カナダ学生ビザにおける重大発表(その後)|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
既にご存知の方も多いかと思いますが、2024年1月22日にカナダ移民局(IRCC)より2024年度のStudy Permit発行数に上限を設ける、という重大な発表と共に、その他様々なルール改訂の発表がありました。先月号にてその内容を解説しましたが、今月号ではその後IRCCより発表された、更に細かい改訂内容について説明します。
Study Permit申請に関する新ルール
2024年1月22日(東部時間午前8時30分)以降、Study Permitを申請する場合には渡航先のカナダの州より、Attestation Letter(認証レター)を取得してから申請しなければなりません。このレターを含まずに申請した場合で、次の「該当しない場合」のいずれかにも当てはまらない場合には、申請が差し戻しとなります。
Attestation Letter(認証レター)の具体的な発行方法や、タイムライン等に関しては、IRCCより各州に2024年3月31日までに定めること、と指示を出しています。従って具体的な発表が無い場合、州によっては2024年1月22日から3月31日までStudy Permit申請ができなくなる、というシナリオも考えられるとのことです。
新ルールが該当しない場合
- 2024年1月22日(東部時間午前8時30分)以前にStudy Permit申請をした場合
- この時間までにStudy Permit申請がIRCCより承認されていた場合で、これからカナダに渡航する場合
- Primary School、或いはSecondary School(Grade 1からGrade 12)にて就学するためのStudy Permitを申請する場合
- Master’s プログラムや、Ph.D.プログラムを履修する場合
- 交換留学プログラムを通してカナダで就学する場合
- 現Study Permit保持者で、カナダ国内でStudy Permitを延長申請する場合
- 現Work Permit保持者で、カナダ国内でStudy Permitを申請する場合
- 現Study Permit、或いは現Work Permit保持者の扶養家族(配偶者や子供)がカナダ国内でStudy Permitを申請する場合
Post-graduation Work Permitに関する新ルール
2024年2月15日以降、Master’s Degreeプログラム(2年以下)を修了した方は3年間分のPGWPが発行されることになりました。
州立のCollegeやUniversityと提携している、私立 Collegeの特定のプログラムを卒業すると、Public Collegeを修了したとみなされ、PGWP発行が認められていました。プログラムの質などを考慮し、今後はこのようなプログラムを修了してもPGWPは発行されないとのことです。
Spousal Open Work Permitに関する新ルール
配偶者用のOpen Work Permitですが、今後はMaster’s DegreeやPh.D.を履修している方の配偶者のみ、申請が可能になるとのことです。従ってUniversityのUndergraduate Programや、CollegeのDiploma Programを履修している方の配偶者がOpen Work Permit申請をすることは認められません。
新ルールについての公的機関や公人の反応
IRCCが今回発表したルールについて、学校などはどのような反応を示しているのでしょうか。
- University of Waterlooは、IRCCの決断に賛成しているものの、留学生が私立の提携学校を通してUniversity of Waterlooに入学できなくなることは、多くの州立の学校が危機的な経済状況に既に陥っている状況を更に悪化させることを懸念している、と表明しています。
- オンタリオ州の大学協会(Council of Ontario Universities)は、今後オンタリオにおいて、最低でも10校のUniversityにおいて、今年は赤字という結果になるであろうと予測しています。また「予測不可能な結果」が留学生に対して起こるのではないかとも述べています。
- オンタリオ州政府は州立のUniversityやCollegeを経済的にサポートしてはいるものの、予算が低いことが問題となっており、学校側はいかに留学生を沢山入学させて学校の経営を潤していくかということに近年焦点を当てており、政府においてこのことが問題視されています。
- University of British Columbiaは、このルール改訂がどのような結果をUBCにもたらすかということを述べるにはまだ早すぎると発表しています。UBCにおいて学業やリサーチに多大な良い影響を及ぼしている留学生を大変貴重な存在であると認識しており、世界中の留学生が引き続きカナダを留学先として選んでくれるよう、政府と対話を重ねながら尽力してくと述べています。
- University of TorontoはこのIRCCの改訂は「短期間有効な対策」であり、カナダに来る才能に溢れる留学生の数を制限するということは、今後カナダのLabour Marketにも多大なる悪影響を与えるであろうと推測しています。
- 新ルールが発表された約1週間後、カナダのPost-secondary校(234校)を代表して、Universities CanadaとColleges and Institutes CanadaがIRCCの大臣宛にOpen Letterを送っています。そのレターには、この新ルールによってカナダに来る留学生が激減し、今後カナダに更に深刻な経済の危機をもたらすであろうと述べられています。
今回の改訂について賛否両論ですが、今後しばらくはカナダ政府が「手探り」状態でこの新しいルールを試しているため、また近い未来にルールが改訂となることも考えられます。新しい情報を正確に把握していることが大切ですので、今後も可能な限り記事内で説明させて頂く予定です。