「トロントで日本のネイルサロンを広める」ネイルサロン・オーナー 木澤マリカさん（前編）｜Hiroの部屋

今回から3回に渡り対談するのは、ニューヨークや東京・表参道で経験を積んだ後、トロントに完全予約制のネイルサロン『Nail Salon From M -tokyo-』をオープンし、今年8月オジントンに2店舗目となる『SOLiS -tokyo-』を開いた木澤さん。お互いトロントの一等地ヨークビルでサロンを経営するお二人に語り合ってもらった。

2店舗目の出店にオジントンを選んだのは、さすがだなと思います。

ヒロ： 8月に新コンセプトのサロン「SOLiS -tokyo-」をオジントンにオープンされましたね。

マリカ： ヨークビルにある1店舗目は白基調のプリンセススタイルなのですが、オジントンの店舗は、ネイルサロンらしくない落ち着いた空間にしたかったので、壁をグリーンにし、ブラウンやブラックがメインのシックモダンなテーマにしています。ヨークビルの店舗はカスタムデザイン、オジントンの店舗は、定額制のデザインサンプルを揃えているのが特徴です。

ヒロ：ヨークビルは高級エリアで、オジントンはこの数年注目のお洒落なエリアです。まさに拡大中ですね。

マリカ： 2店舗目をオープンした理由にも関係しているのですが、「日本」をコンセプトにしている私たちのサロンに日本からカナダで働きたいというネイリストの問い合わせが多く、可能な限り雇用しようと取り組んでいます。

ヨークビルの店舗はネイルスキルが高く英語でカウンセリングまでできるベテランスタッフが多い一方で、英語でのカウンセリングはまだ十分にできないけれど、技術はある日本からの新しいスタッフが一緒に働くには席数やバランス面でも手狭になり、カウンセリングをそこまでしなくてもパッケージでネイルが提供できるコンセプトの店を作ることによって、日本から来てすぐのスタッフも働きやすいお店を作りました。

ヒロ： あのオジントンエリアは今、一番勢いのあるエリアの1つで、ここ数年の成長と注目度はすごいですよね。昔はクイーン×スパダイナ近辺までがファッションの中心でしたが、多くの大手企業が進出してからは、個人店などは西へ西へとに流れましたが、途中からオジントンからの北上も始まり、今の集合体となったのがオジントンエリアですね。まるで、昔のソーホーから、ミートパッキング地区など、そしてブルックリンへ移動していったニューヨークの流れにも似ています。あの付近のダンダスウエストも昔は何もありませんでしたが、今や美容、ファッション、飲食に敏感な層が集まってますよね。

マリカ： そうですね。お洒落なレストランも多くて、夏はパティオも増えて賑わっています。流行に敏感な方が多い印象です。

ヒロさんは、トロントの兄貴

マリカ： 2店舗目のエリアや物件についてはヒロさんにも相談させていただきましたよね。2012年にワーホリでトロントに来て、絶対こっちでネイルサロンを出したいと思って、実際にお店をされている方のお話を聞こうと思い、TORJAでヒロさんの存在を知って相談させてもらったのが最初の出会いですね。

最初は、ヒロさんのお店で間借りをさせてくれると言ってくれていて。私の中では何かを進める時に相談できるトロントの兄貴って感じです。

ヒロ： 今でも鮮明に覚えています。その頃からマリカさんは純粋で、パワーと勢いもありました。口だけでなく、いつか自分が作りたいサロンを開く夢を本当に叶えると思ってました。ただ、想像していた以上の速さで成功し続ける大社長なったのは嬉しい驚きです（笑）

マリカ： 嬉しいですね。12年前にまさにそういう話をしていた気がします。

2人にとってのヨークビル

マリカ： ヨークビルという場所でのサロン経営はヒロさんの方が先輩ですが、ヒロさんにとってここはどのような場所ですか？

ヒロ：ヨークビルは、地元の感覚ですね。独立する前に働いていたサロンもここにありました。ローカルの美容業界の知り合いも多くて居心地も良く、愛着のある好きなエリアです。

マリカ： 私にとっては、憧れの場所でしたね。美容業界で出店を目指すならヨークビルというイメージがありました。日本では東京の表参道でネイルのお仕事をしていて、カナダでいうなら表参道はヨークビルに例えられると思います。起業当初は、ヨークビルの物件はヒストリーがなかったので借りることができず、ヤング・ダンダスから始めて、やっとヨークビルでお店を開くことができました。当初は窓のない内側のお店だったのですが、コロナ後の拡大に合わせて窓もある大きな場所に移動することができました。

ヒロ： コロナ後に拡大ってすごいですね？

マリカ： コロナ後でお客様がたくさん戻ってきてくださったことと、日本からこちらで働きたいというネイリストからの問い合わせが多かったことなどから、彼らが働ける環境を作るためにサロンを拡大する方向に舵を取りました。

（聞き手・文章構成TORJA編集部）