【第1回】なぜ今、「人の移動」を 考えるのか|人の移動|Human Mobility
最近、日本もずいぶん変わった。」久しぶりに日本に長期滞在することになった私が、最も強く感じたことの一つです。
銀座や新宿、渋谷といった繁華街を歩くと、聞こえてくるのは日本語だけではありません。外国人観光客だけでなく、日本で暮らし、働き、学ぶ外国人も急速に増えています。時間帯によっては、日本人より外国人の方が多いのではないかと感じることさえあります。
数年前、カナダ政府が移民受け入れ政策の見直しを始める直前、私はトロントで大きな変化を目の当たりにしました。20年以上前に移住した頃とは街の景色が一変し、すれ違う人の多くがインド系住民という時代になっていたのです。
社会の人口構成が短期間で急速に変化すると、人は本能的に戸惑いや不安を感じます。それは決してカナダだけの現象ではありません。
現在、日本でも「ジャパニーズ・ファースト」という考え方に共感する人が増えています。その背景には、急激な人口構成の変化に対する心理的な反応もあるのではないでしょうか。
私は2003年にカナダに移住し、その後20年以上にわたり移民コンサルタントとして、多くの日本人や外国人のカナダへの移住をサポートしてきました。単に永住権の取得を支援するだけでなく、地域の中小企業と連携し、日本人が安心して働ける雇用機会を広げることにも力を注いできました。
そして現在は行政書士としても、外国人の日本の在留資格や就労ビザの手続きを支援しています。同じ「外国人の受け入れ」であっても、日本とカナダでは制度も歴史も社会の受け止め方も大きく異なります。
しかし、両国で仕事をしてきた私が強く感じるのは、「人は国境を越えて移動する」という現象そのものは、世界共通であり、時代を超えて続いてきたということです。
では、人はなぜ国境を越えるのでしょうか。理由は一つではありません。
より良い仕事や生活を求める人もいます。自分の可能性を広げ、新しい環境で挑戦したいと考える人もいます。一方で、人口減少や人手不足に直面する国々は、海外から人材を受け入れなければ社会や経済を維持できないという現実があります。
さらに、戦争や政治的迫害、宗教や性的指向などを理由とした差別から逃れ、安全な場所を求めて移動せざるを得ない人々もいます。
人が移動する理由は実にさまざまですが、より良い人生を求めて新しい土地へ向かうことは、人類が古くから繰り返してきた自然な営みでもあります。
もちろん、人の移動にはメリットだけではなく、社会にさまざまな課題や摩擦を生み出すこともあります。
だからこそ、このテーマを賛成か反対かという単純な二項対立で語るのではなく、歴史、経済、人口動態、そして一人ひとりの人生という視点から、多角的に考えていく必要があると考えています。
この連載では、日本とカナダを軸に、欧州をはじめとする世界各国の事例とも比較しながら、移民政策、少子高齢化と労働市場、多文化共生、永住権や二重国籍、そして世界各国の最新動向など、幅広いテーマを取り上げていきます。
この連載を通じて、「人の移動」という身近でありながら奥深いテーマを、皆さんと一緒に考えていければ幸いです。

上原敏靖
RCIC(Regulated Canadian Immigration Consultant) 申請取次行政書士(東京都行政書士会)2003年にQLSeeker社を設立し、日本人のビザ・移民サポートを開始。投資移民、エクスプレスエントリー、各州PNP、ファミリークラス、LMIA、H&C、就労ビザ、学生ビザなど幅広い案件を担当。 The College of Immigration and Citizenship Consultants(CICC)及びCanadian Association of Professional Immigration Consultants(CAPIC)会員、The Immigration and Refugee Board of Canada(IRB)代理人資格も保有。現在は東京都行政書士会所属の申請取次行政書士として、日本の在留資格・就労ビザ手続きも支援。QLSeeker Canada Inc. ▶︎ qlseeker.ca グローバルビザ上原行政書士事務所 ▶︎ globalvisa.jp










