「ニューヨーク」ってすごいの?

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特集 そうだ!ニューヨークに行こう。
世界中の人々を魅了する最大都市NY。トロントからも気軽に行けるNYは魅力であふれている。年末号の今回はXmasやNew Year’s Eveなどワールドクラスのイベントから世界のトレンドを発信するNYのアレコレを集めてみました。

約850万人という米国最大の人口を誇る巨大都市ニューヨーク。世界でも有数の大きな港町として栄え、古くから移民を多く受け入れながら発展してきたこの都市は別称「Big Apple」としても知られ、今や経済、芸術、エンターテイメントなど数々の分野で世界をリードし続けるアメリカの代表的都市。マンハッタン、ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、スタテンアイランドを含む5つの“borough”(行政地区)から成り、常に“happening”な場所として世界中の注目を集める。一体なぜそこまで人々を魅了するのだろうか?その主な理由をまとめてみた。

1. 世界経済の中心地

数々の調査で群を抜いて頂点に立つアメリカの国内総生産(GDP)だが、その国内でも最も高いGDPを産出しているのがニューヨーク都市圏である。都市圏別GDPで東京首都圏に次いで世界第2位にランクするニューヨーク都市圏の総生産高は約1.3兆USドル(2012年調べ)に上る。この巨額を産み出す最大の要因は米国内外で活躍するグローバル上場企業の多くがニューヨークに本拠を構えていることが挙げられる。J.Pモルガン、シティグループ、アメリカンエクスプレス、モルガン・スタンレーなどの金融業、ファイザーやブリストル・マイヤーズ・スクイブなどの製薬業、アメリカン・インターナショナル・グループやニューヨーク生命保険会社などの保険業などは、ニューヨーク市経済の基盤を形成しているだけでなく、米ビジネス雑誌フォーチュンの世界企業ランキング500にもランクインしている。これらの他に主軸となっている産業に不動産があり、国内有数の高級ビジネスオフィスが集中するマンハッタン周辺では2007年に全米最高価格の約5.1憶米ドル( $17,104/m²)の物件が落札されるなど、破格の金額が流動する源を作っている。またマンハッタンといえば、1929年の世界大恐慌の発端にもなった金融地区ウォール街の所在するところとして知られ、国際的に有名な大手金融会社や証券会社が数多く摩天楼としてそびえる他、ワールド・トレード・センターや世界最大株式市場であるNASDAQとニューヨーク証券取引所など、世界経済動向に重要な関わりを持つ機関や企業が数多く存在する。こうしたことから、世界各国の景気や政治に多大な影響を及ぼす都市として国際的に認識されているのがニューヨークなのだ。

2. トレンドの発信地

ニューヨークは、経済、ファッション、エンターテイメントなどの分野において、常にトレンドを創り出し、発信していることでも有名である。経済誌フォーブスの“America’s Coolest Cities”ランキングでは3年連続トップに選ばれるなど先駆的かつ旬な都市として君臨し続けているが、その大きな役割を担っているのが世界を股にかけて展開する広告・メディア産業といえる。ニューヨークは全米屈指のマスメディアが数多くこの市を拠点としており、現在の情報社会において必要不可欠な要素を手中に収めている。経済誌においては、フォーブスやフォーチュンなどのビジネス誌が当市を本拠地としている他、新聞では米国最多発行部数を誇り国際的な重要ビジネス新聞として読まれているThe Wall Street Journal 、そしてそれに続く発行部数を持つThe New York Times という2大紙がこの市の経済トレンドを世界各地に報道する手段として今も広く愛読されている。

ファッション業界においては、毎年2月と9月にニューヨーク・ファッションウィークが開催され、ロンドン、ミラノ、パリに並ぶファッション4大都市の一つとして世界各地からファッション界の重鎮が集う。こうしたコレクションを通じて常に最先端かつ洗練されたファッションを発信しており、またそれを支える同市出身の精鋭デザイナーが新作を次々と発表している。代表的なデザイナーでは、Ralph Lauren、Donna Karan (DKNY)、 Vera Wang、 Mark Jacobs、 Michael Korsなどが著名である。また、この業界でもメディアの役割は大きく、VOGUEやGQ、Vanity Fairといったファッション誌を手掛けるコンデナスト・パブリケーションズ、世界的に刊行されている女性向けファッション誌COSMOPOLITANやELLEの発行元であるハースト・コーポレーションなどがこの市に本社を置いている。

テレビ・放送業界では、海外のお茶の間でもお馴染みのヒットシリーズ番組を製作・放映している大手会社がここに集結している。“Mad Men”や“Breaking Bad”で知られるAMC、“Sex and the City”、 “True Blood”等を手掛けるHBOやアメリカの代表的ニュースチャンネルCNNを傘下に置くタイム・ワーナー社、“Undercover Boss”などのリアリティ番組から、CSIシリーズなどの人気刑事物、そして“Two and a Half Men”や“The Big Bang Theory”といったコメディ番組まで幅広く扱い放映するCBSなどが例に挙げられる。

