【第32回】財産分与とファイナンシャル・ ステートメント|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方
結婚を考える時、まず気になるのはお金のことです。中でも特に重要なのは「財産分与」です。はじめに財産分与にまつわる用語について整理しておきましょう。
「結婚した日」から「婚姻関係が終わった日」までが「婚姻期間」、婚姻期間に得た夫婦それぞれの財産を「婚姻財産」と呼びます。そして財産分与とは「婚姻財産を相互に開示し、夫と妻の婚姻財産が同額になるよう清算すること」です。
今回は「婚姻財産はどのように清算されるのか」について、スペシャリスト認定弁護士のケン・ネイソンズに聞いてみました。
婚姻期間
婚姻届で始まり離婚届で終わる日本の婚姻期間と異なり、カナダの婚姻期間はあいまいです。結婚した日は婚姻証明で確かめられますが、「婚姻関係が終わった日」が争われることはままあります。
婚姻関係が終わった日は、「夫婦が家族としての生活を止めた日」「夫婦のどちらかが離婚を決意しそれを相手に伝えた日」と定義されていますが、夫婦が主張するその日付が、大きく異なることがあります。なぜならこの日付が、婚姻財産の値に関わる可能性があるからです。
婚姻期間を決めなければ、婚姻財産を確定するための宣誓供述書「ファイナンシャル・ステートメント」を作成することができません。
婚姻財産
ファイナンシャル・ステートメントによって婚姻財産が開示されないと、婚姻財産の清算は不可能です。代金が不明だと、割り勘できないのと同じです。
婚姻財産は「婚姻関係が終わった日の財産の値」から「結婚した日までに有していた財産の値」を差し引くことで割り出します。
まず所有する金融口座について、前述二つの日付での残高明細を入手します。夫婦の共有名義口座の場合、婚姻関係が終わった日の残高の50%が夫婦それぞれの婚姻財産となります。
また、不動産や車などの資産価値を割り出すには、前述二つの日付での査定が必要です。そしてこれらの婚姻資産の値も、金融資産と同じ方法で割り出すのです。
夫が結婚前に購入した夫の単独名義のマンションを例にとって紹介してみましょう。
婚姻住宅
例えば、夫が結婚前に購入した夫の単独名義のマンションがあったとします。このマンションの結婚前日の時価が4千万円、婚姻関係が終わった日の時価が8千万円であった場合、4千万円が婚姻財産に含まれます。
しかし、もしこのマンションで夫婦が暮らしていたとしたら、婚姻関係が終わった日の時価である8千万円のすべてが婚姻財産となります。婚姻中に夫婦が暮らした自宅は、夫婦どちらの名義であろうと100%が婚姻財産となるのです。
しかし、夫婦が暮らしていた家の名義に夫婦以外の第三者が含まれていた場合、例えば夫と夫の父親の共有名義であったなら、夫の父親の持分は婚姻財産から除かれます。
自宅の名義については、しっかりと把握しておきたいものです。
財産分与とファイナンシャル・ステートメント
このようにして計算した財産から住宅ローンなどの負債を差し引いた値が、婚姻財産です。そして、婚姻財産の計算明細が、ファイナンシャル・ステートメントなのです。
ファイナンシャル・ステートメントで開示された婚姻財産の差の50%を、婚姻財産の多い配偶者から少ない配偶者に支払うことで、財産分与が成立します。
「財産分与」においては、弁護士のサポートが重要です。ネイソンズ・シーゲル弁護士事務所は、「財産分与」に関する問題のすべてを日本語でサポートします。
「財産分与」をはじめとする家族の問題は、家族法を専門とする2名のエキスパート認定弁護士と日本人有資格者(オンタリオ州公認パラリーガル)が在籍するネイソンズ・シーゲル弁護士事務所にお任せください。
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