ADHDが増加。その一因がタブレット!?|白ふくろうの「カナダの社会・経済」ネタ探し【第31回】

ADHDという略号をご存知でしょうか。

 日本語では、注意欠陥多動性障害と言われる発達障害だそうで、不注意、多動性、衝動性の3つがその症状と特徴。このADHD発達障害が、近年増加傾向にあるのだそうです。

 アメリカのデータですが、昨年夏にアメリカの医学雑誌に発表された調査結果によると、1997年のADHD発生率は6.1%だったそうですが、2016年には10.2%にまで増加しているとのことです。

 その要因の一つに、スクリーンタイムがあると指摘されています。スクリーンタイムとは、ゲーム機、スマホ、テレビ、パソコン、タブレットなどを観ている時間のことで、カナダでは、Canadian 24-hour Movement Guideline for Young Childrenとして、年齢毎に一日のガイドラインが設定されており、幼少期のガイドラインは以下のようになっています。

3歳 1日合計 1時間以下
5歳 1日合計 2時間以下

 2019年4月に、アルバータ大学より、幼少期(プリスクール)に於けるスクリーンタイムとADHDとの関係について、調査報告が発表されました。

 調査方法は、5歳児向けChild Behavior Checklist(CBCL)に記入してもらうもので、収集サンプルは2427件。うち、スクリーンタイムのデータが収集できたのが2322件。これらのデータから、スクリーンタイムとADHDとの関係を導き出したようです。

結果は以下の通り(一日合計時間)。

3歳児 1時間以上 42% 
   1時間以下 58% 平均1.5時間

5歳児 2時間以上 13% 
   2時間以下 87% 平均1.4時間

となり、5歳児においては、下回っていますが、3歳児においては、ガイドラインを50%も上回っています。また、時間でみると、3歳児も5歳児もほぼ同じくらいの時間、スクリーンを見ていることになりますね。

 ADHDとの関係性では、2つの側面から見ることができるそうです。

・内向的問題 Internalizing Problem:  不安、うつ、引きこもりや感情的な反応など。
・外向的問題 Externalizing Problem: 不注意、衝動的な行動など

 CBCLの質問回答データから見たスクリーンタイムと外交的問題との関係では、2時間以上スクリーンタイムを持つお子さんは、外交的問題発生率が2.2ポイント高く、逆に、週に2時間以上、クラブなどでの組織だった運動するお子さんは、外交的問題発生率が1.3ポイント低い、と出ているそうです。

 また、スクリーンタイムが2時間以上のお子さんの保護者は、臨床を要する外向的問題を報告する率が、スクリーンタイムが30分以下のお子さんの保護者の5倍となっているそうで、スクリーンタイムは、臨床を要する外向的問題の発症と深く関わっていると見られています。専門家によると、臨床を要する症状として、特に不注意(注意力散漫)が多く見られると警告しています。

 こうして見ると、やはり幼少期にスマホやタブレットを子供に与え、長時間動画などを見させるのは、子供の精神的発達に良くなく、ADHDを引き起こす要因になるのかもしれませんね。もちろん、ADHDの要因はスクリーンタイムだけではないでしょうが。

以上の調査結果を読んで、素人考えで浮かんだのは、今後の教育方法。

 今、教育現場では、タブレットを使った授業が積極的に取り入れられています。生徒一人一人にタブレットを与え、各人の理解度に合わせたペースで授業を進めていくようですね。中学生、高校生くらいになれば、自分でコントロールできるでしょうから、問題はないと思いますが、幼少期にもそうした動きがあるようです。絵本の代わりにタブレットで動きのある映像絵本を見せたり、アニメと同期した歌を教えたり、文字の書き順を示したり。子供たちは、喜んで見ているようですが、大人が注意しないとそれに没頭し、何時間でも観ている子もいるのではないでしょうか。

 これまでの研究や調査では、TVなどを観るスクリーンタイムとADHDなどの関係は認められてこなかったようですが、今後、タブレットやゲーム機が幼い子供たちに一層普及することを考えると、さらなるデータ収集、調査、研究が必要になるのではないでしょうか。

 今回の調査を行った専門家は、幼少期の子供たちがガイドライン以上のスクリーンタイムを持たないようにするために、次のような提案をしています。

1. スマホやタブレットに内蔵されている機能を使って、ガイドライン以上の時間は使用できないようにする。

 (1日の使用時間を制限する機能など)

2. 就寝時間をしっかり決める。

 スクリーンタイムが多くなると、睡眠時間不足や睡眠障害になるため、毎日決まった時間に就寝させることを習慣付ける。

3. 定例の運動をさせる。

 野球、サッカー、ホッケー、体操などしっかりしたプログラムが組まれているクラブなどに入り、運動すること。スマホやゲームなどへの興味関心が薄れるとともに、体力向上、健全な睡眠が得られる。

 これらは、幼少期の子供だけでなく、大人でも当てはまることかもしれませんね。皆さんも、スクリーンタイムを最小限にして、運動するのがいいかもしれませんよ。

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白ふくろう

1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。