また、近年ではデジタルメディア産業が市内で成長を見せており、カリフォルニアのシリコンバレーに倣いマンハッタン区内に「シリコン・アレー」と呼ばれる一帯を展開している。この地区では、特にソーシャルメディアなどに関連したインタラクティブ・ウェブサイト開発のベンチャー企業が次々と起業しており、BuzzFeed やMeetUp 、Google AdSenseの前身であったDoubleClickなどの他、MongoDBやShatterstockなどに代表されるオンラインストレージ会社、AppNexuxなどのクラウドサービス提供会社などが、次世代メディアをリードすべく邁進している。

3. 巨大グローバル戦争

トロントも十分に多民族グローバル都市なのだが、ニューヨークはそれを上回る多様民族都市の歴史を持ち合わせている。貿易主要港として開拓、発展を遂げたニューヨークは、16世紀から移民の途絶えない街という歴史がある。早期にはオランダ人を筆頭とするヨーロッパ人が港を開拓するために入植し、17世紀後半には多くの黒人が奴隷貿易の影響で入植、19世紀には本国の大飢饉や貧困から逃れたヨーロッパ人が次々と流入し、そして現在では主に近隣諸国の中南米やカリブ諸国、また中国より移民がニューヨークを介して入国している。アメリカの多種多様な民族性を表す「人種のるつぼ」という言葉は、元は多民族が密集して暮らすニューヨーク南東部を表現するために生まれたと言われ、1780年代までには既にこの語句が使用されていたとされる。また、この市で話されている言語の数は実に800種類にも上るといわれ、世界で最多の種類の言語が話されている都市としても謳われている。

また現代のグローバリゼーションを反映した「国際化都市」という意味でも、トロントや他国を代表する国際的都市とは大きく一線を画する。グローバリゼーションという視点での世界都市を研究するシンクタンクGlobalization and World Cities Research Network (略称GaWC)の調査によると、世界の各重要都市が所有する種々の機関(政治、経済、交通、教育、技術など)の機能や質、またその都市が世界に与える影響力を基に数値化した「世界都市指数」ランキングでは、ロンドン以外の他都市を大きく引き離してトップレベル(アルファ++)に格付されている。このように多様な民族が住み、かつ世界最先端レベルを行く巨大グローバル都市がニューヨークなのである。

4. 芸術とエンターテイメントの都

ニューヨークといえば、音楽、映画、ミュージカルなど、娯楽が多いことも魅力の一つ。この地では芸術の分野においても常に先鋭的な試みが見られ、また成功を収める者も多いため、芸術家たちにとってはまさにアメリカン・ドリームを叶える憧れの街である。

音楽

まず、ニューヨークの芸術・エンターテイメントで特筆すべきとして、音楽が挙げられるだろう。この地では、クラシック音楽からクラブミュージックに至るまで、あらゆるジャンルの音楽を楽しむことができ、今では国際的な音楽業界の中核として、多くの機関や施設が存在する。

1842年に設立され、米国5大交響楽団の一つと賞されるニューヨーク・フィルハーモニックは、その演奏から多方面より好評を博し、ニューヨークの音楽都市としての礎を築いただけでなく、アメリカクラシック音楽界に多大に貢献したと言われる。その後1890年代に建設されたカーネギー・ホールは、国際的に偉大かつ高名な音楽家たちや楽団がこの舞台にて演奏を行い、今ではクラシック界に限らず全音楽界最高峰の演奏舞台として格式高い地位を誇る。1962年には米国国定歴史建造物に指定されている。

オペラや音楽学校も充実しており、北米最大のオペラ劇団メトロポリタン・オペラや音楽・総合芸術の名門校として名高いジュリアードもこの市に所在する。両機関が本拠とする会場は世界最大のパフォーミングアーツセンターとして知られる総合芸術施設、リンカーン・センター内にあり、その他にもニューヨーク・シティ・バレエ団の本拠地など計30もの個別劇場や会場が完備されている。

また、ニューヨークは音楽界に新しいジャンルをもたらす地としても有名である。1950年~1960年代に流行したDoo-Wopと呼ばれるコーラススタイルは、ニューヨーク周辺を起源とし、The Drifters などのコーラスグループが一世を風靡した。ちなみに日本のコント集団である「ザ・ドリフターズ」は、このコーラスグループ名にあやかったものである。また1970年代中頃には、同市発祥のディスコが黄金時代を迎え、ブルックリンを舞台とした映画「サタデー・ナイト・フィーバー」は世界中にディスコ旋風を巻き起こした。アフリカンアメリカンによってブロンクスで生まれたヒップホップは、1980年代にラップ音楽という新しいスタイルをポップ音楽界に投入し、ヒップホップダンスやブレイクダンスも生まれるなど、現代文化に大きく影響を及ぼしている。

