世界とカナダの『LGBTQ+』事情|カナダで暮らす私たちが考える日本の『LGBTQ+』社会確立への提言|特集 カナダ「LGBTQ+」

カナダで暮らす私たちが考える日本の『LGBTQ+』社会確立への提言

 現在、世界では 一部の州でも同性婚を認めているのはヨーロッパや北米、南米を中心に26か国ある(NPO法人「EMA日本」より)。日本は地区によってはパートナーシップ制度が実施されているものの、同性婚は認められていない。同じくアジアでは、去年台湾で同性婚が認められないことは憲法違反だと司法判断が下され、今年5月17日に同性婚を合法化する法案が可決された。またタイでも、同性パートナーシップ法が決定され、現在法制化に向かっている。

性的マイノリティに寛容な国、

 カナダは世界で4番目に同性婚を合法化した、性的マイノリティに寛容な国だ。2003年から2005年に掛けて、オンタリオ州、ブリティッシュコロンビア州、ケベック州、マニトバ州、ニューブランズウィック州、ノバスコシア州、サスカチュワン州、ニューファンドランド・ラブラドール州、同様にユーコン準州で同性結婚の禁止が憲法に反するとして地区の連邦裁判所が裁定し、それ等の管轄区域で同性結婚が合法化された。また、カナダの法律では結婚を「すべての他人を除外した2人の人物の合法的な連合」と定義しているため、法的には同性婚と異性間の結婚に区別がなく、同等の扱いである。

 現在は世界的に見ても性の多様性に寛容なカナダだが、それまでの道のりは長かった。同性愛者への差別的扱いが禁止されたのは冷戦終結後の1992年であり、またカナダ人権法が改正され性的指向の自由が保障対象となったのはその4年後と比較的最近のことである。冷戦中のカナダでは、多数の同性愛者が政府や軍隊の職を解雇され、性生活についての政府や軍に尋問を受け、友人や知人について通報するように強制されるなど、当事者は数多くの被害を被っていた。過去には政府によって同性愛をテーマにした芸術作品が猥褻だとして禁止されていたこともある。

 また、職場において差別が根強いケースもあり、2014年の調査によると、性的少数者の労働者の8割以上がカナダの産業界はより『+』労働者を歓迎し、職場での価値を認めるべきだと述べている。また、オンタリオ州でリサーチを行なっているTrans PULSEが2009年から2010年にかけて行った調査では、オンタリオ州に住む16歳以上のトランスジェンダーの者433人のうち、フルタイムの仕事についているのは3分の1だけだということが明らかになった。

 一昨年の11月28日、カナダの首相ジャスティン・トルドー氏は、下院にてカナダ政府がかつて行ってきた『LGBTQ+』コミュニティへの不当な扱いや差別について、「この国がかつてしてきたことを恥と思い、悲しみと深い遺憾の意を込めて、私は今日ここに立って、こう申し上げる。私たちは間違っていた。謝ります。申し訳ない。私たち全員が申し訳ないと思っている」と涙ながらに謝罪した(BBCより)。

「私たちは多様な国家であり、そしてゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、トゥースピリットの人々の貢献、人生、経験によって私たちは豊かだ」「 (性的指向に関わらず)私たちは皆愛される価値があり、尊敬に値する」と述べ、議員たちは首相のこの発言を温かい拍手で歓迎した。

カナダにおけるPride Month

 トロントを含む大都市では、毎年『LGBTQ+』の世界の祭典であるワールド・パレードが開催され、6月は性的指向に関わらず、すべての人が平等に暮らせる社会の実現を目指す月Pride Month である。トロントでは、毎年チャーチ・ストリートやウェルズリー・ヴィレッジを中心に数多くのプライド関連のイベントが行われ、ダイク・マーチ(レズビアン女性によるマーチ)、トランス・マーチや、プライドパレードなど開催される。今年のPride Toronto 2019は、6月21日から23日に掛けて開催される予定だ。

ブルネイ、同性愛行為への死刑適用に猶予期間国際社会の非難に配慮か

 今年4月、ボルキア国王は厳格なイスラム法を先月施行し、同性愛行為や不倫、強姦で有罪判決を受けた被告を厳罰に処す方針を発表した。豊富な石油埋蔵量を誇る王国であるブルネイは2014年に、東アジアで初めて国政レベルでイスラム法を導入し、法整備や刑罰導入を段階的に進めてきた。今年発表された新たな刑罰には、同性愛者への石打ちによる死刑も含まれており、世界中の人権活動家などから強い非難の声が上がっていた。

 CNNの報道によると、人権団体やジョージ・クルーニーを含む、著名人たちが国王所有ホテルのボイコットを呼びかけ、またJPモルガンやドイツ銀行なども従業員にブルネイ所有ホテルの利用を避けるよう通達していた。

 この批判を受け、5月5日に ブルネイのボルキア国王は同性愛行為で有罪となった被告に対する死刑適用を猶予する方針を明らかにした(CNNより)。国王は演説で、新法をめぐる「誤解」が多いと主張し、人々の不安を招いた可能性を認めた。

 厳罰を定めた法律自体は依然残っているため、ボルキア王国の『LGBTQ+』コミュニティの人権問題は残っているが、人権活動家や性的マイノリティの者の間では安堵の声が広がった。