勝てるチャンピオン|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第115回】
長年多くのアスリートをサポートしてきて最近思うことをお話しします。カナダ、日本を中心に世界各国のフィギュアスケーター、FIFAワールドカップ出場サッカー選手、バレエプリンシパルダンサーを達を長年サポートしてきた経験からの個人的な感想です。
近年アスリートの金メダルに対する期待値が非常に大きくなってきたように感じます。以前は、オリンピックを始めとするスポーツ試合は、「参加する事に意義がある」とされていましたが、いつの頃からか「金メダルを取らなくては意味がない」というような報道内容に変化しているように思います。
実際に多くの世界大会やオリンピックの金メダルを無名選手時代からサポートした経験からすると、金メダルは試合の結果の一つでしかないので金メダルを獲っても特別な感覚はありません。金メダルを獲ることよりも、スポーツを通して選手たちがどの様に人間として成長していくかのプロセスに興味があります。
もちろん、世界チャンピオンになるには、どのフィールドでも簡単ではなく、色々な努力も必要なので、そこを伝えるのであれば、もう少し現実に近い本当の話を伝えてあげないと、世界チャンピオンを目指す若いアスリートや、そのファミリーが勘違いしてしまいます。
世界チャンピオンの商品価値が上がった近年、アスリートがビジネス利用される事が多いので自分のフィールド以外のことが得意でないアスリート、コーチだけで金メダルを獲るのは難しい状況にあります。資金面、環境面、周りの雑音のコントロールなど多くの違ったフィールドの人たちが力を合わせる必要があるのです。
なので、世界チャンピオンを生んだコーチを師事すれば、自分も世界チャンピオンに近づけるかというと疑問です。また、色々なタイミングが味方して世界チャンピオンになるケースもありますので、裏事情は様々で基本的に世界チャンピオンの真似をして世界チャンピオンを狙うというのは、よいアイデアとは思えません。
すこしネガティヴな話になってしまったので、私の考える勝てるチャンピオンに近づくアイデアをご紹介します。
勝てるチャンピオンに必要なこと
②自立心
③探究心
④フィジカルの強さプラス柔軟性のある体作り
まずは、コーチや環境がどうのこうのというよりは、最終的には選手自身、
②どこをどのように鍛える、改善するのか説明できる。
など、コンディショニングが出来る選手であることが一番大切だと考えています。コーチの指導を受けるのも大切ですが、選手により体系、体力、性格などが違うので、自分の昔のやり方を信じて教える傾向にあるコーチが各選手に合った指導ができるケースは、まれだと思います。
究極、自分にしか体調面・メンタル面を正確に把握できないので、自分で自分を管理できることがベストではないかと思います。私のやるべき事は、選手と出来るだけコミュニケーションをとり、よいコンディショニングを提供することによって選手から信頼を得て、本当のことを話してもらえる間柄になることです。選手のコンディションを正確に把握することが出来なければベストなコンディショニングをすることが出来ないからです。
勝てるチャンピオンに向けての体作り
一般的にコーチが指導するのは技術面だけです。長年そのフィールドでは正しいと言われているコーチが信じていることも、時代とともに素人の私が考えても疑問なこともあります。たまたまコーチとの相性が良くて、コーチの言葉の言い回し等が選手に伝わりやすいケースもありますが、そうでない多くのケースでは、技術的に躓いて時間をロスしてしまいます。本当に技術的に躓いているのならまだしも、体が動いていないのが理由で出来ないことを、技術的練習でより体を疲れさせて悪循環というのは、見ていて歯痒い思いがします。
コーチや選手本人が体のコンディションを細かく把握するのは難しいので、その助けになるようにトリートメントの際には細かく説明しながら進めて、自分でもよいコンディショニングができるように練習してもらうスタイルをとっています(主要関節の動きを良くするのが基本です)。
コンディショニングの具体的なアイディアは、
などTORJAバックナンバーを参照ください。
結果として多くの金メダリストをサポートする経験をさせていただき、この経験から得た有効なサポート方法をトロントのアスリートや、腰痛肩こりの患者さんに提供しています。