カナダの#MeTooムーブメントのその後!?|白ふくろうの「カナダの社会・経済」ネタ探し【第25回】

 2017年10月に世界的にムーブメントを巻き起こした#MeToo性的暴行の訴え。その後、いろいろな有名人が訴えられてスキャンダルになり、企業内でも昔の従業員や部下に訴えられるのではないかと戦々恐々としたエクゼクティブがいたようで、法律事務所への問い合わせも多かったようです。

 あれから1年経ち、その後の警察報告データが発表になっています。そこで今回はカナダの#MeTooムーブメントのその後を追います。

 性的暴行Sexual Assaultsは、被害者の精神的痛手が大きくすべてが警察に報告されるわけではありません。そのため、#MeTooの動きが広まるまでは報告されない事件も多数あったのではないでしょうか。もちろんその後も警察に報告されない事件はまだまだ多数あると思いますが、それでも今回発表された警察データは、#MeTooが警察に報告することへの心理的障壁を引き下げたことを示していると考えていいのではないでしょうか。

 警察データでは、比較可能なデータが2009年以降しかないのだそうですが、直近で比較すると次のようになっています。
 2016年1月〜2017年9月までの3ヶ月平均と#MeTooが起きた2017年10月〜12月の3ヶ月の警察報告性的暴行件数を比較すると、25%も増加しているそうです。一日あたり(一日ですよ!)59人の被害者に対し、#MeToo以降は74人と急増です。
 この急増は、おそらく性的暴行件数自体が増えたわけではなく、#MeTooの動きに啓発され届け出る被害者が増えたと見るのが妥当なようです。また警察側の取扱も変更され、被害者に報告するように呼びかけた成果とも見られています。

 #MeTooがピークとなった2017年10月のカナダにおける性的暴行事件警察報告被害者は約2500人となり、10月、11月と2009年以来もっとも多い月となっています。3ヶ月で見ると1998年以来の多さだそうです(ということは1998年にもこんなに多かったのかな?)。

 単月比較でみると、2017年10月の被害者数は、前月9月に比べ29%増、前年10月に比べ46%増と急増です。10月〜12月の3ヶ月の対前年比較では、2016年4912人に対し、2017年6766人だそうです。いかに#MeTooの効果があったかがわかります。

地域別に見ると、その地域性が見えてきます。

 州別の増加率では、ケベック州で10万人あたり12.4人から20.0人に増加し、増加率61%とダントツです。ついでニューファンドランド・ラブラドール州36%増、マニトバ州27%となっています。全国平均では、24%増で10万人あたり15.0人から18.6人となっています。

 さらに細かく見てみると、都市部で増加しています。例えばケベック州の場合、ケベックシティを中心とする地域で78%増となっており、シェアブルック76%、モントリオール67%と大きく増加しています。地域別では、都市部27%に対し郊外12%とやはり都市部での増加が顕著です。

 ケベック州で大きく増加した要因には、警察の取り組み効果が大きいようです。モントリオール警察では、専用ホットラインを開設し、その他の警察でも積極的な呼びかけを行った成果と言われています。

 警察に報告される性的暴行事件は、事件が起きてすぐに報告するケースが多く、即日報告されるケースが#MeToo前後で51%、47%と大きな変化はありません。発生後一ヶ月以内に報告されたケースでも、77%、73%となっており、やはり変化は少ないようです。

 一方、昔受けた性的暴行事件を訴えるケースは急増したようです。10年以上前に受けた性的暴行を訴えた件数は、#MeToo前3ヶ月で284件だったものが、#MeToo後の3ヶ月では544件と倍増しており、かつての部下に訴えられないかと多くのエクゼクティブがビクビクした現状を裏付けています。

では、性的暴行を受けた被害者はどんな人達だったのでしょうか。

 被害者の9割は女性です。特に25歳以下の若い女性が被害にあっているケースが多く、#MeToo前後で55%、56%と変わっていません。その中でも被害率がもっとも高い年齢層が15歳から17歳で、この年齢層人口10万人あたり145.3人から191.5人と32%増となっています。

加害者は誰か

 約80%の事件の加害者は、被害者の顔見知りだそうです。その増加率は30%となっており、見知らぬ加害者による事件の増加率6%を大きく上回っています。

 加害者別には、知り合い28%、友人・ルームメイト35%、職場の上司・同僚・業者・顧客65%となっています。報道では、よく職場の上司が話題に取り上げられますが、全体で見ると報告件数の6%と飛び抜けて多いわけではないようです。

性的暴行を受ける場所は

 性的暴行はどこでも起こりうる事件です。特に15歳から17歳の子どもたちが被害に遭う場所としては、学校内があります。発生場所全体から見ると学校内の事件は5%と少ないですが、10月〜12月の報告件数で比較すると2016年から2017年にかけ、59%も増加していることに驚きます。そしてそのほとんどが、大学、カレッジではなく、高校で起きていることが更に驚きです。

 性的暴行は凶悪な犯罪です。不幸にも被害にあったら、勇気を持って警察に報告してください。


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白ふくろう

1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。