【第44回】海外離婚証明書ー日本での離婚を証明するには?|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方
カナダ、オンタリオ州で結婚するには、マリッジ・ライセンスと呼ばれる婚姻許可証が必要です。離婚歴がある場合には、家庭裁判所が発行した離婚証明書を添えて申請します。では、過去にカナダ以外の国で離婚を経験した人が、オンタリオ州で再婚する場合にはどうしたらよいのでしょう。そこで今回は、海外での離婚が合法であったことを証明するための手続について、オンタリオ州スペシャリスト認定弁護士、ケン・ネイソンズに聞いてみました。
海外離婚証明書
離婚に関する法手続きは、離婚を受理する国によって異なります。例えば「戸籍係に離婚届を提出すること」で離婚が成立する日本の手続きは、カナダでは「不思議だ」と考えられています。
ですから、オンタリオ州での再婚に際して「海外での過去の離婚が合法であり、現在は独身であること」を証明するためには「海外離婚証明書」が必要です。オンタリオ州の資格を有する弁護士に「離婚の合法性を証明するオピニオン・レター」を作成してもらってください。
次に弁護士との面談時に必要な書類や注意点を列挙しておきますので、ご参照ください。
- 記入済みの「マリッジ・ライセンス申請書」
- 申請書の裏面にある「単独責任の声明」への署名
- 離婚命令書や判決書など離婚を証明する法律文書の原本とその公認翻訳
- 離婚に伴い氏の変更があった場合はその証明書と公認翻訳
- 申請者と婚約者の政府発行の写真付き身分証明書のコピー
- 離婚証明書を発行した国が法的管轄権を有していたことを証明するため、離婚の日付の直前1年間その国に居住していたことを証明する書類とその公認翻訳 婚約者も面談に同席
- 申請者が英語での質疑応答に不安がある場合、婚約者以外の通訳の同席
裁判所が発行する離婚証明書
カナダで離婚するには、家庭裁判所(家裁)に離婚の申請をしなければなりません。「家裁で離婚」と聞くと裁判を連想しがちですが、日本の離婚届のようなものだとお考えください。ただ、カナダの離婚は裁判所の管轄ですので、日本の戸籍システムと比べ少々複雑です。
日本でも、養育費や財産分与などの話し合いが難航した場合、家裁での調停や審判、裁判などを行います。裁判所が介入した離婚の場合、家裁発行の離婚命令書や判決書などの法律文書を入手することができますので「離婚の合法性を証明するオピニオン・レター」の作成時には、これとその公認翻訳があれば良いわけです。
協議離婚
一方、夫婦間に争いのない「協議離婚」の場合、カナダの弁護士は頭を抱えます。離婚歴が戸籍謄本でしか証明できない場合、弁護士は、養育費や財産分与の詳細について質問し、申請者はそれに明確に答えなければなりません。
カナダでは、弁護士が作成したセパレーション・アグリーメントは家裁に登録され、家裁への離婚申請時には、これが離婚要件を満たしていることの証明となります。
また、日本の協議離婚に当たる「争いのない離婚」も、離婚要件を満たしていることを家裁に申請しなければ離婚は受理されません。つまりカナダでは全ての離婚が、家裁発行の法律文書で証明できるのです。
ところが、戸籍謄本で離婚を証明しようとする場合、離婚要件を満たすことを証明するのが難しくなります。海外での離婚が合法であったことを証明するオピニオン・レターを作成するカナダの弁護士たちは、自身の弁護士資格剥奪のリスクがあるため、正確に過去の離婚の全容を把握しようとするのです。
日本人のための家族法サポート
日本の戸籍システムが、海外で理解されにくいことを私たち日本人は知っておく必要があります。また母国語以外で法律の問題を解決しようとするのは至難の業です。たとえ英語が堪能でも、育った国と大きく異なる法律と向き合うために母国語での法サポートはうれしいものです。
「海外離婚証明書」をはじめとする家族の問題は、日本人司法書士が在籍する家族法専門法律事務所、ネイソンズ・シーゲルLLPにお任せください。
リモート相談は、次の手順で行っております。
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