またニューヨークには、音楽界を代表する大手レコード会社が集結していることでも知られており、ワーナー・ミュージック社系列、BMG系列、そしてソニーの子会社であるRCAやブリトニー・スピアーズが所属するJIVEレコードなどがスタジオ・オフィスを構える。これらの多くは、後述のシアター・ディストリクトに集中すると言われている。

ミュージカル

ニューヨークでもう1つ特筆すべきものといえば、なんといってもミュージカル。ミュージカルの聖地とも言うべきシアター・ディストリクトには、大小様々な規模の劇場が点在する。それらの劇場には、規模などによって位置付けがあり、主に500席以上を有するブロードウェイ、100~500席のオフ・ブロードウェイ、100未満のオフ・オフ・ブロードウェイの3種類に分けられる。また劇場だけでなく、初公演される劇場によって作品もクラス分けされ、ブロードウェイ劇場で最初に上演される作品を「ブロードウェイ」、オフ・ブロードウェイ劇場で上演されるものを「オフ・ブロードウェイ」、オフ・オフ・ブロードウェイであれば「オフ・オフ・ブロードウェイ」作品というカテゴリになっている。現在、「ブロードウェイ」と認定されている劇場はシアター・ディストリクト内の40劇場とリンカーン・センターであり、ミュージカル界のトップ的な位置づけとして存在している。ここから世に送り出されたヒット作品は数知れず、「オペラ座の怪人」、「ウィキッド」、「レ・ミゼラブル」、「ライオン・キング」など不朽の名作として語り継がれる作品は長年に渡り各劇場で上映され続ける他、映画化もされ世間に広く親しまれている。商業的にヒットした作品は必ずしも「ブロードウェイ」出身であるとは限らず、映画にもなった「レント」や「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」はオフ・ブロードウェイ作品である。映画界でいう「アカデミー賞」に匹敵する「トニー賞」は、ブロードウェイ作品のみしか対象とならず、層の厚いミュージカル界での最高の栄誉と言える。

映画

米国2番目の映画都市でもあるニューヨークには、ハリウッドと比べ大手プロダクションではなくインディペンデント・プロダクションが集結しており、多くの俳優や監督が同市を拠点に活動している。代表的な監督ではウディ・アレン、マーティン・スコセッシ、スパイク・リー、フランシス・コッポラとソフィア・コッポラ親子、俳優ではアル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ等が著名である。俳優・監督の中には独自のプロダクションを所有している者も多く、自身の故郷であるニューヨークを舞台に自身のルーツである文化や人種の生き様を作中で描く傾向にあると言われる。また、同市では数々の映画祭が開催され、ロバート・デ・ニーロらが設立したトライベッカ映画祭をはじめ、ニューヨーク映画祭、ニューヨーク国際インディペント映画祭など、米国内外より様々な形で映画関係者が集う場所として賑わいを見せている。

5. 世界有数の観光名所

2014年に発表された世界で最も訪問数が多い観光名所ランキングトップ10のうち3つがニューヨークに所在するなど、ニューヨークには言わずと知れた名所が沢山ある。ちなみに、そのランキング第2位でニューヨーク市内トップの観光名所に選ばれたのはタイムズ・スクエア。シアター・ディストリクトに位置し、大晦日には年越しライブが行われることもあり、年間およそ5000万人が訪れるというから驚きだ。次いで3位にはセントラル・パークがランクイン。米国で最も訪問者が多いだけでなく、世界で最も映画の撮影が行われている公園としても有名である当パークには、年間約4000万人が訪れる。843エーカーもの敷地に広がる緑はコンクリートに囲まれた都会の喧騒の中で憩いの場を提供してくれるニューヨーカーにとっても欠かせない場所である。同ランキング6位に選ばれたグランド・セントラル・ターミナルは、マンハッタン最大の駅、そして通勤列車が最も多く発車する駅として、年間訪問者はおよそ2160万人とされている。印象的な時計台をはじめ、外観や内装のあちこちに芸術的な装飾がなされている他、「80日間世界一周」などの映画撮影にも数多く使われている。その他、アメリカの象徴とされる自由の女神、クリスマスツリーやアイスリンクで有名なロックフェラーセンター、またそびえ立つ摩天楼を見下ろすことができるエンパイア・ステート・ビルディングなど、テレビや映画で一度は目に耳にした名所が勢揃いしているのがニューヨークという場所なのである。