【第19回】広島・長崎、地域、アート。8月に感じたつながり|カナダ新移住者とトロント日系コミュニティー
広島・長崎と平和を考える8月


8月は、日本人の私たちにとって、とても大切な月です。
恥ずかしながら、千葉県育ちの私自身も少し前までは、それほど強く意識していたわけではありませんでした。広島、長崎の原爆投下、そして終戦。日本人なら誰もが知っていることではありますが、その受け止め方や、自分との距離感は人によって違うのだと思います。
私も県人会連合会での活動を通して、この年になって初めて広島や長崎について知ることがたくさんありました。そして今も、自分に何ができるのか、どのような形で関わっていけるのかを模索しているところです。
8月6日には、トロント市庁舎前のピースガーデンで「広島・長崎デー祈念式典」が行われました。主催のHiroshima Nagasaki Day Coalitionの皆さん、そして被爆者であり核兵器廃絶活動家として長年活動されているサーロー節子さんと関わらせていただきながら、今年は新日系2世のGANBAREこども合唱団の皆さんによる歌、そして広島出身のアーティストDance Artist and Educator、Yui Ugaiさんによる貞子の物語の朗読も行われました。
式典の最後には、トロント本願寺の皆さんのリードによる美しい灯籠流しが行われ、静かに平和への思いを共有する時間となりました。

8月9日には、JCCCにおいて、『長崎 閃光の影で』の長崎の原爆に関連する上映イベントで、広島県人会会長の澤原さんを中心に、アーティストのMui-Ling Tehさんが来場者の皆さんと一緒に折り鶴を作りました。会場は200人近い方々で埋まり、多くの人が広島・長崎、そして平和について考える機会となったのではないでしょうか。
一方で、こうしたイベントに参加している日本人、日系人、そしてその家族の姿がまだ圧倒的に少ないことも感じました。
もちろん、それぞれの人にそれぞれの考え方や関わり方があります。ただ、当事者側である私たち日本人・日系人が、もう少しこうした場に足を運び、一緒に考える機会が増えていけばいいなと、個人的には願っています。
ハミルトンで感じた、日本とのつながり


8月8日には、ハミルトン日系文化会館で夏祭りが開催されました。
ハミルトンのHorwath市長もお見えになり、暑い中、一つひとつのブースを回りながら、市民の皆さんと気さくに交流されている姿が印象的でした。トロントからも総領事館、Momiji、トロント本願寺の皆さんなど、多くの方々が参加されていました。


ハミルトン市は広島県福山市と姉妹都市関係にあり、今年で50周年を迎えます。広島という土地とのつながりが、ここカナダの地域社会にも長く根付いていることを改めて感じました。
アートでつなぐ、これからのコミュニティー
そして8月19日には、Toronto Japanese Arts Communityの立ち上げイベントが、在トロント日本国総領事館のさくらルームで行われました。

私はJNIC(全カナダ日系人協会・新移住者委員会)を代表してお招きいただき、日系アーティストの皆さんによる素晴らしいプレゼンテーションを見させていただきました。
代表のTheater Producer・Project Managerである入江恭平さんは、とても力強い意志と情熱を持っておられます。そのリーダーシップのもと、参加されたアーティストの皆さん一人ひとりの個性が重なり、まるで色鮮やかな一枚の景色が広がっているようでした。
実は私の実家は、私以外みんなアーティストです。そのせいか、会場にいるとどこか懐かしく、とても心地が良かったです。
JNICには「教育・文化・ウェルネス」という3つの活動の柱があります。
これから、アーティストの皆さんが持つ力、特に今の時代に合ったビジュアルや表現を通して、社会へのメッセージをより多くの人に届けていくお手伝いが、JNICとして少しでもできればいいなと思っています。
広島・長崎、地域のお祭り、そして新しいアーティストコミュニティー。
一見するとそれぞれ違う活動のようですが、私の中ではすべて「人と人、時代と時代をつなぐ」過去も現在も未来もつながっていますね。
8月は、過去を振り返る月であると同時に、これからどんな社会をつくっていきたいのかを考える月でもあるのかもしれません。

文章=原あんず
トロント都道府県人会・連合会会長
全カナダ日系人協会(NAJC)
新移住者委員会(JNIC)委員長






