八坂公洋さん インタビュー

モントリオールを中心に精力的に活動する日本人ピアニスト
八坂公洋さんインタビュー

ケベック州芸術文化振興会の後援を受け、邦人作曲家の作品を多く演奏するなど、日本とカナダの架け橋となり活躍するピアニストの八坂公洋さん。6月25日にトロントで初めての演奏を披露した八坂さんにカナダでの活動や今後の展望などについて伺った。

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今回のコンサートについて教えて下さい。

日本とカナダのコラボレーションをテーマにしました。私は日本人なので、自分が日本人作曲家をプロモートする立場にあると思っており、普段から少なくとも1、2曲は日本の作曲家の曲をコンサートに取り入れるようにしています。さらに今回はマギル大学で作曲について教えているChris Paul Harman教授の新曲を演奏します。Harman教授は日本と関わりのある方で、日本の民謡を題材にした曲などもあるので、そこにも注目して欲しいです。

カナダ国内でも、地域が変わることによってコンサートの客層や雰囲気は変わりますか。

普段はモントリオールを中心に活動しているので、ニューブランズウィックなど東カナダで演奏することが多く、トロントでの公演は今回が初めてです。私が近現代の音楽を演奏しているので、作曲家の方と一緒に活動することが多く、その際にはやはり地域というよりは作曲家によってコンサートの雰囲気や客層が変わりますね。

12歳という少し遅い年齢で本格的にピアノを始めるきっかけは何でしたか?特別に苦労されたことなどあるのでしょうか。

私はスタートが遅かったのでとても大変でした。音符を読むことはできましたが、正しい指順などはまったく分からなかったので、本格的にピアノを始めた12歳の時にすべて一からやり直しました。きっかけは長崎で指導を受けていた水谷玲子先生ですね。水谷先生のレッスンを受けていくうちに音楽への興味がわいてきました。特にバッハのインベンションを学んだ時が一番印象に残っています。バッハのインベンションは二声になっているのですが、それがどういう和声になっているのか、また追いかけっこのようなカノンの構造はどのようにできているのかなどを学んだ時に、「音楽はなんていろんなことを考えなければいけないのだろう‼」と気付かされた時、一気に音楽の世界に惹かれていきました。

ピアニストとして活動する中で難しい点、またスランプなどはどのように乗り越えていますか。

1つの曲を学ぶということは、その思想を学ぶことでもあります。例えばクラシックなら、その社会的・歴史的な背景、その時代の芸術的思考や流れを学ぶ必要があります。そういった1つ1つの発見が経験へと繋がっていくので、新しい曲を始める度に全てを1からやり直さないといけないという面では大変です。なので、スランプというよりは、常に新しい壁にぶつかり続ける感じです。また、積み重ねたものを崩して、もう一度新しい曲のために組み立てるといったようなことを繰り返すことが好きな人にしかできないと思います。それが音楽ですね。

▲右から、八坂公洋さん、作曲家Chris Paul Harman教授、Shiori Kobayashiさん

▲右から、八坂公洋さん、作曲家Chris Paul Harman教授、Shiori Kobayashiさん

ピアノ教室もされているそうですが、カナダの子供達を教えていくうえで苦労する点や楽しい点を教えてください。

苦労するところはやはりフランス語で教えないといけないこともある点です。ただ、言語に関しては日本語と英語でも違いがありますし、基本的に教えるということに関しては、音楽自体が言語のようなものなので、それでコミュニケーションを取ることができます。そういったところが教えていて楽しい点ですね。

ヨーロッパではなく、音楽を学ぶためにカナダを選んだ理由は何ですか。

いろいろ考え方はありますが、私がカナダに来たのはヨーロッパやカナダだからといった場所が理由ではなく、マギル大学の橋本教授との出会いが理由です。もし日本に住んでいて橋本教授のような方と出会えていれば、私は日本に残っていたと思います。カナダで彼女に出会い、刺激を受けたためにカナダにきてしまった、それだけです。なので、モントリオールという場所も特別選んだのではなく、そこに橋本教授がいるマギル大学があるからです。

今後の展望を教えてください。

これからもいろいろな作曲家とのプロジェクトがあり、それらを一つ一つ頑張りたいですし、ODRADEK ARTISTIC RECORDSに所属していますので、そこでレコードを出したいと考えています。また、日本での活動もいろいろ計画しており、来年の夏には名古屋大学でVisiting Artistとして公演や講義を行う予定もあります。

ワーキングホリデーで英語を勉強しにくる人たちへアドバイスをお願いします。

私はたくさんコミュニケーションをとるということが大事だと思います。また、英語は漠然と学べるものではなく、何かやりたいことや興味があるものを通すことで、より真剣に英語の勉強ができると思います。おそらく私も音楽が無ければ英語は今話せていないと思います。そういう意味で、何か興味のあることを学習するために英語を学習するというのが良いと思います。


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八坂公洋

kimihiroyasaka.com
長崎県出身。12歳の時に本格的に水谷玲子氏の始動でピアノを始め、橋本京子教授と出会い刺激を受けてマギル大学へ入学。卒業後も多くのコンサートを開き、日本アコースティックレコードからレコードも出版。来年には、日本の音楽大学での演奏や講演も企画している。