世界の大麻合法国・都市の現状を知ろう|特集「カナダ・マリファナ合法化」


世界の複数の国・地域では既にマリファナの栽培・所持・使用が合法化されている。

 一言で合法化といってもいくつか種類があり、医療用として部分的に許可されているケース、嗜好品として少量が許可されているケース、大量の所持でも非犯罪化しているケースなど様々だ。

 マリファナ合法化においてカナダの先輩になる国・地域ではどのようなことが起きているのか考えてみよう。

世界で初めてマリファナが合法化されたウルグアイ

 2013年、政府の監視下においてマリファナの生産・流通販売が認められた。政府の管理下で安価にマリファナを供給することで麻薬密売組織を弱体化させることが合法化の狙いだ。薬局などで購入が可能になったのは2017年7月以降のことで、事前に政府から許可を受けた18歳以上の国民・永住者のみが対象となっている。週毎、月毎に購入できる量が制限されている、購入できるのは市民のみに限られている等、厳しいルールがある。

 合法化してから数年が経過したウルグアイでは、麻薬取引が減少する等のプラス効果が生まれている。一方でマリファナの販売を許可されている薬局が未だに少なく、合法的なルートでの購入が難しいという問題も発生している。マリファナを店舗に置くことが強盗のリスクを生むと懸念している薬局もあり、安定した供給量を確保することやマリファナと治安の関係については課題があるのが現状だ。

 ウルグアイ政府はマリファナを観光振興のためには使用しないとしている。しかし、実際は観光客に向けてマリファナの入手方法を促すウェブサイトがあるなど、政府の思惑通りになっていない現実もあるようだ。マリファナ目的の観光客の増加や「ウルグアイ=」というイメージの定着化も懸念事項と言えるだろう。

州によって合法化されている隣国アメリカ

 ワシントンDC、その他9つの州で娯楽目的のマリファナの使用が合法化されているアメリカ。医療用目的での使用が合法化されている州は30州にものぼる。2017年における合法的なマリファナの売り上げは97億ドルを記録した。また、世論調査によると国民のうち62%もの人がマリファナ合法化を支持しているとされている。

 州毎にルールに若干の違いがあるものの、娯楽目的の場合、基本的に21歳以上が購入可能(所持できる量に制限あり)であり、公共の場所での使用、使用後の運転、他州へ持ちこみは禁止となっている。

アメリカで最初にマリファナを合法化したコロラド州


 マリファナを購入できる薬局がスターバックスとマクドナルドを足した数よりも多いと言われるほど、市民にとって一般的な存在になっている。他州からマリファナ目当ての観光客がやってくることで観光収入が増加する、合法化することで州の税収が増加する、といったプラス効果が発生している。インターネット上で「コロラド マリファナ 観光」と検索すると、どのように名所を観光するか、おすすめのお店はどこか、といった情報を数多く得ることができる。日本との感覚の違いには驚くばかりだ。

 同州のプエブロ郡にはマリファナに関連する税金をファンドにした奨学金制度があり、2018年に奨学金を受け取る大学生は600人を超えると予想されている。州都であるデンバーは近年土地の価格が上昇しており、その一因がマリファナであると言われている。マリファナ産業が活発であるという土地柄は、消費者のみでなくマリファナ関連事業を起業しようとする人々にも魅力的なのだろう。

エンターテイメント・テクノロジーの中心地 カリフォルニア州

 娯楽目的のマリファナの使用が合法化される際は、州民全体で麻薬に対する議論が行われたカリフォルニア州。州全体の人口がカナダの人口と近いことから、税収の変化や経済的な効果について参考になる点があると言われている。カリフォルニア州税務局の発表によると2018年第一四半期のマリファナによる税収は6,090万ドルだった。

 ハリウッド、シリコンバレーで知られるカリフォルニアは、エンターテイメントやテクノロジーの分野で、米国内だけでなく世界的にも大きな影響力を持つ。1930年代にはマリファナが人々へ与える悪影響を謳った映画が作成されるなど、過去数十年に渡って国内外に向けてマリファナの禁止を訴える役割を担っていたとも言える。しかし近年はマリファナを題材にしたドラマがエミー賞を受賞するなど、時代が変化してきていることが分かる。マリファナに対する人々の考え方を変える影響力を持つ存在になるかもしれない。

マリファナが子供や若者へ与える影響

 近年の統計や調査によってマリファナが子供や若者へ与える影響が明らかになってきた。母親がマリファナを使用している家庭の子供は、そうでない家庭の子供と比較してマリファナを使用し始める年齢が平均2歳早いという統計があったり、マリファナを含むクッキーやキャンディー、栄養ドリンク、お茶などの食品を子供が誤って口にして病院へ搬送されるケースが増加したりしている。

 また、コロラド州では若年層のマリファナ使用率が全米平均より74%も高いという統計が出ており、マリファナを使用する大学生はそうでない大学生に比べて学業で悪い成績を収めるという研究結果もある。

 アメリカではマリファナの合法化が人々の行動や意識、消費にどのような影響を与えるかについての調査が数多く行われている。合法化されてから年数が経っていないこともあり継続して経過を見る必要があるが、マリファナは急速に人々の生活へ影響を与えていると言われている。インターネットやSNSが普及した現代の時代背景も相まっているのだろうか。これらの媒体に敏感な若者への影響は計り知れない。

ソフトドラッグに寛容な印象で知られるオランダ

 「オランダといえばマリファナ」というイメージをお持ちの方も多いのではないか。ソフトドラッグ(マリファナやマジックマッシュルーム等、身体的・精神的中毒性が比較的低いとされるドラッグ)の使用者が多いオランダでは、これらを完全に追放することはできないと考えられている。そのため、行政の一定の許可のもとでソフトドラッグの販売をすることでハードドラッグ(コカインや覚醒剤等、身体的・精神的中毒性が激しいとされるドラッグ)がソフトドラッグの市場に入ってこないように管理するという政策をとっている。

 オランダでマリファナを購入・使用できる場所として「コーヒーショップ」という言葉を耳にしたことがある方も多いだろう。このコーヒーショップとは、マリファナを含む商品を個人使用の目的で販売することが許可された小売店のことである。「宣伝を行わない、店舗内でハードドラッグを販売しない、公衆に迷惑をかけない、18歳未満への販売を行わない、5グラムを超えた売買取引を行わない」という規制のもとで営業している。
 ソフトドラッグに寛容なオランダだが、非合法の国や地域よりも使用率が低いという研究結果もあるようだ。特に若者は「禁止されているものほど興味が湧く」という傾向があるようで、禁止されていないソフトドラックなどはそれほどクールでないと考えるのだとか。

 一方でマリファナ目当てにオランダを訪れる一部の観光客はマナーが悪く、住民の生活に悪影響が出ているとも言われている。近年はコーヒーショップに対する規制が厳しくなりつつあり、閉店する店舗も増えてきている。

カナダでは何が起こるのか…?

 日本では禁止されているためプラスのイメージを想像できないマリファナだが、合法化されている国・地域ではマイナスの効果だけが生まれているわけではないようだ。

 既に合法化されている国の事例を見ると、雇用の創出、税収の増加、マリファナを取り締まる社会的なコストの減少はプラスの効果と言えるだろう。一方でマナーの悪い観光客の問題が起きたり、マリファナの使用がハードドラッグへ手を出す入り口になるという懸念は大きいだろう。

 マリファナが合法化され始めてからの歴史はまだ浅く、この先も様々な効果や問題が発生することが予想される。カナダにいる私たちも、注意深くこの行く末を見ていく必要がありそうだ。