【第8回】いつからでも遅くない:コツコツ投資の力|カナダ生活の資産設計ノート
「投資に興味はあるけれど、怖くて踏み出せない」
日々お客様とお話しする中で、このような声をよく耳にします。まとまったお金がない、今は買い時ではないと感じるなど、理由はさまざまです。また、「もっと相場が下がってから始めた方がいいのでは?」と、タイミングについて悩まれる方も少なくありません。しかし、資産形成で重要なのは、完璧なタイミングを待つことではなく、早く始めて長く続けることです。
代表的な方法が、ドルコスト平均法(DCA: Dollar Cost Averaging)です。毎月・毎週など定期的に一定額を投資する方法で、価格変動による購入単価の平均化が期待できます。市場が右肩上がりの局面では一括投資が有利な場合もありますが、最適な投資タイミングを見極めることは、専門家でも容易ではありません。そのため、継続しやすい積立投資は、多くの方にとって現実的な選択肢の一つといえるでしょう。
あわせて意識したいのが、分散投資です。一つの銘柄や地域、特定の産業に集中せず、さまざまな資産に投資することでリスクを抑えることができます。インデックスファンドなどを活用すれば、一つの商品で多くの企業や地域に分散投資することも可能です。カナダではTFSAやRRSPなどを活用することで、効率的な資産形成も期待できます。
そして、長期投資において大きな力となるのが複利です。例えば、毎月200ドルを年平均7%で30年間運用すると、元本72,000ドルが約245,000ドルに成長します。一方、10年後から毎月300ドルを20年間積み立てた場合、元本は同じ72,000ドルでも、同じ条件で運用した場合の試算では約156,000ドルとなります。毎月の投資額は多くても、始める時期が10年遅くなることで約90,000ドルの差が生じます。
もちろん、投資にはリスクがあり、市場は常に右肩上がりで成長するわけではありません。景気後退や経済不安によって大きく下落することもあります。最近ではカナダのテクニカル・リセッション入りが報じられるなど、不透明な状況も続いています。しかし、過去の市場は上昇と下落を繰り返しながら、長期的には成長してきました。
将来の市場を正確に予測することは誰にもできません。だからこそ、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、自分に合った方法で無理なく継続することが大切です。

泉 亜矢子 (Ayako Izumi)
オンタリオ州認定ファイナンシャル・アドバイザー。個人・法人向けに資産形成・保護・継承までを見据えたトータルプランニングを提供している。
Eメール : ayakoizumilin@crius.ca
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