「りくりゅうペア」と 世界選手権の金メダル奪取作戦|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第122回】
北京冬季オリンピックで銀メダルを獲得したフィギュアペアスケーターの「りくりゅうペア」がパリから銀メダルを持ってきてくれました。北京オリンピックのフィギュアスケート競技における問題解決に時間がかかり一年半後のパリオリンピック会場での授与となったからです。
「いまさら北京オリンピックのメダルを見たい人もいないだろう」と、今シーズンの試合前のこの時期にパリまでメダルを貰いに行くのが半分腰が重いようにも見えましたが、エッフェル塔の前の会場でのセレモニーは立派で結果的に楽しかったとのことです。このオリンピック銀メダルを機に、2022シーズン金メダリストととして挑んで昨年逃してしまった世界選手権金メダル奪取の作戦をりくりゅうペアと話し合いました。
元金メダリストが再び金メダリストになるためには、一般に次のステップが考えられます:
- 敗北から学ぶ: 負けた理由を徹底的に分析し、技術や戦術の改善点を見つけることが重要です。このチームにおいては、両選手の怪我を防げなかった事に尽きます。
- 計画的な練習: 分析に基づいた練習を計画し、弱点を克服するための重点的なトレーニングを行います。
- メンタルの強化: 精神的な回復と自信の再構築が重要です。スポーツ心理学やメンタルトレーニングも活用。
- フィジカルの調整: 身体のコンディションを最適化し、怪我の予防や体力の向上に努めます。
- サポートチームの活用: コーチ、トレーナー、栄養士などのサポートで全体的なパフォーマンスを高めます。
- 競技経験の積み重ね: 大会やトーナメントに出場し、実戦経験を積むことで、実力を高めます。
- 目標設定とモチベーション維持: 明確な目標を設定し、その達成に向けたモチベーションを維持し続けることが重要です。
このミーティングでりくりゅうペアから提案されたのは、もうちょっと練習を不真面目にした方が良いかも?という提案です。金メダリストが練習を「不真面目に」するというのは一般的に推奨されることではありませんが、場合によっては「柔軟性」や「調整」として理解されることがあります。次のような理由で、練習を見直すことが有効な場合があると私も同意しました。
- 身体の回復とケア: 過度な練習は体に負担をかけ、疲労や怪我のリスクを高めます。回復やリラクゼーションを重視することで、体の状態を最適に保つことができる(過度な練習とは?…世界トップレベルにある選手でも、不安から不必要な練習もしてしまう。このレベルの選手は技や動きが悪いのを直す練習をしているので無く、感覚的な部分の練習が多いのでコーチも練習量の見極めが困難)。
- モチベーションの維持: 長期間にわたって高い集中力を維持することは難しく、時には練習の内容を変えたり、休息を取ることで再びモチベーションを高めることができることがある。現実的には非常に難しい作業なので、不真面目な考えで思い切った時間の無駄の仕方を学ぶ必要があります。
- 新たな挑戦や改善: 定期的に練習内容を見直し、改善点を見つけることで、技術や戦略の向上が図れます。過去の成功に固執せず、新しいアプローチを試すことも重要です。
- メンタルヘルス: 精神的な健康を保つためには、適度な休息や趣味の時間が必要です。過度な練習はストレスを増やし、パフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。
要するに、成功した後に「不真面目にする」というよりは、適切な調整や休息を取り入れることで、パフォーマンスを維持・向上させることが重要です。
その際に、最大のポイントになるのは、適切な調整や休息を安心して取れるようにする事です。基本的に練習を休むのが怖いのは、自分のやるべき事が正確に把握できていないことが多いからです。その主な原因は、コンディショニングの知識不足が多いと感じます。つまり、毎日自分のコンディションをパーフェクトに近く整えられない選手が一生懸命練習しても結果が安定してこない。この状況では失敗の原因が技術的な問題か体の問題か判断のしようがない。
結果的に適切な練習方法時間も決まらず、不安からボリュームだけこなす様な練習になってしまいます。
逆を返せば世界トップで戦っている様な選手の練習が上手くいかない原因はコンディションが悪いケースが多いので、練習で出来ない動きを説明してもらったり、その場で動いてもらって、動きを妨げている体の部分をスムーズにする施術を行なってコーチも解決出来ない問題を、その場で改善してコンディショニングに対する認識を高めてもらっています。
この様に実戦的な戦術や戦略を見直し、次回に向けて最適化しています。金メダリストとしての経験を活かしつつ、改善点を明確にして次に備えることが、再びトップパフォーマンスを発揮するための鍵だと思います。