「日本食レストランへの転職はチャンス日本人女性シェフ」芥川 奈緒さん(中編)|Hiroの部屋
大学在籍中にトロント留学を経験し、また戻ってきたいという気持ちから現在ではシェフとしてトロントで活躍する芥川奈緒さん。ミシュラン店である「alo」と「Quetzal」で長年働いてきたが、このたび新たな挑戦として転職を決意されたという。「またとないチャンス」と話すそのわけは。
周りの環境から料理がだんだん好きに
ヒロ: そもそも、なぜ東京外国語大学を卒業後に料理の道を選ばれたんですか?
芥川: 日本にいた時に、親が共働きだったのでアルバイトに行く前に自分で料理をしないといけなかったんですね。作った料理を写真撮ったりするのがおもしろくて、それが多分きっかけの1つにはなっていると思います。数年後、女将さんが1人で切り盛りしている小さい料理屋さんで働いていたこともあります。女将さんは野菜は自分で育てたものを出すとか材料にすごくこだわりを持っていて、女性料理人である彼女から感化された部分も大きいと思います。日本帰国後、大好きなトロントに帰って来たかったので、このチャンスに、と、ジョージブラウンカレッジのカリナリー(調理)コースで本格的に料理を勉強することに決めました。
ヒロ: トロントに戻りたかったから、大学卒業後は日本での就職を考えなかったんですね。
芥川: そうですね。もともと海外に住むことにずっと憧れがありました。でも大学に入った当初は語学に関連した仕事がしたいなとぼう然とした考えはありましたね。でもトロントに一年留学した経験から、日本で就職するよりも、大好きなトロントでで好きな仕事に就きたい、という気持ちの方が強くなりました。
スターシェフと働くことで得た学び
ヒロ: 奈緒さんが働いていた2店は、どちらもスターシェフのお店ですよね。カリスマ的存在と一緒に働くのはどんな感じですか?
芥川: 私も将来は上に立つシェフとして働きたいと考えているので、良い経験になりました。全く違った料理スタイルのミシュラン店で働いた経験、そして全く違うクッキングスタイル、料理へのアプローチが全く違う二人のカリスマシェフの下で働いた経験は大きな糧になりました。
ヒロ: 両方ともミシュラン星の店で、すごい勉強になりそうですね。実際に働いて、特に何を意識されますか?
芥川: ミシュランに認定されたレストランに一歩足を踏み入れた瞬間からお客様はミシュランレベルの料理、サービスを期待し、さらに安くないお金を払っています。その期待に見合う料理、時間を提供しないといけないと意識して料理しています。
自分の料理を出す自分の店を持つ夢
ヒロ: 今後のプラン的に何かを考えていますか?
芥川: 実は数日前、仕事のオファーを頂いたんです。日本食レストランのAburi Restaurants Groupの一店舗にMinamiという店があるのですが、その店のシェフにならないかというお誘いで、自分自身を成長させるためにも新しいことに挑戦したいと思い、オファーを受けることに決心しました。
ヒロ: えぇ~!!そんなお話があるとは知りませんでした!!(笑)
芥川: たまにレストラン同士でコラボディナーをすることがあるんです。私の働くQuetzalと、同じくミシュラン店であるAburi Hanaがコラボディナーイベントした時、Aburi Restaurants Groupのメインのシェフである中川龍介シェフと交流があり、それがきっかけで今回のお話しを頂きました。
最初は少し戸惑ったんですけど、alo groupではスーシェフをしていたこともありますが、改めて母国語である日本語と英語両方でキッチンのマネジメントを勉強することができるまたとないチャンスだと思いオファーを受けさせていただくことにしました。
ヒロ: Aburiグループの素晴らしいシェフたちと働きながら、大きい会社のマネジメントも学べるのは本当に良い機会ですね。僕の勝手なイメージですが、今の奈緒さんのライフステージに合うと思います。シェフとして今後の夢や目標はありますか?
芥川: 例えば10、20年後こうでありたいというよりかは、短いスパンで目標を立てるタイプです。夢って聞かれると、健康でやれればいいなとは思っています(笑)。でも、いつかトロントで自分の料理を出せる自分の店ができたらいいなとは思っています。
ヒロ: 奈緒さんの料理、スタイルというのはどういうものですか?
芥川: 去年料理のコンペティションに参加したことがあったのですが、そこで3品作ったんですね。どの料理にも日本のエッセンスを入れたようなものでしたが、それだけではなくて他の国の要素も入っているようなものを作りました。トロントっていろんなカルチャーがあるじゃないですか。私の料理も、日本だけではなく別のカルチャーも入った料理にしたいと思っています。
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
芥川奈緒さん
東京外国語大学卒業、そして卒業とほぼ同時に渡加。トロント内の有名レストランを転々、さらに、市内のGeorge Brown Collegeで二年調理について勉強した後、ミシュラン店であるalo、Quetzalで計七年近く働いている。カナダ内のCulinary Competitionにも数回出場した。
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。salon bespoke
130 Cumberland St 2F647-346-8468 / salonbespoke.ca
Instagram: HAYASHI.HIRO
PV: "Hiro salon bespoke"と動画検索