【Study Permit最新情報】政府の調査結果に記述されたカナダの学校と留学センターの関係|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
9月号にて、カナダ政府が現在Study Permitの発行数を制限することについて議論している旨、解説しました。先日カナダ連邦政府が調査結果を発表しました。とても興味深い内容ですが、結果が長文であるため下記箇条書きにて大切な箇所を纏めました。
- 留学生の半数はオンタリオ州に在住している。
- 留学生は年間220億ドルもの経済利益をカナダにもたらしている。
- 留学生の学費は年々値上がっており、カナダ人の学費との差が更に激しくなっている。オンタリオ州においては、カナダ人の学費の値上がりが禁止されているが、留学生はそのようなルールがないため、莫大な学費を支払っている。
- カナダの大学・Collegeはもはや留学生の学費無しでは存続が難しく、そのような体制に問題がある。
- 留学センターは、州立の大学・College、プライベートの学校に留学生を紹介し、コミッションを得て経営している。このスキームは学校側・留学センター側、双方にて「留学生を得る・コミッションを得る」というWin-Winの関係ができているが、大きな問題があると指摘する。その具体的な問題としては、下記が挙げられる。
- 【問題01】州立の大学・Collegeから得られるコミッション率(15%から20%)よりも、プライベートの学校から得られるコミッション率(30%から40%)の方が断然高いため、必然的にプライベートの学校に入学するよう、自社の利益を求めたアドバイスを留学生にしていることが判明している。
- 【問題02】Study Permitを移民局が発行するためには、学校がDLI校であれば問題無い。従って留学生の大多数(73%)が希望する、「学校卒業時にPost-graduation Work Permit(PGWP)を申請できる」という基準を満たしていないプライベートの学校であっても、エージェントにとっては自社の利益を優先し、そのような学校に入学することを勧めている。
- 【問題03】留学エージェントは留学生をカナダの学校に入学させ、何十億もの経済利益をカナダにもたらすという大きな役割を果たしているものの、必ずしも留学生が望む「カナダでのキャリアを構築する」手助けをしているとは限らず、最終的にPGWP取得を断念し、更に「カナダ人よりも優れた職歴・スキルを要している」ことを雇用主が政府に証明しなければならない、LMIA+WP申請も不可能であると判断し、移民せず母国に帰国する者も増加している。従って「留学生がカナダで根付き、スキルを要する職種に就き、PRとして国に貢献する」というミッションを果たしていることには繋がらない。
- 【問題04】Ghost Consultantと呼ばれる、留学センターの社員が料金を得て留学生のStudy Permit申請や移民申請をアシストしている。これは移民法91条(2)項において違法行為であり、カナダでは、国家試験を受けた資格を有する者(弁護士、政府公認移民コンサルタント、Paralegalなど)のみ法的アドバイスや書類の作成、代行申請を行うことができる。
- 【問題05】Ghost Consultantは時に学校側と共謀し、虚偽の内容を含むLetter of Acceptanceを発行している事実も報告を受けている。
- プライベートの学校は州から金銭的な支援を受けていないため、クラスの質や生徒数、寮などに得にルールが無く、犯罪の原因になっている。
- 不動産の危機が原因で、留学生の4割は健全な居住を持たず、大家からハラスメント・差別・性犯罪を受けたりしている。留学生は法律で守られないとの誤解や文化の違いが理由で、警察に通報しないこともある。
- 留学生は不当な条件の下就労するケースが多く見られ、職場でもハラスメントも発生している。
いかがでしょうか。実際カナダで留学生として滞在した・している方にとっては「私もこの経験をしたことがある」と感じられた部分があるかもしれません。私自身は、今まであまり政府において議論されてこなかった、カナダの学校と留学センターの関係が明白に政府の調査結果に記述されていることに、驚きました。
私事になりますが、14年間政府公認移民コンサルタントとしてトロントでビジネスをしてきた期間において、留学エージェントと提携させて頂くことをずっとお断りしてきたのには、私の「移民申請をされたいと思っていらっしゃる方をアシストする」というミッションと、留学エージェントの「より多くの留学生をカナダの学校に斡旋し、利益を得る」というミッションの間に大きな違いがあるからです。
政府公認移民コンサルタントでも、留学センターと提携されている方が多く、ビジネスの繁栄を考えますとそれがベストかもしれません。ただ私は幾度このことについて考えても、一人でも多くの日本人の方が長期間カナダで成功されるお手伝いを優先すべきであると思っています。
話が少々ずれましたが、この調査結果をカナダ政府がどのようにして解決していくべきか、という対策法について来月号で解説したいと思います。