国際機関で働く 第6回

~あなたも国際機関を目指してみませんか?~

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文=外務省国際機関人事センター 伊藤賢穂

第6回目「国際機関を目指すために」

第6回目の今回は、前回に引き続き、国際機関を目指すためには具体的にどのような準備をすればよいのかということについてお話したいと思います。

この連載の第2回目に、国際機関では「即戦力」となる人材が求められているというお話をしました。「強い候補」として応募するためには、そのポストに就いた日からあたかもそれ以前からそこで働いていたかのようなレベルで仕事ができるだけの専門性、すなわち学位や職歴を備えている必要があります。したがって、国際機関を目指すためには、目指す分野や目指すポストと関連した学位を取得し、目指す分野や目指すポストと関連した実務経験をきちんと積むことが必要なのです。高校生や大学生の方であれば、自分が何をやりたいのか、将来どのような分野で世界に貢献したいのかということを徹底的に考え、そのためには、どのような学位をとってどのような職歴を積んでいくべきかということを考え、専門分野の確立に向けて進んでいっていただきたいと思います。修士号を取得中の方や、既に職歴を有しておられる方は、なるべくこれまでのキャリアパスを生かすことができるような進路を考えるとよいと思います。国際機関が求めるレベルでの専門性を身につけることを必要な準備の第3点目として挙げたいと思います。

大学などでガイダンスをした際に、どのようなポストを目指せばよいか、どのようなポストが国際機関に入りやすいか、○○のポストに就くためにはどのような職歴を積めばよいか、といった質問をよく受けます。これらの質問には、どのように回答してよいか困ってしまいます。個人個人が何をしたいのか、何ができるのかということの中にその答えがあるからです。国際機関の職員になるためのキャリアパスは、100人の国際機関の職員がいれば100通りあると言われます。こうでなければならないということはありませんし、これならなれるというものもありません。肝心なのは、自分自身がどのような分野で世界に貢献したいのかを考え、その分野で必要とされる人材となるための経験を積んでいくことだと思います。

必要な準備の第4点目として、これまでのものと重複するところもあるかもしれませんが、「それなりの経験」を積むことを挙げたいと思います。例えば、フィールドで展開する国際機関で働きたいと思うのであれば、応募する前に、フィールドでの職務経験を積むべきだと思います。アフリカやアジアなどにおける国際機関の勤務地は、生活をするのもたいへんなところが多くあります。そのようなところに一回も身を置いたことがなければ、自分自身がそのような環境の中で仕事をしたり生活したりすることができるのかどうか不安だと思いますし、採用する側もそのような環境での経験がない人物をなかなか採用できないと思います。また、以前お話したように、国際機関のポストには、すでにそのような環境での勤務を経験している現職の職員も多く応募してきますので、そのような方々との競争を勝ち抜くには、「それなりの経験」が必要になることもご理解いただけると思います。

もう一つ例を挙げたいと思います。国際機関にある財務、予算、監査などのポストの応募要件には、CPA(Certified Public Accountant:米国公認会計士)やCFA(Chartred Financila Analys:CFA協会認定証券アナリスト)などの資格を有していること、あるいは、有していることが望ましいと明記されているものもあります。私のこれまでの経験から、このような資格を持っている方は、比較的簡単に国際機関のポストを獲得されている印象を持っています。これらの分野で活躍したいと思う方は、CPAやCFAの取得を目指すというのも一つの方法かもしれません。

国際機関への就職は、資格試験の受験やいわゆる日本の通常の就職と異なることが多いと思います。何をどれだけ勉強すればよいのか、どのような準備をどれだけすればよいのかということについて、目安や決め手となる対策はありません。したがって。国際機関で働くということを目標にしたり、ゴールにしたりするのではなく、繰り返しになりますが、ご自身が貢献したいと思う分野で必要とされる人材になるために学位を取得したり、職歴を積んでいく、国際機関を一つの選択肢としてキャリアを重ねていき、応募できる要件が備わった段階で挑戦する、最終的に目指すのはあくまでもその分野での有為の人材になること、というような心構えで臨むのがよいのではないかと思います。