オンタリオ州で、これは雇用関連違反です!?|白ふくろうの「カナダの社会・経済」ネタ探し【第36回】

 カナダ、中でもトロントには多くの留学生やワーキングホリデーの若者がやってきます。勉学、そして海外生活経験を得ようという意欲ある、将来有望な若者たちです。彼らは、就学ビサ、ワーキングホリデービサで滞在し、(一部制限はあるものの)働くことも認められています。しかし、カナダでの就労経験や雇用法の知識がないために、労働基準法で定めた最低条件以下で働いていることもあるようです。

 そこで今回は、

オンタリオ州で働くときに最低限知っておくべきこと

をご説明いたします。

 オンタリオ州の労働基準法はEmployment Standard Act., 2000(ESA)という法律で制定されていますが、2018年以降、大きく変更になっています。そうした変更を無視して、違法な雇用を続けている雇用主が多いようです。

一番の関心は最低賃金でしょう。

 最低賃金はその職種等によって以下のように分類規定されています。

①18歳未満の学生の場合、週28時間を超えないか、もしくは学校休暇中に働く場合…時給13.15ドル

②お酒を提供できるライセンスのあるお店で直接顧客にお酒を提供することを主な仕事とし、チップをもらうことを前提としている場合…時給12.20ドル

③ハンティングやフィッシングのガイドで連続労働時間
 5時間未満の場合…日当70.00ドル、
 それ以上の場合…日当140.00ドル

④自宅で仕事をする雇用形態の場合…時給15.40ドル

⑤上記以外の仕事・形態の場合…時給14.00ドル

 これらの最低賃金は、試用期間、見習い期間にも適用されますので、試用期間中、見習い訓練中は減額するというのは違法です。

 上記の規定で留学生やワーキングホリデーの若者の多くが働くのが、②リカーサーバー⑤通常就労でしょうか。リカーサーバーの最低賃金が低い理由は、チップを得ることが前提になっているためです。

このチップについてもESAでその取扱いが規定されています。

 チップの規定は、顧客が任意でその従業員(Employee)に置いていったもの、もしくは従業員のために雇用主・店主に預けたもの、そして雇用主・店主が設定したサービス料となっています。雇用主・店主はそのビジネスにおいて、チップを受け取る、受け取らないというルールを設定することができますが、受け取らない場合には、それを顧客に公示する必要があります。

 また、2016年6月より、雇用主・店主がチップの一部を管理手数料などの名目で減額したり、従業員によるダメージ補償などとして差し引いたりすることはできなくなりました。

 在宅勤務の仕事をする場合には、最低賃金が高いこともあまり知られていないようです。在宅勤務の場合、自宅での職場スペースにかかる費用や通信費などが発生するため、時給で10%高くなっています。在宅の仕事をする場合にはこの最低時給となっているか確認が必要です。

 就労時間については、一般的には、一日8時間、週48時間に制限されています。連続5時間ごとに、最低30分の休憩が必須とされ、週44時間を超える部分に対して、オーバータイムとして、最低、通常賃金の1.5倍が支給されなくてはいけません。

 また、レストランなどでよく見られるケースですが、当日、お客の入りが悪く、人手が足りているので、今日は二時間で上がってと言われることがあるようです。通常の勤務が3時間以上の契約となっている場合、このように2時間しか働かなくても最低3時間の契約時給は支給されなくてはいけません。

 留学生やワーキングホリデーの若者は、インターンという制度に興味をもっているようです。就職に直接つながる機会として大変よい制度ですが、ここにも厳しい規制があります。

 インターン制度には、有給と無給があります。有給の場合には、通常雇用と変わりませんので雇用法がすべて適用になります。問題は、無給のケース。ESAでは無給インターンを厳しく規制しており以下の条件すべてを満たす必要があります。

①職業訓練校と同等の内容であること

②インターン生に有益であること

③雇用主はインターン生の活動から便益(利益)を得てはいけない

④有給従業員の代わりにインターンを使ってはいけない

⑤就職する権利を与えてはいけない

⑥無給であること

最後に採用について

 2019年1月より、Pay Transparency Act, 2017が施行され、採用にあたり以下の条件を満たすことが法制されました。

①一般公募の場合には給与額もしくはそのレンジを示すこと

②応募者にこれまでの給与を聞いてはいけない

 また、Human Rights Code人権憲章に照らして、採用条件に就労ステイタスを限定してはいけないという判例が出されています。市民権、永住権、就労査証に限定せず、ポストグラデュエイト就労査証、ワーキングホリデービサでも、同じように扱わなくてはいけないことになります。

 こうした事を理解された上で、安全な職場で働くことをお勧めします。

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白ふくろう

1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。