国際機関で働く 第2回

~あなたも国際機関を目指してみませんか?~

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文=外務省国際機関人事センター 伊藤賢穂

第2回目「国際機関職員について」

第二回目の今回は、国際機関職員の職種、国際機関の採用制度と国際機関ではどのような人材が求められているかということについて、お話をさせていただきます。

国際機関職員には、主として、専門職職員と一般職職員という2つの職種があります。専門職職員は、英語ではprofessional staff と言われ、ニューヨークやジュネーブなどにある国際機関の本部や世界各地にある事務所に勤務する、高度な専門性を持ち、組織の中枢として働く職員です。数年に一度、公募されるポストに応募し、新たなポストを獲得して、転勤や昇進を繰り返していく職員です。これに対して、一般職職員は、現地の事務所で採用され、専門職職員をサポートするような秘書、クラーク、運転手、警備などの業務を行う職員です。皆様がイメージする、世界を股にかけて活躍する国際機関職員というのは、この専門職職員だろうと思います。

その専門職職員の採用制度ですが、アメリカやヨーロッパなどの採用制度と似ており、日本の採用制度とは全く異なっています。2点大きな違いがあります。国際機関で働くことを考えておられる方は、そのことを理解する必要があると思います。
日本では、最近でこそ中途採用や第二新卒などの就職の機会も増えてきていますが、基本的には、官庁や企業が新卒学部生を一斉に年に一度採用するということが行われています。これに対して、国際機関では、一般的には、職員の退職、転任、転出あるいはポストの新設によって、空席が生じた場合に、随時、ポスト毎に募集や採用が行われます。これが一つ目の違いです。

また、日本の企業は、一般に新卒者に対し十分な教育期間を設け、自らの組織に必要な人材として育てていきます。これに対し、国際機関では、即戦力の人材、すなわち、その日からそのポストで仕事をこなせるだけの能力を身につけた人材を採用します。したがって、「経験や知識はありませんが、努力や気合いでカバーします。」というような人は、日本の企業では歓迎されることがあるかもしれませんが、国際機関ではまず採用されないでしょう。実際に日本の企業では大学の学部や文系・理系に関係なく採用しているということを目にします。これが2つめの違いです。

国際機関を志望される方は、募集は随時行われていること、そして「即戦力」となる人材が求められていることを認識した上で、準備を進めていく必要があると思います。

では、「即戦力」となる人材とはどのような人なのでしょうか。国際機関では、そのポストに就いたその日から、あたかもそれ以前からそこで働いたかのように仕事ができる人を選んで採用します。そのような人かどうかということは、募集をしているポストと関連する学歴と募集をしているポストに関連する職歴を有しているかどうか、ということで判断されます。「環境」に関連するポストに就きたい人が、環境に関連する学位をもっていなかったり、環境に関連する仕事をしたことがなければ、応募要件を満たしていることにはなりません。

また、国際機関では、基本的には、修士号以上の学歴が求められます。ただし、学士号しか有していない人でも応募できるポストもありますし、学士号しか有していない場合でも、ある程度の有益な職務経験があれば、修士号以上の学歴を有していると見なすとしているポストもあります。国連事務局ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)は、年齢制限が32歳以下ですが、職歴がなくても応募できますので、大学を卒業した直後の方でも応募できる制度です。とは言え、修士号以上の学歴を持って応募してくる人は大勢いますので、いつかは必ず国際機関で働きたいと思っている方は、強い候補者となるためにも、修士号以上の学位を取得することを考え、修士号を取るまでの間は、修士号がなくても応募できるポストや国連事務局YPPに積極的に応募されることをお勧めします。

その国連事務局YPP試験ですが、国連事務局若手職員を採用するための試験です。年に一度試験が行われ,試験に合格しポストをオファーされた者は2年間の勤務の後,勤務中の成績が優秀であれば引き続き採用され,新たな任地で勤務することになります。現在、本年の募集が行われており、締め切りは、9月12日(水)です。詳細につきましては、外務省国際機関人事センターのウェブサイトか、国連事務局のウェブサイト(https://careers.un.org/lbw/home.aspx?viewtype=NCE)をご覧いたただければと思います。

前回、カナダに本部がある国際機関を調べていただくという宿題を出しました。正解は、国際民間航空機関(ICAO: International Civil Aviation Organization)で、モントリオールに本部があります。他に、生物多様性条約(生物の多様性に関する条約:Convention on Biological Diversity(CBD))会議の事務局もモントリオールにあります。
次回は、国際機関の職員になる方法を具体的にお話したいと思います。