「ながら運転」 Distracted Driving 取締りと罰則が厳しくなった!?|白ふくろうの「カナダの社会・経済」ネタ探し【第27回】

 公共交通インフラが十分でなく自動車社会のカナダで気をつけなくてはいけないのがやはり交通事故。特に近年増えているのが「ながら運転」による事故。

 オンタリオ州政府サイトによると、2000年以降、「ながら運転」が原因と思われる事故で死亡する人が約2倍に増えているそうです。2003年のデータでは、30分に一人の割合で「ながら運転」事故によって怪我人が出ており、事故の80%においてドライバーが直前に3秒間運転から目を離していたというデータもあります。

 オンタリオ州では、2019年1月1日より様々な法律改定が施行されており、交通法規Highway Traffic Actにも変更があります。今回は「ながら運転」Distracted Drivingと酒酔い・薬物運転Impaired Drivingについて、どう変わったかをご説明します。

「ながら運転」Distracted Drivingってなに?

 「ながら運転」というと、多くの方が思い浮かべるのが携帯電話の使用ではないでしょうか。しかし、実はそれ以外の行為もながら運転として規定されています。

 連邦警察RCMPのサイトによると以下の行為が全てながら運転行為と規定されており、運転中だけでなく信号などで停止中も適用になります。

―携帯電話で通話する(手に持っているだけもダメ)
―テキスト(メール)を送る
―本、地図、新聞などを読む
―(目的地入力など)GPSを操作する
―ビデオや映画を観る
―飲食する(ハンバーガーやコーヒーを持っての運転もダメ)
―タバコを吸う
―(髪や化粧など)身だしなみを整える
―ラジオやCDの音量調整や選曲行為
―異常な音量で音楽をかける
―同乗者と話をする
―精神的及び身体的に疲れているときに運転する

 これらの行為が即座に「ながら運転」として捕まるわけではありませんが、もし事故を起こした原因がこうした行為であると認定されると「ながら運転」として罰則を受ける可能性があります。

 こうして定義をみると、普段行っている行為(飲食、ラジオ・CDの音量調整、同乗者との会話など)も「ながら運転」となることにびっくりします。

罰則はどうなったのでしょうか。

 普通免許Gライセンスを所持している方が、ながら運転で有罪となった場合、

初回は、罰点3点、免許停止3日間に加え以下の罰金が課せられます。
―裁判前に結審した場合、615ドル
―裁判にて結審(敗訴)した場合、最高1000ドル
2回目となると、罰点6点、免許停止7日間
―裁判前結審 615ドル
―裁判にて結審(敗訴)した場合、最高2000ドル
3回目以上は、罰点6点、免許停止30日間
―裁判前結審 615ドル
―裁判にて結審(敗訴)した場合、最高3000ドル

酒酔い・薬物運転Impaired Drivingの場合は?

 酒酔い運転はその検査方法が確立しており、警察官の検査権限も強化されたことから取締りが一層厳しくなります。これまでは明らかに酒酔いであるという根拠がないとアルコール検査を要求できませんでしたが、現在警察官は根拠がなくてもアルコール検査を要求、実施することができ、その場で有罪を決定することができるようになりました。

検査の結果、
―アルコール血中濃度が0.05%以下はお咎めなし
―0.05%から0.08%の場合は“警告範囲”と呼ばれ、これまでは注意だけで済みましたが、今年より罰則の対象になりました
―0.08%以上の場合には、一層重い罰則が適用されます

 なお、上記の基準は21歳以上で普通免許Gライセンスを持った人の場合です。21歳以下の人やG1、G2ライセンスの人は血中アルコール濃度が0.05%以下でも違反となります。

 薬物摂取には、大麻を含む合法・違法薬物だけでなく、医師が処方した薬、薬局で購入できる薬も対象になります。ただ、その検査方法については確立した方法が定まっておらず、当面は薬物取締訓練を受けた専門官の判断によるようです。

違反の罰則は?

 警告範囲(血中アルコール0.05%〜0.08%)の場合、初回は、免許停止3日、罰金250ドル(今年より新設された罰金)、5年以内に2回目となった場合、免許停止7日、罰金350ドル、そして教育プログラムへの参加義務、5年以内に3回以上の違反の場合、免許停止30日、罰金450ドル、治療プログラムへの参加義務、最低6ヶ月間運転者血中アルコール濃度検査機器Ignition Interlock Deviceを車に取り付け使用する義務、車を運転してよい状態になるまで健康診断の義務となりました。

 血中アルコール0.08%以上の場合、酒酔い・薬物検査を拒否した場合、薬物摂取と認定されるなどの場合は、即座に免許停止90日間、車両押収7日、罰金550ドル、治療プログラムへの参加義務、最低6ヶ月のIgnition Interlock Deviceの使用義務が課せられます。

 さらに、罰金とは別に、免許停止を解除する都度275ドルの運転条件変更手数料がかかります。裁判で刑事罰として有罪が確定すると、重い罰金と禁錮に加え、免許停止が最低1年から最悪終身免許停止となる場合もあります。

 くれぐれも酒酔い・薬物摂取運転はしませんように。


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白ふくろう

1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。