新時代のリーガル・サービス家族法サービスの 新たな担い手、FLSPとは|文: 野口洋美(オンタリオ州公認パラリーガル・FLSP)
家族法の手続きにおいて、弁護士へのアクセスのしにくさは長年の課題とされてきました。オンタリオ州で導入されたFamily Legal Service Provider(FLSP)は、この課題に対応する新たな制度として注目されています。
オンタリオ州法律協会は、法律専門職の認定・登録、研修、指導および監督を担う規制機関です。このたび、同協会の枠組みに、家族法分野に関与する新たな専門資格としてFLSPが加わりました。
従来、オンタリオ州で法律サービスの提供を認められていた専門職は弁護士とパラリーガルでしたが、FLSPの導入により、家族法サービスへのアクセスを広げる新たな選択肢が生まれたことになります。
家族法サービスへのアクセス向上
家族法案件では、費用や心理的な負担から、弁護士への相談をためらう当事者が少なくありません。その結果、代理人のいない当事者が法手続きや必要書類に十分対応できず、裁判の進行に影響を与える場面も見られました。
FLSPは、これらに対応するために設けられた専門職であり、これまで弁護士に限定されていた家族法サービスを一定の範囲内で提供することが認められています。
FLSP資格の要件
FLSPとして法律協会に登録されるためには、一定以上の成績で取得したパラリーガル資格に加え、8教科18単位から成る追加プログラムの修了と、資格試験の合格が求められます。これは、家族法案件が当事者の生活や子どもの福祉に直接影響を及ぼす分野であることから、法律協会が専門性と実務能力を厳格に確保しようとしていることを示しています。
FLSPが担う実務上の役割
FLSPの中心的な役割は、家族法案件における実務上のナビゲーターとして機能することです。依頼者から事情を聞き取り、解決に向けた選択肢、裁判所の役割、手続きの流れ、提出書類などについて説明します。
従来、パラリーガルがこうした対応を行う場合には、弁護士の監督が前提とされていました。これに対し、FLSPは弁護士の同席を必要とせず、一定の範囲で依頼者と直接面談し、実務的な支援を提供することができます。
弁護士との業務範囲の違い
弁護士は、親権や養育費など子どもに関する問題、財産分与や配偶者サポートを含む複雑な金銭問題など、家族法の全ての領域に対応することができます。一方、FLSPが扱うことのできる業務は限定されており、争いがなく合意に至った夫婦の離婚申請、作成済みの別居合意書の裁判所登録、養育費の支払いを法的に強制する手続き、裁判所に登録済みの養育費の変更申請など、争点が比較的明確な案件が中心です。
したがって、FLSPは家族法サービスへの入口を広げる存在である一方、複雑な法的判断を要するケースでは、引き続き弁護士による対応が重要となります。
FLSPの導入は、家族法サービスをより身近なものにすると同時に、法的支援の適切な使い分けを考える契機でもあります。利用者にとって重要なのは、それぞれのケースの内容や複雑さに応じて、FLSPと弁護士の役割を正しく理解し、適切な専門家につながることです。
野口洋美: B.A. M.A.ヨーク大学で国際離婚とハーグ条約に関する研究に携わる。国際結婚に関する執筆多数。ネイソンズ・シーガルLLP所属。趣味は日本語ドラマ鑑賞。














