カナダのワーク・ライフ・バランスって本当にいいの!?|白ふくろうのネタ探し #13

【第13回】カナダのワーク・ライフ・バランスって本当にいいの!?

最近、いろいろな機会に「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を聞いたり、見たりします。日本では、特に長時間労働が問題となり、自殺や過労死といった社会問題となっていることは皆さんもご存じでしょう。

日本の厚生労働省が「平成29年度版労働経済の分析」(労働経済白書)を公表しました。その第二部のタイトルが「イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題」となっており、特にその第二章「働き方をめぐる環境の変化とワーク・ライフ・バランスの実現」として、この問題に焦点を当てています。

そこで取り上げられている問題には、長時間労働、働き方を巡る環境の変化、共稼ぎ世帯の増加、仕事と家庭の両立などが取り上げられており、その取り組みと効果を分析しています。

残業削減に効果があると考え、実際に取り組んでいることが多いものに、「上司からの声かけ」「計画的な残業禁止日の設定」の2つが上がっています。

これを見て、白ふくろうは考えました。

これって、おかしくないか?

残業って、上司が命じるものじゃないの?計画的な残業禁止日の設定という発想自体、残業が慢性的にあるという前提になっていないか?別の分析を見て、さらに謎は深まるばかり。

残業時間が短縮された企業の具体的な取り組み内容の上位は
●実態(実際の労働時間など)の把握(え?把握していなかったの?)
●長時間労働者やその上司などに対する注意喚起や助言(経営者が現場を見ていなかった証拠)
●仕事の内容・分担の見直し(今更!直属上司の無能を証明する事例!)
●所定外労働の事前届け出制の導入(導入していなかったことが不思議)
●休日労働に対する代休の付与(労働基準法に決められているのでは?)
●ノー残業デーの設定(だから、残業ありきで考えているでしょ!)
●適正な人材確保(経営者の責任につきる)
などなど、突っ込みどころ満載の事例になっています。

今ではカナダの労働環境がすっかりしみついてしまった白ふくろうも、実はこうした労働環境で働いていました。でも、1980年代は残業をばんばんすることが勲章のように考えられており、全国プロジェクトのリーダーを任されたときには、最後の3か月くらいは毎晩夜中の2時、3時まで会社で仕事をし、タクシーで帰宅。翌日も朝9時には出社するという生活をしたこともあります。若かったからできたことですね。

今考えれば、異常だと思いますが、この報告結果を見て30年経った今も日本の労働環境は変わっていないということを知りました。

仕事柄、日本の人から、「カナダでは、定時になるとみんな退社し残業なんかしないんですってね」と言われます。たしかに、そういう人たちもたくさんいます。ジュニア・オフィス・クラークや、製造ラインで働く人たち、シフト制で働く人などは、定時で仕事を終えるのが原則。しかし、「みんな」と言われると、「いえいえ、日本人以上に働くカナディアンもたくさんいますよ」と答えています。特に、職位が上がれば上がるほど、必要なときには徹夜など苦にもせず、働きます。

OECDが発表しているBetter Life Indexというランキングで、ワーク・ライフ・バランスが説明されています。対象はOECD調査対象国38か国。

全体では、週50時間以上働く労働者の割合は13%となっており、とても少なくなっています。もっとも長いのはトルコで39%、次いでメキシコ28%。男女別では、男性平均17%女性平均8%。

フルタイム雇用の労働者の場合、娯楽や私的な時間は、OECD平均62%(約15時間)だそうです。

では、カナダの実態は?

●週50時間以上働く人の割合…3.8%
(38ヵ国中11位)
●娯楽、私的時間数…14.4時間
(38ヵ国中31位)

長時間働く人は確かに少ないですね。でも、娯楽、私的時間数がOECD平均より少ないのはなぜでしょう?

娯楽には、友人、家族と過ごす時間、趣味、ゲーム、コンピューター、TV鑑賞などが含まれ、私的時間には、食事、睡眠などが含まれます。

長時間働いていないのに、こうしたことに使う時間がOECD平均以下である理由はなんだと思います?報告書にはその説明がありませんが、白ふくろうは、勉強・自己研鑽ではないかと思います。

先にご紹介したように、定時で帰る人はたくさんいますが、そのような人達の中には、その後、知識、技術、資格を得るべく、学校に通って勉強している人たちがたくさんいます。ましてや、エグゼクティブを目指す人達は、もちろん忙しい時は時間を気にせず必死に働きますが、その他の時はやはり勉強している人がほとんど。

では、日本のデータは?

●週50時間以上働く人の割合…21.9%
(38ヵ国中35位)
●娯楽、私的時間数…14.9時間
(38ヵ国中 22位)

おや?娯楽、私的時間数は、カナダより多いじゃありませんか?

ということは、ワーク・ライフ・バランスを取ろうとすれば、カナダより楽なのでは?でも、実態はそうは簡単にいきませんよね。職場の空気が…

これが一番の問題のようです。


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白ふくろう

1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。