛県で育てられた」の意味が込められている。特にマダイの漁獲量は愛媛県が日本一であり、ブリやヒラメなども全国トップレベルの漁獲量を誇る。

 特色として、マダイ養殖は県西部の宇和海沿岸部で特に盛んであり、太平洋から流れ込む黒潮の豊富な栄養素と潮流の速さの恩恵を受けた身のしまりと脂ののりが評判だ。

 そして養殖魚の高付加価値化へ餌にイヨカン等の果皮を混ぜることで、変色や魚臭さを抑制し、かんきつの風味もするフルーツ魚養殖を確立した愛媛県の養殖魚は、今や「ミカンフィッシュ真鯛」として高い知名度を誇っている。

トロントの著名日本食シェフらによって考案された和食コース

 メニューはトロントの著名日本食シェフらによって考案され、どの料理にも愛媛県産食材が盛り込まれた。ディナーメニューは前菜三種(鴨ロース煮・愛媛県産里芋田楽・愛媛県ミカンフィッシュ真鯛の炙り)に始まり、刺身やステーキに愛媛県産鮮魚の寿司に続き、紅まどんなや同県産柿を使用したデザートで締められた。参加者らはそれぞれの料理に日本全国の銘酒をペアリングさせたり、愛媛の地酒「石鎚酒造」の大吟醸や純米吟醸などを堪能した。 

料理

愛媛県産食材のシェアはまだまだ伸びしろがある

 来賓として招かれた伊藤恭子・在トロント日本国総領事は、自身の体験としてトロントで「紅まどんな」が贈答用として販売されていたり、日本食レストランで愛媛県のお酒が提供されていたり愛媛県の名前を目にする機会が増えたと話した。

 さらに祝辞の中でカナダでの和食人気に関連づけて、愛媛県産食材の今後について次のように話した。「和食のヘルシーなイメージや、UNESCO無形文化遺産登録などが日本食の人気を助長しているのではないか。日本からカナダへの農業・漁業生産物の輸出量は連続で増加し続けている一方で、カナダ市場に占める愛媛県産食材のシェアはまだまだ伸びしろがあると思う。愛媛ブランドを生かしてさらなる市場開拓を応援したい」と述べた。また、愛媛県の美味しい食材を通して、同県の温暖な気候やしまなみ海道から見える美しい風景など、愛媛そのものの様々な魅力を知るきっかけになればと呼びかけた。

柑橘と魚の美味しさの秘密はそれぞれ『畑の力』と『海の力』

 中村時広・愛媛県知事は、同県の食材について「柑橘と魚の美味しさの秘密はそれぞれ『畑の力』と『海の力』」だと語った。沿岸部で盛んな柑橘栽培は、空からの太陽光・海からの反射光・段々畑の石垣からの輻射熱の「3つの太陽」の恵みを受けている。一方で、愛媛県沖は高い水温と深い水深、そして栄養素を豊富に含んだ海流の3要素が揃っているために、身のしまった美味しい魚が育つという。

 さらに愛媛県独自の工夫として、養殖魚の餌に柑橘オイルやカカオを混ぜることで、生臭さの抑えられた美味しい魚が育てられると話した。この方法で養殖された「ミカン鯛」は前菜メニューでは炙りとして提供された。中村県知事は「自分のいまの健康は愛媛県産食材のおかげ。ぜひ今回のイベントをきっかけに、愛媛の食材がカナダでもっと広まると嬉しい」と今後の展開に期待を寄せた。

日本食の良さはヘルシーさと食材を大事にすること

 JRAC会長の木村重男氏は、以前本誌のインタビューで「日本食の良さはヘルシーさと食材を大事にすること」だと語った。
 日本食レストランがどんどん増えている今だからこそ、和食文化の原点に立ち返り次世代につなげていくことが重要であると同時に、和食の未来のためにはその門戸を広げることも必要だと話した。

 今回の和食まつりでも、来場客にカナダトップレベルの日本食をぜひ堪能してほしいと呼びかけていた。