第7回 Sakura Gala 桜アワード授賞式
第7回 Sakura Gala 桜アワード授賞式
5月30日@日系文化会館
5月30日、日系文化会館にて第7回「桜アワード」の授賞式が行なわれた。桜アワードは日本文化の促進や日系カナダ人の活躍を称えて贈られるもので、今年は日系女流作家のJoy Kogawa氏と、カナダでも大人気の現代作家、村上春樹氏の2名が選ばれた。
式はMary Itoさんの司会、David Tsubouchiさんの進行で進められた。日本、カナダ両国の国歌斉唱から始まり、ゲーリー川口JCCC理事長の挨拶、John Carmichael下院議員、Mitzie Hunter州議員、門司健次郎駐カナダ日本国大使それぞれがスピーチを行なった。John Carmichael下院議員、Mitzie Hunter州議員共に4月に着任したばかりの門司大使への歓迎の言葉を述べると共に、日系文化会館の充実したプログラムや日系カナダ人の活躍などについても触れ、今後も日本とカナダが良好な関係を築いていきたいと述べた。門司大使はこの場を借りて自身の自己紹介を行うと共に着任してからJoy Kogawa氏の本を読み、感銘を受けたとコメントしている。
当日、都合により欠席していた村上氏からはビデオメッセージが上映された。ビデオは東京のカナダ大使館で撮影されたもので、村上氏は訪れたこともあるカナダからこのような賞をもらうことができて非常に嬉しいとコメントしている。村上氏は「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」「1Q84」「ねじまき鳥クロニクル」などのベストセラーを次々と執筆し、その人気はカナダ国内でも新作が英訳されるとニュースになるほどである。式にはカナダで村上氏の英訳を行なっているヨーク大学のTed Goossen教授の姿もあった。
その後、授賞式の前に6月6日に80歳の誕生日を迎えるJoy Kogawa氏へ会場全体からハッピーバースデーを歌い、受賞と合わせてお祝いをした。Kogawa氏はスピーチで初めは信じられないぐらい光栄で本当に嬉しい、誰にありがとうを伝えたらいいかわからないくらいお世話になった全ての人に感謝をしています、と述べている。日系2世のKogawa氏は第2次世界大戦中の収容所生活などが執筆の動機となり1981年に出版された自伝的小説「Obasan」は数々の賞を受賞し、児童向けに書き直された「Naomi’s Road」はオペラ化され上演されている。民間人に授与される最高の勲章Order of Canadaを1986年に受章し、他にもBC州の勲章Order of BC、日本政府から叙勲旭日章を受けている。
ディナー後半には特別ゲストの石井竜也さんが登場し、会場は更に盛り上がりをみせた。静かな前奏からスタートした「古都」を歌いあげ日本語と英語を使って挨拶を行なった。途中から奥さんが通訳を行い、日本文化の話や次に歌う「哀愁」の制作秘話を語ってくれた。打ち合わせ無しで行われたMCは二人のやりとりが可愛らしく、会場にも笑いや笑顔が溢れた。2曲目の「哀愁」はトロント公演の為に和楽器を上手にポップスの音楽に調和し、新しい音色と共に深い悲しみと愛を歌った。更に石井竜也さん本人が初監督を務めた映画河童の主題歌「手紙」、ソロ活動でのヒット作「はなひとひら」の合計4曲を歌いあげ、会場からは熱狂的な日本人ファンからの声援以外にも石井さんのパフォーマンスに魅了された多くのカナダ人も熱い声援を送っていた。
会場全体の興奮冷めらやぬ中、桜ガラは幕を閉じた。またディナー中に行われたライブオークション、サイレントオークション等の収益は全て日系文化会館へ寄付され今後も日加交流や様々なプログラム、森山日系ヘリテージセンターの運営などに充てられる。