日本のサブカルチャーを世界に伝える若手イラストレーター bun150さん インタビュー
例年、日本のサブカルチャーはアジアだけに留まらず、ヨーロッパや北米でも人気が広がっている。その中でもアニメや漫画が高く評価されている。総合電気メーカーのインダストリアルデザイナー、そしてサークル「モソーム」のイラストレーターであるbun150さんは日本のサブカルチャーを支えている一人。
3年前からコミックマーケットに出展し、近年はアニメソングのCDジャケットやライトノベルのイラストを手掛けている。
その他にも東日本大震災の復興チャリティプロジェクト「Cheerful JAPAN!」の最優秀賞を受賞し、現在幅広く活躍している。そんなbun150さんにこれまでの経歴や海外進出に対する思いなどを伺った。
- ライトノベル→日本のサブカルチャーの中で生まれた小説の分類分けのひとつ。
イラストレーターを目指したきっかけは?
日本大学芸術学部でインダストリアルデザインを学んだbun150さんがイラストレーターに興味を持ったのはアニメ好きの友人がきっかけだったいう。それまでアニメの世界を深く知る機会がなかったが、見るたびに、その世界の面白さを知ることになる。その後、ニコニコ動画で曲・動画・イラストを合わせて誰もが発信することができる「初音ミク」の存在にも影響を受け、自分自身も新しいものを作る側になりたいと感じたという。
- ニコニコ動画→動画共有サービス。/ 初音ミク→音声合成・デスクトップミュージック用のボーカル音源、およびそのキャラクターである。
イラストのこだわりは?
めまぐるしく変化する流行りに臨機応変に対応しながら個性を出していくイラストの世界。bun150さんは独自の強みとして躍動感のあるイラストを描くように心掛けている。「動きの中の瞬間を切り抜いたような、動作の流れをイメージできるイラストを描きたいと思っています。イラストは良い意味で嘘がつける。強調と省略の差を付けることで瞬間的な可愛さを表現できるように工夫しています。」bun150さんがこのように考えて本格的な活動を行うようになった年の代表作が「Cheerful JAPAN!」。
GOOD SMILE COMPANYが主催した東日本大震災の復興チャリティプロジェクトで「初音ミク」をモチーフに復興への願いをテーマにしたコンペティション。ちょうど、イラストレーターとして何かできることはないかと考えていた時にコンペの存在を知り、迷わず参加したという。「フィギュア化されることが前提のコンペだったので、立体として見た時により元気さが伝わるように、構図や色彩を考えて描きました。」bun150さんのイラストは1000点以上の中から最優秀賞に選ばれ、家庭用・アーケードゲーム化やフィギュアなどに商品化されている。被災者の方から「bun150さんのイラストを見て元気付けられた」というメッセージを受け、描いて良かったと感じたという。被災地には多くの義援金を寄付して大きな貢献をしている。
コミックマーケットについて
コミックマーケットとは日本最大の同人誌即売会のイベントである。プロアマ関係なく同人詩を発表する場になっている。その他にも企業ブースやコスプレブースなどがあり、夏・冬と年に2回行われている。
bun150さんは3年前からコミックマーケットに出展している。イベントに出展するのに費用も体力も使うが、それでも必ず参加したいと思うのは作家とファンが触れ合うことができる場を大切にしたいという想いから。近年、日本人のみならず海外からの参加者が増えている。bun150さんのブースに海外から足を運んでくるファンもおり、英語や日本語で言葉を交わすことも。また外国人が出展している姿も見かけるという。最近では、出版最大手の株式会社KADOKAWAが200誌以上を英語・中国語で無料配信を始めている。今後、日本の漫画文化が海外に、どのように受け入れられていくか注目しているという。
- 同人誌→同人(同好の士)が資金を出し作成する同人雑誌。/同人誌即売会→同人誌を配布・頒布・販売する集会(イベント)。
海外進出について
「イラストのSNSで海外の方からコメントやメッセージを頂くことがあるんですが、満足な返答ができていません。いずれは語学留学等で英語をしっかり学び、コミュニケーションの幅を広げていきたいです。留学した際には海外のイベントにもぜひ参加してみたいと思っています。」
現在はライトノベルのイラストに力を入れているという。「最初はアニメ化作品のメディアミックスの仕事していました。最近では、自分でキャラクターを考えていくオリジナルイラストの仕事をするようになり、難しい反面、楽しいです。いずれは、自分が手掛けたライトノベルのコミック化・アニメ化を実現させ、日本だけでなく世界中の人々の心を動かすようなイラストを描いていきたい。今後はイラストのみならずマンガにも挑戦していきたいと思っています。」そう今後の目標を語るbun150さん。次のステップへと進むため、さらなる大きな目標を胸に、これからも創作活動を続けていく。
- メディアミックス→アニメ化や漫画化、ノベライズなど、1つの作品を複数のメディアに展開するビジネスモデル
bun150(ブンイチゴウゼロ)
総合電気メーカーのインダストリアルデザイナー、イラストレーター、同人作家。日本大学芸術学部インダストリアルデザインコース卒業。3年前からコミックマーケットに出展し、近年はアニメソングのCDジャケット、ゲームキャラクター、ノベライズ、ライトノベルなどのイラストを手掛ける。東日本大震災の復興チャリティプロジェクト「Cheerful JAPAN!」の最優秀賞を受賞。
bun150ホームページ:http://mosome.main.jp
Twitter@bun150